農地情報、デジタル地図に、農水省が一元化、規模拡大後押し。 2020/02/03 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1114文字

 農業政策にかかわる情報や手続きをデジタル化する取り組みが動き出した。人工衛星のデータを基に農地の「デジタル地図」を作り、部署ごとにバラバラだった情報を一元化する。各地の農政担当者が規模拡大をめざす農家への農地集約を進めやすくする。補助金の手続きもオンライン化し、農家や自治体職員らの事務も効率化する。デジタル技術の進化を行政面の改革にも役立てる。
 農林水産省は「農業デジタルトランスフォーメーション(農業DX)」の標語を掲げてデジタル化を進める。農業では自動運転の農機が現れ、収穫を管理するソフトウエアが普及するなどIT(情報技術)の活用が広がっており、農水省も政策面のデジタル化を急ぐ。
 農水省は今後、全国の農地について人工衛星のデータを活用し、3000万区画の情報をまとめた「筆ポリゴン」を活用し、情報を一元化するデジタル地図を作る。
 現状では市町村の農業委員会、地域農業再生協議会などが、それぞれの政策目的に沿って土地の所在地や所有者、耕作者や補助金の活用情報をバラバラに持っている。
 情報を共有することにより、市町村職員などは他の組織がすでに把握していた農地について、現場で調査したりする負担が軽減される。
 全国の農地は20年間で1割減っており、今後も農家のリタイアで遊休農地が増える見通しだ。どの土地でどういう作物を作っているかなどがわかれば、規模拡大を目指す農家への農地集約の計画も立てやすくなる。
 年度内に具体的な設計を詰める。欧州連合(EU)各国も農地情報のデジタル化を進めており、補助金交付に必要な現地調査の労力削減につながっているという。
 デジタル地図を使って情報を一元化する取り組みは、企業が縦割りの壁を超えて情報を共有する時の参考になりそうだ。
 同時に農水省は農家の行政手続きを電子化する「共通申請サービス」の運用も始める。IDを農家に付与し、自宅のパソコンを使いオンライン上で手続きができるようにする。審査状況もリアルタイムで確認できる。国だけでなく、都道府県や市町村、農協などを経由する事務も、オンライン上で手続きできるようにする。
 当面は一部の稲作農家向けの補助金などでデジタル対応を進め、2021年度から本格運用を始める。将来的にはすべての手続きがオンラインで完結できるようにする。
農政に関する〓デジタル化の主な取り組み 
農地デジタル地図 
○部署ごとにバラバラに管理していた農地情報を一元化 
共通申請サービス 
○補助金などがオンラインで手続き可能に〓○申請書類も簡素化 
農業新技術の活用 
○自動運転の農機やドローンなどを普及 
MAFF(農林水産省)アプリ 
○農政情報をスマートフォンで農家に配信

農業、雪不足の影響情報共有 道やJAなど、初の連絡会議 /北海道
2020.01.31 北海道朝刊 29頁 1道 写図有 (全540字) 
 今冬の記録的な雪不足を受け、道は農業への悪影響を防ぐための情報共有などを進める「雪不足に対する営農技術等連絡会議」を開いた。道農政課によると、雪不足で農業関係の連絡会議を開催するのは初めてだという。
 会議は20日に道庁で開かれ、道のほか、JA北海道中央会、ホクレン農業協同組合連合会、道土地改良事業団体連合会、道農政事務所、国土交通省北海道開発局、札幌管区気象台の担当者が出席。同日付で会議を設置し、情報共有を進めることを確認した。
 道によると、雪が少ないことの影響として、土壌が凍結して春の農作業の開始や作物の生育が遅れる、野生生物による食害が発生する、などの可能性があるという。また、雪解け水によるダムの貯水量が不足し、農業用水の不足も懸念されるとして、貯留開始を早めることも検討するという。
 気象台によると、今冬の累積降雪量は、日本海側で平年の5~8割で、太平洋側やオホーツク海側では3割を切る地域もあるという。今月中旬時点での積雪量も、各地で平年の半分以下にとどまっている。今後1カ月の予想でも平均気温は高めで、降水量は日本海側では少なく、それ以外の地域でもほぼ平年並みとみられている。
 道農政部は「会議で情報共有を進め、農業への影響を最小限に抑えたい」と話している。(田之畑仁)
朝日新聞社

ダム事前放流体制構築*十勝川水系*関係者協定締結へ
2020.01.31 北海道新聞朝刊地方 15頁 帯B (全372字) 
 十勝川水系のダムで大雨に備えた「事前放流」を円滑に実施するための初の協議が30日、帯広市内で開かれ、3月をめどにダム管理者をはじめとする関係者が治水協定を結び、6月の運用開始を目指すことなどを確認した=写真=。
 帯広開建や十勝総合振興局、管内自治体、電力会社などから30人が出席した。帯広開建によると、十勝川水系にあるダム13カ所の有効貯水容量は計3億2200万立方メートル。このうち、水力発電や農業用水などに必要な容量を除いた洪水調節に利用できる余裕は計1億1300万立方メートルとなる。
 協議では、水害を防ぐため事前放流の手順などをまとめる必要性や全国の状況などについて説明があった。今後2回協議して協定を締結し、運用法などを記した工程表を作成する。帯広開建の斎藤大作次長は「連携を深めて取り組みを円滑に進めたい」と話した。
(広田まさの)
北海道新聞社

大雨前 ダム事前放流へ 被害軽減へ関係者ら協議会=佐賀
2020.02.01 西部朝刊 26頁 (全453字) 
 嘉瀬川、六角川、松浦川水系のダムで水害の発生が予想される大雨の前に事前放流を行う運用を始めるための協議会が31日、発足した。あらかじめダムの水位を下げて貯水できる容量を増やし、下流地域の浸水被害を軽減するのが狙い。河川、ダムの管理者や利水者で組織し、各水系ごとに実施方針を定めた治水協定を締結する。
 構成は15か所のダムの関係団体で、国土交通省武雄河川事務所(武雄市)や県、流域の市や土地改良区、水力発電を行う電力会社など。
 事前放流の運用は、昨年の台風19号などによる大規模水害を踏まえ、国が既存ダムの洪水調節機能の強化を図るための基本方針として打ち出している。
 運用では事前放流の後、降雨でダムの水位が回復することを前提としている。水位が回復せずに水道事業者や発電事業者らに損失が出た場合には、国が穴埋めすることにしている。
 同事務所であった初会合には、構成団体の代表者らが出席した。同事務所は、梅雨時期の前までに事前放流の実施の方法などを定めることを考慮し、「3月ぐらいまでに治水協定を結びたい」としている。
読売新聞社

洪水調整ダム活用強化 嘉瀬、六角、松浦 3水系で協議会
2020.02.01 佐賀新聞 26頁 社会 (全521字) 
 嘉瀬川、六角川、松浦川水系にあるダムの洪水調整機能を強化する方策を話し合う協議会が31日に発足、武雄市の国土交通省武雄河川事務所で初会合があった。3水系の15ダムの管理者と利水者が、治水だけでなく利水目的の貯水も事前に放流して洪水対応に当たる方法などを詰める。6月までに実施要項を策定する。
 昨年の台風19号被害を受けて国がまとめたダムの機能強化方針に対応するため、国や県に加え、武雄、唐津、多久、伊万里の4市、3土地改良区や気象台、九州電力らで構成する協議会を設けた。
 初会合には約30人が出席した。事前放流実施の条件や量、連絡体制などを定めた治水協定を水系ごとに3月までに結ぶことや、機能強化のためのソフト・ハード対策をまとめた工程表を5月までに作成することを決めた。
 武雄河川事務所は事前放流に関し、治水容量に加え、利水容量の一部も放流して洪水発生前にダムの貯水位を低下させる方法を説明した。放流後に水位が回復せず影響が出た場合、国管轄のダムでは広報活動や給水車の出動、代替水源対策などの費用を利水者に補てんしていると説明した。
 協議会は3月と5月にも開く。事前放流演習なども実施し、出水期の6月までに運用を開始する方針。(小野靖久)
佐賀新聞社

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