競馬AI開発に役立つおすすめ書籍


競馬AI開発をするためにはある程度の知識/技術が必要です。

基本的には壁にぶつかったときにインターネットで疑問点を調べ解決していく方法が有効ですが、前提となる基礎知識や開発に役立つ情報など網羅的・体系的にまとめられている書籍から学ぶことも重要であり、私自身常にインターネットだけでなく書籍から情報を取得するようにしています。

よく「競馬AI開発のためにおすすめの書籍ありますか?」といった質問を受けることがあるので、私自身が読んで役に立ったと感じた書籍を紹介していこうと思います。

競馬本全般

「競馬」AI開発をするためには当然「競馬」に関する知識が不可欠です。
ただ、普通に書籍を読み込むのではなくある程度基礎知識を習得してからは、「知識をデータ化(特徴量化)ができるか?」といったの視点を重視して読んでいます。

 勝ち馬がわかる競馬の教科書

競馬知識を総合的に学ぶのに適した一冊です。

競馬新聞の見方や調教、パドック、各競馬場の特徴、血統、馬券な競馬に関する知識を網羅的に学べるため、競馬AI開発する/しないに関わらず最初に読んでおきたい書籍です。

勝ち馬がわかる血統の教科書

メディア出演でもお馴染み血統評予想家の亀谷さんの書籍です。

私自身競馬に関する知識の中でも血統は不得意な分野の一つです。

また、血統は年によって移り変わりが激しく、競馬ファンの認知度によって使える知識も変わってくるため、競馬AI開発においては特に関連するデータの扱いに気を付けなければならないと考えています。
ただし、競馬をする上で血統は非常に重要であるため、必ずしも全種牡馬について特徴を言えなくとも、血統の区分や、○系はこういう馬場に強い、といった知識はおさえてデータ化したいと考え勉強しました。
血統に関する書籍や情報は多いですが、あれこれ出すよりもまずは血統の勉強をする際に読んでおきたい1冊です。 

「絶対に負けたくない!」から紐解く穴パターン事典

競馬予想家として絶大な支持があるメシ馬さんの書籍です。

こちらは競馬そのものに関する知識というより、タイトルの通り「どのような馬を買えば勝ちやすいか?」といった内容を学ぶことができます。
各パターンについて、実際のデータを用いた分かりやすく理論的な説明がされているため非常に納得できる内容が多いです。
この書籍の内容の中でもとあるパターンについてはAISSの性能を明確に一段階アップさせたと感じておりとても参考になりました。

競馬で長期的に勝つための馬券師バイブル

こちらも競馬そのものに関する知識でなく、競馬で勝つために「どのような馬を狙うべきか/狙うべきではないか?」といった点についていくつかのパターンでまとめられています。
私が最もデータ化したいと考えている「レース映像からの分析」についてとても勉強になりました。
映像のデータ化は今後の課題ですが、それ以外でも競馬に向き合う姿勢をレベルアップさせたい方におすすめの書籍です。

降格ローテ 激走の9割は"順当"である

ご自身のオンラインサロンをはじめ人気と実力を兼ね備えたとうけいばさんの書籍です。

こちらのメインの内容である「降格(昇格)ローテ」は、データと理論(根拠)に基づいて非常に理解がしやすく、システム的な観点で「パターンをデータ化しやすい」です。
優秀な成績を挙げているとうけいばさんがこれまで培ってきた知識の一端をこの書籍1冊で学ぶことができるという意味でも是非読んでおきたい一冊です。

地方競馬パーフェクトブック

当初中央競馬のみAI開発していましたが、地方競馬の予想にも興味が出てきており勉強のために購入した書籍です。
この書籍を購入したのは2020年頃ですが、当時地方競馬に関する書籍が少なく勉強に苦労した覚えがあります。
現在は地方競馬が更に盛り上がっており情報も多くなってきていますが、中央競馬と異なり地方競馬では各地域の独自ルール(クラス編成など)もあり最初はとっつきにくいかもしれません。
ただし、予想の方法や馬券の種類など中央競馬と共通する部分ももちろん多いため、「地方競馬独自で使えるデータは何か?」といったことを学ぶ意味でも事前に読んでおきたい1冊です。

地方競馬完全攻略ガイド

『地方競馬パーフェクトブック』と同じくガイドワークスより2022年11月に出版された地方競馬に関する書籍です。
地方競馬の独自ルール、特に各主催のクラス分けルールについて深堀されています。他にもコパノでお馴染み「小林祥晃」オーナーやホッカイドウ競馬のトップトレーナー「田中淳司」調教師らへのインタビューを通して地方競馬活性化や競走馬の育成に対しての思いが伝わり、ますます地方競馬に対して興味がわきました。

ギャンブルのセオリー

お笑い芸人でありながらギャンブルでも才能を表すじゃいさんの書籍です。こちらは「ギャンブルとどう向き合うか?」といった内容です。正直メンタル面の話もあるので機械的に予想をするAIには不要な部分もありますが資金管理やレース選択/買目構成など馬券戦略を練るために有用な内容としてとても説得力があります。
個人的に競馬自体に取り組み始めてから一番尊敬しているといっても過言ではないじゃいさんの本だから、という私情が少なからずあったりします笑

競馬本 その他

馬券裁判 競馬で1億5000万円儲けた予想法の真実

「外れ馬券裁判」で有名になった卍さんの書籍です。
裁判にいたるまでの経緯や使用した競馬ソフト、買目の組み方など実体験に基づく内容なので当然リアリティがあり特に大きく勝ち越すためにどのような分析や馬券の買い方、資金管理をすればよいのかといった点は参考になります。
AIを使わずとも競馬ソフトなどを用いて自動購入で馬券収支をプラスにしたい方は必ず読んでおきたい1冊です。

馬券億り人

卍さんと同様、競馬で大きな収益を上げた真田さん著書の1冊です。
著書である真田さんは卍さんと異なり、コンピュータを用いた予想ではなくいわゆる「アナログ」予想により馬券理論を構築している方です。
特に、レース映像などで「馬」を診ることで予想に活かす点はコンピュータで真似しにくい部分なのでとても参考になります。
また、資金管理の部分は改めて重要だと気付かせもらえる内容でした。
競馬の前はスロプロとして活動されていた方なので、その話自体が新鮮で興味深かったです。

1億5000万円稼いだ馬券裁判男卍の投資競馬講座

こちらも卍さんの書籍です。
卍さんの予想ファクターについてそれぞれ記載されており、"投資"の観点で競馬データの分析を行っているため通常の競馬予想と異なる内容もあって大変有益な情報です。

AI競馬 人工知能は馬券を制することができるか?

各競馬AI開発者の取材内容を元に、コンピュータ予想の変遷や環境などを知ることができます。
一口に「競馬AI」といっても開発者によって考え方や開発環境、手法など千差万別です。
もちろんこの書籍を読んだからといっていきなり回収率100%超えの競馬AIを作れるわけではないですが、競馬AI開発に関して大事な考え方などを知ることができるので開発にチャレンジする方は是非読んでいただきたいです。
専門書までとはいかないですが技術的/数学的な内容も多少含むため若干読者を選ぶかもしれません。(AISSは第10章で取り上げていただいています。)

数学系書籍

 AIによって競馬予測をしたい場合、もちろん用意されたプログラム(AIフレームワークなど)を用いれば数学に触れることなくシステムを構築することができますが、しっかりと理論を学びたい方やデータ分析を行いたい方、技術論文を読む方などにとってはある程度の数学知識は必須だと考えています。また、こちらには記載していませんがAI系の最新技術情報は海外のサイトや論文で発信されていることも多いので英語の知識もあるに越したことはないです(個人的には昔もっと勉強しておけばよかったと常に思っています)。
ただし、勉強だけだと身についたか不安なので理解度を確かめるためにも検定受けると良いかもしれません。

 まず、前提知識として、機械学習理論を学ぶにあったって高校数学レベルは必須です。
ただし勉強だけだと身についたか不安なので理解度を確かめるためにも、検定受けると良いです。
例えば

数学検定 → 準1級程度

統計検定 → 2級程度

などです。

※以下に挙げる書籍は個人的に学んでよかったと感じた書籍であり、現在はyoutubeやオンライン学習サービス、他の書籍など個人にあったコンテンツが多くあるのでご自身で選択していただくのが良いと思います。
また、私自身は「ディープラーニング(ニューラルネットワーク)」を主に技術の軸としているので若干お勧めする内容に偏りがございますのでご了承ください。

高校数学(前提知識)

前提知識として、高校数学で学ぶ以下の内容は抑えておきたいです。
・三角関数
・指数関数
・対数関数
・集合
・データ分析(平均、中央値、分散、標準偏差、相関係数)
・順列
・組み合わせ
・確率/条件付確率
・数列の和(シグマ)
・ベクトル
・確率変数/確率分布/正規分布
・微分法
・行列(旧教育課程)

ただ、受験数学のような一部の特殊な内容まで完璧に押さえる必要はないと思います。

線形代数

特にニューラルネットワークについては学習過程で行列演算を行うため、基本的な行列の性質や計算式は抑えておいた方が良いと思います。

微分積分+微分方程式

ディープラーニングの書籍を読んでいると、特に微分/偏微分に関する数式が多く登場するため、基礎的な内容は学んでおいた方が良いでしょう

統計学入門

基本的なデータ分析をするだけであれば高校数学範囲の内容で十分ですが、様々な確率分布、仮設検定、回帰分析などは知っておくだけでデータ分析をより正確にできますし、論文などで技術調査をする際、科学的な説明ではほぼほぼ統計学の知識が必要なので学習しておいた方がよいと思います。

技術関連書籍

こちらも一般的なシステムエンジニア/プログラマーとして前提知識となる、
・タイピング
・プログラミングの基礎/アルゴリズム
・DB(SQL)
・HTML/CSS
・エクセル関数

などは事前に抑えておきたいです。

理解したかの確認で資格取得はおすすめです。具体的には、

情報処理技術者試験(ITパスポートや基本情報技術者試験など)

G検定/E資格

データサイエンティスト検定

などの取得を目指すと良いでしょう。

退屈なことはPythonにやらせよう

こちらはプロの開発者をターゲットにしていないのでプログラミング初心者の方でもスムーズにpythonを学ぶことができます
最終的に競馬AI開発をするためにプログラミングを学ぶにしても、目標を高く設定しすぎると途中で挫折する恐れがあるので、本書の目的である「作業の自動化」を通していかに「プログラミングが便利か?」を学ぶとともに自身の技術力向上ができるので一石二鳥です。
具体的には、基本的なpython文法、正規表現、ファイルIO、スクレイピング、Excel・word・pdf操作、csv・JSON操作、自動メール、タスクスケジューリング、画像操作、GUI自動化、など使いこなせると日常業務が便利になるテクニック満載なので競馬AI開発する/しないに関わらず読んで損はない1冊でしょう。

PythonによるAI・機械学習・深層学習アプリのつくり方

サンプルデータでの操作を通して、機械学習・深層学習・動画像処理・自然言語処理などについて網羅的に学べます。理論について詳細に述べている本ではないのですが、ソースコードもあるので実際に動かしてみてAIに関わる技術はどんなものか?をまず学んでみたいという方にはおすすめです。
機械学習周りは正直なところ理論が難しく正確にすべて理解しようとするとハードルが高く挫折しやすいのでまずは動かしてみることが大事です。

Pythonによるスクレイピング&機械学習[開発テクニック]

『PythonによるAI・機械学習・深層学習アプリのつくり方』と同じ著者のため、機械学習関連の内容は若干かぶってしまいますがクローリング・スクレイピングについて学習できる一冊です。競馬AI開発においては、データ取得方法が様々ですが中には特定のサイトにあるデータを使いたい場合があります。手動でデータ取得をする手間を省くためにもスクレイピングの技術は不可欠といえるでしょう。

Kaggleで勝つデータ分析の技術

「kaggle」は有名なデータ分析コンペティションですが、kaggle参加有無に関わらずデータ処理関連に必要な手法やテクニックを学ぶに最適な一冊です。
扱っているデータがコンテスト用となっていて若干現実ではありえない内容もありますが、それゆえにどんなことに気を付けてデータ加工やモデルの評価を行うのか?それはなぜなのか?といって点について実際のコンペ上位入賞者の例などを元に説明されています。
機械学習モデルの説明や特徴、モデル評価の方法などAIモデリング全般の内容にも触れているので目を通しておきたい一冊です。

深層学習

ディープラーニングをやや理論的にしっかり学ぶに最適な一冊です。
理論説明で数式が少なからず登場するため、前提となる数学知識が必要ですが個人的にはディープラーニングを学ぶにあたり一番理解できた書籍です。ただAIつくってみるだけであればここまでの知識が必要ないかもしれませんが、より高精度のAIを作るためには理論など背景となる技術の理解も必要なためチャレンジしてみる価値はあるでしょう。

日本ディープラーニング協会の推薦図書

日本ディープラーニング協会(JDLA)「ディープラーニング」をAI技術の軸として企業・技術者・研究者への日本産業発展を目指す団体です。
G検定やE資格などを通してAIエンジニアの育成を支援しています。
同サイト内でJDLAや資格合格者が選ぶ推薦図書が公開されており、ディープラーニング技術に関わらずAIビジネスについて、AIに関連する数学、python、機械学習(特にディープラーニング)の理論と実装、などに関連する書籍が掲載されています。
現代社会では一般的なビジネスの場でもAIが話の話題に上がることも少なくないためエンジニアでなくともAIに関して学んでおくことは重要ですので興味がある書籍を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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