もーそーの話 「猫の話」
「猫の話」
地域猫がたぶん亡くなった
僕の通勤路に2匹で暮らす猫が居た
1匹は太い猫で、
もう一匹は小柄で尻尾が丸い猫。
太い猫の方は去勢されていてさくら耳。
朝とか夕方に餌をやりに来る人が居て
ビルの足元で雨宿りしたり
垣根の中に寒くないように宿を用意してもらっている
二匹はたぶん兄弟で、だからかいつも付かず離れずの所にいた
太い方はのそのそとゆったり動く
小柄な方は警戒心がより強く餌をやる人以外には絶対によりつかない
僕はもちろん名前なんか知らない
朝、雨上がりの日に餌やりの人が
餌をやりながら太い方を
地面に座り込んで抱きしめて撫でていたのが
印象深かった。
数週間前から二匹ともいつもの時間に姿を見せなくなって、別の餌場でも出来たんだろうかって思っていたんだけど
やっぱり何日眺めててもいない
そこから更に数日後、
僕は妻と夜に軽い散歩をするのだけど、
いつものビルから少し離れた所で
横切る小柄な方を見かけた
小柄な方!
生きてたか!良かった!
でも、あの警戒心からすると彼?彼女?が
遠出をするのもなんか腑に落ちない
猫同士の縄張りって鉢合わせないように
シェア方法が決まっているって言うから
縄張りを広げる出来事があったのかもしれないと思った
そうなると太い方は亡くなったのかもしれない
彼の範囲を守るためか、受け継いだのかは分からないけど、そこで小柄な方を見かけてからいつものビルの足元で彼が餌をもらうのを再び見かけるようになった
猫に弔いがあるのかどうかも分からない
だけど確かに絆みたいな物を持っていて
親兄弟との繋がりとその断絶を
どんな風に感じるのだろう
昨日餌やりの人に鳴きつく声が
なーんかいつもより余計だったような気もして
生きてくのって大変だなって思った。