LogstashのGrok filterとCSV filterの性能の比較
こんにちは!
Airitechビッグデータ・AI活用グループのタンルインウーです。Elasticsearch、Kibanaを使ったデータの可視化や、データ分析用Logstashの設定やメンテナンスなどを担当しております。
先日、先輩社員のニャンリンさんが、Logstashのgrok filterの性能についての記事を書きました。
今回は、ニャンリンさんの記事の続きで、csv filterを使った場合の性能も比較したいと思います。
LogstashのCSV filterとは
csv形式のデータを処理するためのfilterです。設定でカラム名を指定することができます。
また、区切り文字や引用符の記号が変更できることから、例えばカンマではなくタブ文字を区切り文字に指定すれば、tsv形式のデータも扱うことができます。
grok filterの記事で扱った、スペース区切りのデータも同様に扱うことができます。
grok filterとの違いとしては、例えば、
aaa,"bbb,bbb",ccc
のように、「引用符で囲まれている中に区切り文字が入る」という場合でも適切に処理してくれる点があります。
このようなデータが想定されるケースでは、grok filterではなくcsv filterを使った方が良いです。
LogstashのCSV filterとGrok filterの性能の比較
同じデータをInputとして、CSV filterとGrok filterの結果を比較しました。
スペース区切りのfield数が
● 5個の場合
● 10個の場合
● 20個の場合
● 20個だが、データの中に1%だけfield数が足りない不正なデータが混ざっている場合
の4つのパターンでそれぞれ計測しました。
(計測は、AWS のEC2インスタンス t3.medium で、Logstash7.12.0を用いました)
スペース区切りのfield数が5個の場合、データはこのような形になります。
aaaaaaaaaa bbbbbbbbbb cccccccccc dddddddddd eeeeeeeeee
csv {
columns => ["field1", "field2", "field3", "field4", "field5"]
separator => " "
}
計測結果は以下の通りです。
今回の結果から以下が分かります。
1. 適切な正規表現で書かれたGrok filterの方が、CSV filterよりも性能がよい
2. マッチしないログが来た場合もCSV filterは性能が劣化しない
CSV filterの方が遅い?
正規表現でパターンを指定するGrok filterよりCSV filterの方が遅い結果を意外に感じた方も多いかもしれません。ですが、今回のような単純なケースではGrok filterの方が速くなります。
このような結果になる理由として一つ考えられるのは、CSV filterの方が今回使ったGrok patternよりも複雑な処理していることです。
CSV filterは、以下のケースを想定した作りになっています。
● 引用符で囲まれている場合もあるし、そうでない場合もある
● 引用符で囲まれている場合、その中には区切り文字が入ることもある
● 引用符で囲まれている中に、引用符の記号がエスケープされた状態で入ることもある
こういった条件を正確に正規表現で表すのは困難です。今回比較対象としたGrok filterのパターンは、これらの3つのケースは考慮しておらず、単に区切り文字で分割するだけのものになっています。引用符やエスケープの考慮が必要な、一般的なCSV形式のデータを取り扱う場合は、CSV filterを使うようにしましょう。
なお、単純に区切り文字で分割するだけの処理であれば、一般的にはGrok filterよりもDissect filterの方が速いと言われています。また別の機会に、Dissect filterとも比較して、ご紹介したいと思います。
まとめ
今回はLogstashのGrok filterとCSV filterの性能の比較結果をご紹介しました。
単純に区切り文字で分割するだけならGrok filterの方が速い場合があります。
CSV filterは、処理速度がやや遅いですが、引用符やエスケープを考慮した複雑なケースに対応しています。
Logstashでデータを加工する場合、似たような処理を実現する方法が複数存在する場合があるため、要求される機能と処理性能を考慮して、適切な方法を選ぶようにしましょう。
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