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AIを活用したCM動画について考えてみた!

おはようございます。今日も猛烈な暑さが予想されておりますが、皆さんも熱中症対策しながら健康に気を付けてください。ちょうど一週間前から1日1~2本程度にOpen AIの公式YouTubeチャンネルにてSORAで制作された新しい動画がアップロードされていて、その進化を確認してみました。昔の動画を活用したのかそのままSORAでレトロな雰囲気をだしたのかわかりませんが、白黒フィルムで映像制作した時を思い出させるような動画にPandaを含めて多様な動物が出ている動画をリリースしました。正直そのナチュラル感にびっくりで、最近LUMA AIのDream MachineやRunway MLのGen3-alpha同様動画部分の発展もスピードが速い気がして若干怖いほどです。

今日はこのように変化の速いAI動画制作技術が広がる中でCMなど単価の高い動画制作業界や広告業界の未来について考えてみました。

はじめに

冒頭で申し上げたようにAI(人工知能)は、さまざまな産業において大きな変革をもたらしており、その中でも広告業界、特にCM動画制作の分野においてはその影響が広がりつつあると思っています。特に視空間的な制約があるこの業界でAI技術は、効率化、クリエイティブの拡大、ターゲティングの精度向上、それから誰でもアイデアさえあればできる接近性向上など、多くの利点を提供してくれるでしょう。しかし、一方でAI導入に伴うリスクや課題も存在します。もちろん自分がどのような立場でどのような経済活動をしているかにも大きく影響されると思いますが、AI技術を無視できない状況になりつつあると思います。本記事では、AIを活用したCM動画制作の現在と未来、さらにはその利点とリスクについて詳細に探ってみたいと思います。

まず、AI動画制作技術の実力を感じていただきたいと思いますので下記のSwedenの車メーカであるVolvo社の(公式に作った動画ではない)CM動画をご確認ください。

Volvo社の安全と環境を重視する企業イメージを参考にエコを意識した非公式CMです。ハンガリーの色彩専門家、ラズロ・ガール(Laszlo Gaal)さんという方が作ったようで、メイン動画制作にはRunwayの新しいGen-3アルファを使用し、詳細に関しては従来のAfter Effectsを使用したと知られています。その結果、都会を通り抜けながら緑豊かな植生に痕跡を残す車の様子を見事に表現できる映像が誕生しました。

AIとCM動画制作の現在

AIでテキスト生成やイメージ生成に関しては比較的になじみのある方が増えていると思いますが、実際波及力の大きい分野が動画領域ではないかと思います。最近YouTubeを含めてTiktokや様々なコンテンツプラットフォームは動画重心で再編されているほど、ユーザーの動画コンテンツ消費量は年々増えているのが現像です。TVのようなレガシーメディアが以前よる弱くなっているとはいえ、いまだにテレビCMは影響力が高くそのコンテンツもかなり注目されています。ただ、やはりCM制作には莫大な製作費がかかり、その費用対効果を考える簡単にやってみる施策ではなく大企業も負担になることが多いでしょう。なのでこの領域でのAIの活用は避けられない流れになると思っています。もちろんクリエイターに対する尊重やAIができない領域も残るとは思いますが、CM動画制作の各段階で革新的なツールとしてAIはもう既に活用されているのが現状です。以下は、AIがどのようにCM動画制作に貢献しているかの具体例ですのでご参考ください。

  1. アイデア生成とストーリーボーディング制作: AIはありそうな答えを繋いで答えることができるのでプロンプト作業やStep by Stepに活用することで一定のコンテンツを確保する・アイデアを得る事が可能です。まさに、ターゲットオーディエンスの嗜好に基づいたアイデアを提供することができます。これにより、広告主はより効果的なメッセージを発信できるようになりますので、以前よりもAIを活用することで生産性、すなわちストーリーボードを制作するのに時短になっています。もちろん独自の視点やクリエイター独自の経験から生まれたアイデアなしでは本当の良いストーリーはできないケースもあると思いますが、逆に躓いたときにアイデアをくれるケースも増えているようです。

  2. 映像編集とエフェクト: イメージや画像業界ではAdobeのFirefly、CanvaなどAIを活用した様々なツールが生産性を上げておりますが、動画業界でも映像編集ソフトウェアや動画制作ソリューションに統合され、時間のかかる編集作業を自動化していくでしょう。特にエフェクトやトランジションの適用において、AIは人間の手を介さずに意図さえちゃんと説明してくれればもっとエフェクトの良いプロフェッショナル編集者のように仕上がりを実現してくれる時期が遠くないでしょう。

  3. 音声合成と字幕生成: AIの音声合成技術により、ナレーションやセリフの自動生成が可能となり、多言語対応のCM制作が迅速に行えることができます。実はグローバル車メーカであるHUYNDAIはイメージや動画素材をグループ会社内で活用できるマーケティングコンテンツプラットフォームを構築してブランディングやマーケティング効率を上げております。このようにAIや仕事が効率化していくなかでAIによる自動字幕生成機能も進化しており、アクセシビリティの向上にも寄与していくのもはや当たり前になっていくと思います。

上記はFEDEXのCMですが、AI動画制作ツールとMidjourneyなどを利用して制作された動画です。AIによってその表現力が一段と高まることができるのである意味クリエイターの基準が今後変わっていくのではないかと思っています。

AIを利用するメリット

AIを活用することで得られる利点は非常に多岐にわたります。まず、効率化とコスト削減の面で大きなメリットがあります。従来の手作業(ロケ地への移動や関連コストも含め)によるプロセスを自動化・簡易化することで、制作時間を短縮し、コストを大幅に削減することができます。例えば、映像編集やエフェクトの適用にAIを導入することで、これまで時間がかかっていた作業が瞬時に完了し、クリエイティブチームは他の重要なタスク、例えばもっとクリエイティブな事に集中することができます。このメリットは生成型AIの基本的な利点でもいえるでしょう。

次に、データドリブンな制作も可能になる点も見逃せません。動画制作に直接関係するものではないですが、マーケティング業務の中でAIを活用することは非常に役に立つと思われます。視聴者の行動データや視聴データに基づき、精緻なターゲティングを行い、より効果的なCMを制作することを支援できるからです。もちろんこのようなデータを取るためにはプライバシーに関係する法制度などの整備にハードルがあると思いますが、オンオフライン統合されていく今の世の中の動きをみるとある程度AIが予測できるでしょう。例えば、視聴者の過去の行動や興味関心を分析することで、彼らに最も響くコンテンツを提供することができます。このデータに基づいたアプローチにより、広告のリーチとエンゲージメントが飛躍的に向上できる動画の制作アイデアの提供ができるようになります。それからコスト削減によって今まで限界のあった動画コンテンツのA/Bテストを以前より気軽に行える環境になると信じてします。

さらに、AIはクリエイティブの幅を広げる役割も果たしてくれるのではないでしょうか。AIは既存のアイデアにとらわれず、新しい視点からクリエイティブな提案を行うことができます。例えば、AIが異なる文化や市場のトレンドを分析し、それに基づいた新しいコンセプトを提案することや人間の固定概念に捉えず、様々な視点でアイデアを豊富に提供してくれることに期待しています。従来の枠にとらわれない斬新なCMが生まれる可能性があるに違いありません。このようにして、広告主は視聴者に強烈な印象を与える革新的なCMを制作することができるのです。Open AIのSORAで作られた動画コンテンツを見ると説得力ある話だと思いますが、皆様はいかがでしょうか。

以上のように、AIの活用はCM動画制作において多大な利点をもたらします。効率化とコスト削減、データドリブンな制作、そしてクリエイティブの幅の拡大という三つの観点から、AIは広告業界における新たな可能性を開いています。これらの利点を最大限に活かすことで、広告主はより効果的で魅力的なCMを視聴者に届けることができるでしょう。本当に目が離せません。

ただし、AIによる動画制作にリスクもあります。メリットだけでなく、そのリスクに関しても考えてみたいと思っています。

AIを活用するリスク

  1. 品質保証の問題

AIが生成するコンテンツの品質や著作権に関しては常に人間の手によるものと同等であるとは限りませんし、実際人間の手が加えていかないとかなり不自然なシーンが多いのも事実でございます。AIは大量のデータを基にコンテンツを生成しますが、動画の場合はテキスト、イメージを超えて物理的な原理も取得しているため、その細かい動きや生成された結果が必ずしもクリエイティブな品質を保証するものではありません。特に、細部にこだわる必要があるクリエイティブな作業では、AIの限界が露呈することもあります。例えば、感情やニュアンスを含む複雑なシーンの演出においては、人間のクリエイターの繊細な判断が必要です。なので実際かなり完成度の高い動画だけで見て誰でも同じレベルの動画が作れるかというとそうではないのです。ただし、そのハードルは非常に速いスピードでなくなりつつあることは否定できません。

2.著作権と倫理の問題

AIが生成したコンテンツにおける著作権や倫理的な問題が発生する可能性があります。今もYouTubeの動画を学習したしてないなど議論が起きたり、EUではAI関連サービスをリリースするのを拒んでいたり(規制対象になったり)まだ解決しないといけない問題が多く存在します。特に、AIが学習するために使用するデータセットが著作権で保護されたものである場合、そのデータの使用方法には慎重な対応が求められます。また、生成されたコンテンツが意図しない倫理的な問題を引き起こすこともあり、AIの活用には常に倫理的な視点が必要です。例えば、AIが偏見やステレオタイプを再生産するリスクがあり、それを防ぐための対策が重要です。それからどんな良い技術でも悪いコンセプトや反社会的にお金だけ儲けばよいと考える人々も数多くいると思います。世の中綺麗なことだけではないということですが、やはりこのような問題に関しては個人的にEUの議論をオープン化するGrenn Paper制度などEUの流れが一番現実的で良いと思っています。結局人間のために技術は存在すべきであると思っているのでインパクトの大きい技術であればあるほどもっと議論と制度整備が大事だと思います。

3.人間の役割の減少で我々の仕事はどうなる?

既にクリエイティブ関連業界ではストーを起こしたり、AIが奪う仕事に関して大きな危機感を持っております。AIの導入により、従来のクリエイティブな役割が減少する懸念はもはや現実的な事になっているのではないかと思います。これにより、クリエイターたちの雇用やモチベーションに影響を与える可能性があります。特に、AIが自動化できるタスクが増えるにつれ、人間のクリエイターはより高度なスキルや創造性を要求されるようになりますが、この仕事も絶対的な仕事創出力は減る仕事と比べてみるとその伸びは限界があるでしょう。この変化に対応するためには、AI時代の中クリエイティブな教育やスキルの再訓練が重要となりますので、企業だけでなく、国全体的なスタンスで未来の環境変化に合わせて準備していく必要があると思っています。

未来の展望は?

1.パーソナライズドCMの普及

AIの進化により、個々の視聴者に最適化されたパーソナライズドCMが一般化するでしょう。これにより、広告効果が飛躍的に向上することが期待されます。例えば、NetflixやAmazon Prime Video、Ameba TV, Tverなどのストリーミングプラットフォームでは、視聴履歴や嗜好に基づいたパーソナライズド広告を配信することが可能です。これにより、視聴者はより関連性の高い広告を受け取ることができ、広告主もターゲットオーディエンスに効果的にリーチできます。

2.リアルタイムのフィードバックと改善

AIは視聴者のリアクションを分析し、そのデータを基にCMを迅速に改善することが可能となります。それからドラマのように人気具合やGVRデータに基づき続編を早く制作し披露することが可能になるでしょう。このサイクルを繰り返すことで、常に最適なCMが配信されるようになります。(少し行き過ぎたはなしかもしれませんが)例えば、SNSプラットフォーム企業ではソーシャルメディアプラットフォームでは、AIがリアルタイムでユーザーの反応をモニタリングし、広告の効果を最大化するための動画をAIで作成し配布することも有名ではない時代が来るかもです。パーソナライズCMやこのようにユーザー反応を見て対応できるのはやはりAIによる制作の効率化とコスト削減の力だと思います。本当にゲームチェンジャーともいえるのではないかと思っています。

3.新たなクリエイティブ表現の探求

AIは、人間のクリエイティブな発想を補完し、新たな表現方法を模索するツールとして活用されるでしょう。これにより、従来の枠にとらわれない革新的なCMが生まれることが期待されます。例えば、AIは仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術と組み合わせることで、新しい体験型広告を創造することができます。このような革新的なアプローチは、視聴者に強烈な印象を与え、ブランドの認知度を高める効果があります。ただし、日々良くなるAI動画制作ツールですが、詳細編集や効果に関しては意図したコンテンツがでるまで繰り返し作成し続ける必要があるため、この辺の効率化が図れるツールがでるともっとよいかと思います。

アメリカのトイザらス社が作ったOpenAIのSORAを活用したCM動画。

結論

AIを活用したCM動画制作は、効率化とクリエイティブの幅を広げる一方で、品質保証や倫理的な課題も抱えています。しかし、これらのリスクを適切に管理することで、未来のCM制作はより効果的で革新的なものとなるでしょう。映画やドラマなど人の感情に直接営業を与える領域は部分的に使われる傾向になるかと思いますが、ユーザーの関心や新しい視点でインパクトを与えるのが大事である広告業界ではAIとともに進化していく未来がもう来ているのではないかと思っています。その過程を見守りながら、我々もまた、新しい時代のクリエイティブな挑戦に積極的に取り組んでいくことが求められるのではないでしょうか。AIというツールは回避できるレベルを既に超えている気がします。どんな立場であろうとAIの技術革新とユーザーの反応に関しては注意を払いつつ活用していったほうがよいかと思います。

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