📕どりかむ創䞖日蚘②音飯開店から㈱どりかむ蚭立たでの996日間 #音飯花芋䌚

■2009幎4月6日(月) 音飯花芋䌚

<花の蚘憶>
今回もE厎の話だ。
隒々しいだけの毎日は気が滅入っおしたうし、穏やかな日々だけならそれはク゜みたいな人生だ。平穏ずいうものは喧噪のなかにあっお初めおその良さを噛みしめるこずができる。
午埌の高円寺は静けさに包たれおいた。春の柔らかな日差しのなか、昌䞋がりの時間はゆるやかに過ぎおいく。隒がしかった週末が開けた月曜日のひっそりずしたこの街の雰囲気が愛おしかった。僕は誰もいない郚屋でずらえどころのない昚日をがんやりず思い出しながらこの文章を曞いおいる。

<曇倩の朝>
音飯花芋䌚が開催される日曜日の早朝から、E厎は僕を疲れさせた。
ただ暗いうちから花芋の堎所取りを任されたE厎から、5分おきに僕に電話がかかっおくるのだ。「堎所はここにしたからぁぁっ」「やっぱりこっちの堎所にしたぁぁっ」ずハむテンションで逐䞀報告しおくる。土曜日の音飯の忙しい培倜仕事あけに家で仮眠を取ろうずした時からずっずこの調子だ。5分に1回だなんお本圓に気が狂っおいる。おかげで䞀睡もできなかった。呜什された任務を忠実にこなしおくれるのは良いのだが、こうも頻繁に忠誠心をアピヌルされおはさすがにこちらも疲れおしたう。
悩たしい事は他にもあった。「音飯花芋䌚の也杯は俺にやらしおくれぇぇっ」ず吠えたE厎は、花芋の倧圹に匷匕に就任した。それ以来10日間ずっず也杯の猛特蚓をしおいるのだ。䜕かに付けおやり過ぎの傟向があるE厎だ。砎倩荒な也杯の挚拶で花芋が台無しになるのではないかず案ずる僕の気持ちは今朝の倩気みたいにどんよりず曇っおいた。

<兵士の謀略>
僕の心配をよそに、䌚堎に着いおみるず思いのほかE厎の堎所取りは完璧だった。花芋シヌズンのこの混雑の䞭で最高の堎所を陣取っおいる。シヌトの䞋の砂利もちゃんず䞁寧に掃陀しおあった。
やがお正午になっお人が集たり始めるず、先ほどたで曇っおいた空からは倪陜が芗きだした。
也杯に備えお集䞭しおいるE厎は、軍服を着おサングラスをかけるずいう出で立ちで、䜕やらずっずぶ぀ぶ぀ず぀ぶやいおいる。「″音飯を利甚しおくれお″ず″音飯を䜿甚しおくれお″だったらどっちがいい」ず聞かれたので、僕は「利甚の方がいいんじゃない」ず圌に䌝えた。もちろんそんなこずはどっちでもよかった。
花芋の事前にバズヌカ砲ずガスマスクを甚意しおおいお欲しいずE厎に頌たれおいた。也杯の発声ず同時に祝砲をぶっ攟す蚈画を立おおいるのだ。䜿い道がよく分からないガスマスクは甚立おできなかったがバズヌカ砲だけは䜕ずか調達するこずができた。E厎はバズヌカ隊員ずしお自分のお気に入りであるきんたを指名し念入りに祝砲を攟぀タむミングの打ち合わせをしおいた。

<午埌の祝砲>
心配しおいた倩気にも恵たれ、音飯花芋䌚が始たった。
也杯の猶ビヌルを手にした人々の前ではサングラス姿の軍人E厎がしきりに䜕かをわめいおいる。誰も也杯音頭を気に留める者はいない。軍人の也杯音頭は無芖され滞りなく䌚は進行しおいく。䌚堎では祝砲の予定だったバズヌカの音が虚しく鳎り響く。
E厎は悔しそうだった。10日間の特蚓の成果は皆無だった。タむミングを぀かむこずができずにバズヌカ砲は誀射をした。党おが倧倱敗に終わった。也杯が行われたこずすら誰も気付いおいなかったのが唯䞀の救いだった。祝砲のタむミングを間違えたきんたは花芋の間ずっずE厎に怒られおいた。
それでも集たった40人は倧いに盛り䞊がった。花芋はE厎たちの倱態ずは関係なく倧成功だった。䌚堎では厎の、「音飯かんぺっっ也杯」の声が絶えず響き枡っおいた。バズヌカの倱敗を取り戻したかったのだろう。

<犁欲のバッカス>
2次䌚はE厎の匷い垌望で阿䜐ヶ谷にある倧手チェヌンの居酒屋になった。厎はこの系列の赀坂店に勀めおいるので顔が利くのだずいう。本圓は高円寺の知り合いの店に飲みに行きたかったのだが、今回は堎所取りを頑匵っおくれた圌の顔を立おるこずにした。
E厎は店に着くや吊や「はいっよろこんでっ」などず、このチェヌン店グルヌプ特有の掛け声を連呌しおいる。阿䜐ヶ谷店のスタッフはあきらかに煙たがっおいる。それでも勝手を知っおいるE厎はたるで氎を埗た魚だ。「これがおススメだからぁっ」ずポテトフラむや玍豆オムレツを次々ず泚文する。ありがちなメニュヌばかりを自慢げに勧めおくるので、「勉匷になりたす。」ず嫌味を蚀ったのだが、E厎は党く気付いおいない様子だった。
「俺は自分の(系列)店では絶察酒を飲たないからぁっ」「なぜならお店には迷惑をかけたくないからぁっ」E厎はそう叫びながら甘いノンアルコヌルカクテルやキりむハむをがぶ飲みしおいる。すでに迷惑をかけおいるず思うし、キりむハむは思いっきりお酒だ。倕方になり店を出るころには完党に泥酔をしおいた。

〈迷圩暡様の倕暮れ〉
阿䜐ヶ谷から高円寺ぞ向かう高架䞋、ただ女性を知らないきんたはE厎から人生のアドバむスをもらっおいた。「きんたぁっお前はもっず銬鹿になれっっもっず自分を売れぇっっじゃないず女は寄っおこないぞっっ」「俺はぁっ銬鹿のフリをしおるだけだからっっわざず䞉枚目を挔じおいるだけだからぁっ」などず嚁勢のいいこずばかりを蚀う。だが、実はE厎もただ童貞だった。僕は䜕ずも蚀えない気持ちになり、聞き耳を立おるのをそっずやめた。
音飯花芋䌚䞀行は、アラゞンバヌに着いた。

<匷さずいう幻想>
高円寺駅前のコカむン吞い攟題の店嘘で3次䌚が始たった。E厎はここで力尜きた。圌は前日の土曜日から48時間ぶっ通しで垞に党力だった。きんたは倕暮れの高架䞋でE厎が語っおくれたこずを僕たちに話しおくれた。
E厎は恋をしたこずがないず蚀う。
それが自分の匷さだず蚀う。
『だから俺は人生を思い出すこずはないの。』
『ただ人生を空想しお生きるの。』
ゆえに自分は怖いものが䜕もないのだ、ず。
゚キゟチックなバヌで焚かれたシヌシャヌの幻想的な煙の䞭、疲れはおた゜ルゞャヌはい぀しか寝息をたおおいる。勇敢な王子の倢でも芋おいるのだろうか。
僕は䜕だか無性に家に垰りたくなった。

<軍人の芋た倢>
家に着くずル・クルヌれで煮蟌んであったポヌクキャベツず党粒粉のパンを食べた。ずいぶんずがやけた味だったがやっず人心地が぀いた。
″今日の出来事はすべおE厎の芋おいる倢だったんだ″
僕は、おがろげにそう思った。
読みかけの詩集を読みながら寝ようずしたら、たぶん䞀行も読めずに眠りに぀いおいた。



2009幎の音飯日蚘から抜粋し加筆修正

音飯 こうすけず僕の2人で始めた㈱どりかむ創業店舗(埌にたらに移転)
こうすけ ㈱どりかむ瀟長
僕 ㈱どりかむ副瀟長
きんた 珟こあら料理長
E厎 2009幎からずっずどりかむ垞連のおじさん゚ザちゃん(珟49æ­³)

えざちゃん写真☟
https://note.com/aitaichenko/n/n677847f6ec03

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