育児休業の最新情報についてまとめました!〜育児休業の周知義務化の準備にお役立てください!〜
2021年1月27日、厚生労働省から育児休業の制度見直しの方針発表がありました。今回の見直しの目的は、男性の育児休業の取得促進です。政府としては男性の育児休業取得率を2025年までに30%に引き上げることを目標としていますが、一昨年10月時点では7.48%に留まっています。
改正内容としては、「子どもが生まれてから8週間以内に、合わせて4週間の休みを2回に分けて取得できるようになること」、「継続して育児を担えるよう、出産直後の2回の取得と合わせて最大4回に分けて育休を取ること」が盛り込まれ、有期契約の非正規労働者が育児休業を取得する条件である「雇用期間一年以上」を撤廃するということも検討されています。
※詳細はこちらをご参照ください。
厚生労働省「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会報告」
そしてもう一つ。
2022年4月からは、従業員への制度周知が義務化されるそうです!
日本経済新聞「男性育休、22年4月から企業に周知義務」
上記時点での対象は大企業のみのようですが、今後中小企業も対象になることを見越して、従業員への周知を進めてはいかがでしょうか。また、従業員にとっても、規模に関わらず会社がきちんと説明してくれることは安心感にもつながることだと思います。
下記に、現時点での育児休業についての最新情報をまとめました。
人事総務ご担当者様の情報整理、そして従業員の皆様への周知にお役立てください。
※本記事の内容は、公開時点の内容です。最新の情報は、厚生労働省のウェブサイトご確認ください。
育児休業の対象・期間
育児・介護休業法では、法第5〜9条の2に「育児休業」について書かれています。まず、育児休業の原則は「労働者が、原則としてその1歳に満たない子を養育するためにする休業」です。
ここで言う「子」とは、実子を含め労働者と法律上の親子関係がある子で、養子や特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子、養子縁組里親に委託されている子が含まれます。
以下、育児休業の期間や取得の手続きについて整理しました。
対象の労働者
- 労働者(日々雇用を除く)
- 有期契約労働者は、申出時点で次の要件を満たすことが必要。
①入社1年以上 ②子が1歳6か月(2歳までの育児休業の場合は2歳)に達する日までに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでないこと
− 労使協定を締結することにより、対象外となる労働者
①入社1年未満の労働者 ②申出の日から1年以内(1歳6か月又は2歳までの育児休業の場合は6か月)に雇用関係が終了する労働者 ③1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
育児休業取得可能な期間
- 育児・介護休業法では、原則として「子が1歳になるまで」を育児休業期間として定めています。ですが、要件を満たせば育児休業期間を1歳6ヶ月・2歳まで延長することが可能です。
- 1歳6ヶ月まで:本人または配偶者が子の1歳の誕生日の前日時点で育児休業中で、かつ次のいずれかに該当する場合は1歳6ヶ月まで取得が可能です。
- 保育所(無認可保育施設は含まれません)に入所の申し込みを行っているが、子の1歳の誕生日以後の期間について、当面入所できない旨通知された場合。
- 常態として子の養育を行っている配偶者であって、子の1歳の誕生日以後の期間について常態として子の養育を行う予定であった者が死亡、負傷・疾病、離婚などによって子を養育することができなくなった場合。
- 2歳まで:本人、または配偶者が子の1歳6か月の誕生日応当日の前日時点で育児休業取得中で、かつ次のいずれかに該当する場合は2歳まで取得が可能です。
- 保育所等(無認可保育園は含まれません)に入所の申込を行っているが、子の1歳6か月の誕生日応当日以後の期間について、当面入所できない旨通知された場合。
- 常態として子の養育を行っている配偶者であって、子の1歳6か月の誕生日応当日以後の期間について常態として子の養育を行う予定であった者が、死亡、負傷・疾病、離婚などによって子を養育することができなくなった場合。
回数
原則は1回です。ただし、子の出生日もしくは出産予定日のいずれか遅い方から「8週間以内」に産後休業をしていない労働者が最初の育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても、再度の取得が可能です。
手続き
休業開始予定日の1か月前(1歳6か月、2歳までの育児休業の場合は2週間前)までに書面等により事業主に申し出る必要があります。
パパ休暇
育児休業の取得は一人の子供に対して原則1回までですが、子の出生後、父親である従業員が8週間以内に育児休業を取得した場合には、再度育児休業が取得できる制度です。
要件は、「子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること」、そして「子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること」です。
つまり、配偶者の産前産後休暇期間内に育児休業を取得していることが条件です。
パパ・ママ育休プラス
両親それぞれが育休を取得した場合には、1歳2ヶ月まで育児休業を延長することができます!条件は下記の3つです。ただし、子の母の育児休業開始が、父の育児休業開始よりも前である場合には「パパ・ママ育休」を利用できないのでご注意ください。
- 育児休業を取得しようとする労働者(以下「本人」)の配偶者が、子の1歳の誕生日の前日までにおいて育児休業を取得していること。
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること。
- 本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
パパ・ママ育休プラスの取得パターンについて、下記参考資料にて紹介されています。ライフスタイルや育児の考え方に合わせ、利用できる制度です。
参考:厚生労働省 育児・介護休業法について、パパママ育休プラスパンフレット
育児休業給付金
育児休業給付金とは、雇用保険に加入している労働者が、育児休業中に受けることのできる給付金です。主な内容についてまとめました。
受給条件
男性・女性といった性別は条件ではありませんので、男性で育児休業を取得した方も下記条件に該当すれば受給が可能です!
この給付金は復帰を前提にしているため、育児休業取得時点で退職が決まっている場合には対象外になります。ただし、育児休業を取得して受給資格を確認した後に退職が決まったのであれば、退職日を含む支給単位期間の一つ前の支給単位期間までは支給対象となります。
- 育児休業に入る前の二年間で、月に11日以上勤務した月が12ヶ月以上あること。ただし、期間中に第一子の育児休業や本人の疾病などがあった場合には、受給条件が緩和される場合があります。
- 有期雇用の場合:育児休業開始時に、同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、子が1歳6か月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでないことが必要です。
受給期間
産前産後休業から続いて育児休業を取得した場合には、出産から58日後が受給開始日となります。男性の場合には、配偶者の出産当日が受給開始日です。終了は、子の一歳の誕生日の前々日ですが、育児休業が延長になった場合には受給期間も同じく延長になります。
金額
「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」が給付額となります。ただし、育児休業開始から半年経過すると、67%→50%と変更されます。
休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額、賞与は除く。)を180で割った金額であることが原則です。
ただし、1支給単位期間(30日)に、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われている場合には、支給対象外となるためご注意ください!育児休業中に就労する場合、10日間(80時間)以下であれば、給付金を受給することができます。
詳細はこちらをご参照ください。
厚生労働省 育児休業中の就労について
その他
- 育児休業給付金は非課税です。
- 雇用保険料の負担は発生しますが、社会保険料の納付は免除されます。
- 手続きは、原則として事業主を経由して行います。
- 支給決定から一週間程度で指定口座に振り込まれます。支給決定日は「育児休業給付金支給決定通知書」に記載されています。
参考:厚生労働省 Q&A~育児休業給付~
TIPS〜最新の法改正:子の看護休暇の時間単位取得〜
育児・介護休業法には、他に「育児・介護のための所定外労働・時間外労働の制限(法第16条の8〜9、17〜18条)や、「育児・介護のための深夜業の制限(法第19〜20条)」、「育児・介護のための所定労働時間短縮の措置(法第23条)」といった、育児や介護をしながら働き続ける環境整備について書かれています。
令和3年1月1日には、「子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得」が可能になりました!
以前は「半日単位」かつ「所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない」という条件でしたが、今回の改正によって「一時間単位」かつ「すべての労働者が取得可能」になりました。
これに伴って、就業規則の内容も変更する必要があります。
まだ変更していない場合には、厚生労働省のサイトに記載されている就業規則の例文を参考にしながら速やかに対応しましょう!
参考:厚生労働省 子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A
TIPS 2〜イクメンプロジェクト〜
厚生労働省が設けた一定の基準をクリアし、子育てサポート企業として認定された証となる「くるみんマーク」「プラチナくるみんマーク」をご存じの方は多いのではないでしょうか。同じように、厚生労働省が主導する「イクメンプロジェクト」では、男性の育児と仕事との両立を積極的に推進する企業を「イクメン推進企業」として表彰を行っています。
過去に表彰を受けた企業の事例紹介や、社内用研修資料が掲載されています。冒頭にご紹介したとおり、男性の育児休業取得については今後注目されるトピックスですので、自社での展開について調査をしておくことをおすすめします。
参考:イクメンプロジェクト(厚生労働省)イクメン推進企業・イクボスアワード受賞者
・・・・・
総務・労務担当の方にとっては、説明すべきことが多く大変ではありますが、今後の義務化や従業員の安心感醸成のために取り組みを検討されてはいかがでしょうか。
今後も本noteでは最新情報や法改正についての情報提供をしてまいります。コーポレート担当の皆様をエンパワメントできる記事を目指してまいりますので、一緒に取り組んでいきましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?