見出し画像

Celosphere 2021レポート ~「価値実現への道のり」の歩みを進めるために~

こんにちは。
Airitech プロセスマイニンググループにてCelonisを担当しております、福田と申します。

Celonisの年次ユーザーカンファレンス『Celosphere 2021』が、去る4月13日~16日にかけオンラインにて開催され、3日間で実に多くのセッションが講演されました。
それらの中から、当記事ではCelonis社の北米における部門責任者・Bret Bange氏によるセッション『Success with Celonis: Measuring, Benchmarking & Maximizing Value & Adoption』をピックアップしてご紹介したいと思います。

プロセスマイニングおよびCelonisにご興味をお持ちでいらっしゃいましたら、ぜひ上記リンク先のセッション動画と併せてご一読ください。

「価値実現への道のり」と「3つのアクション」

IT業界向けの論考のみならずテレビのニュース番組でも「DX」という単語が飛び交うようになった昨今、多くの企業や組織は「自分たちが本来持ち得るはずの価値を最大限に発揮しなければならない」という要求に迫られていることと思います。
この要求に応えるためには、自らの業務プロセスを分析・定量化して効率上の問題点を可能な限り洗い出し、それらを改善することが極めて有効な手段であり、その手段の実現において多大な実績を有しているソリューションがCelonisです。

画像1

出典:Celosphere 2021 - Success with Celonis: Measuring, Benchmarking & Maximizing Value & Adoption (02:01付近)

Bret氏は、先述の要求に応えるための過程を「価値実現への道のり」と呼び(上図「Topics」01)、この「道のり」においてCelonisの導入が最大限の成果をもたらすには、ソリューション自体と企業や組織に属する人々との相互作用が重要な要素であることを、自身が率いるチームによる調査に基づいて解き明かしています(上図「Topics」02)。
さらに、この相互作用は一体どのように生み出すのか?という問いへの回答として「3つのアクション」(上図「Topics」03)を提唱しています。

また、そのケーススタディとして、われわれ一般消費者にもなじみ深いジョンソン・エンド・ジョンソン社において、Celonisの導入により実現した業務改善の過程とその成果を紹介しています。

画像2

出典:Celosphere 2021 - Success with Celonis: Measuring, Benchmarking & Maximizing Value & Adoption (02:22付近)

ジョンソン・エンド・ジョンソン社が得た「気付き」

ジョンソン・エンド・ジョンソン社(以下J&J社)のケーススタディの大まかな要旨は以下のようなものです。

1. Celonisを用いた業務プロセスの分析・検証において、当初想定していた以上の問題点を発見することができました。
とりわけ、商品のマスターデータに紛れ込んだ多数の誤情報とそれが業務に及ぼす悪影響を突き止められたことは、後述の業務改善において大きな価値をもたらしました。

2. 同社内外の多数の関係者との交渉を経て4000件を超えるマスターデータを更新した結果、以下のような多大な成果を得ることができました。
 ●業務上の非効率の温床であった 「商品受注後の価格訂正」を40%削減
 ●受注から売り上げ回収までの時間を30%削減
 ●納期達成率が12%向上
 ●上記3点の達成により企業の運営資本そのものをも改善

3. さらに、この業務プロセス改善の取り組みの中で、「マスターデータに誤情報が紛れ込んだ背景には同社の契約更新業務上に存在していた不備に因るところが大きい」という気付きを得ることができました。

この「気付き」は、契約更新業務のプロセスおよびその関連システムを改修して誤情報混入の再発を防止するとともに、関係部署の枠組みを超えた連携体制をも見直すという、システム・社員及び社内組織の双方に対しての改善という形で結実しました。
業務プロセス改善の取り組みはその後も継続的に行われており、同社は上述の成果の持続可能性を担保しつつ、その先にある顧客の幸せにまで結びつけることができる組織づくりに向かい歩みを進めています。

画像3

出典:Celosphere 2021 - Success with Celonis: Measuring, Benchmarking & Maximizing Value & Adoption (08:30付近)

「3つのアクション」=実用的な行動特性

こうしたJ&J社の業務プロセス改善の取り組みを分析し、その中から見い出された実用的な行動特性は、Bret氏が提唱する「3つのアクション」にまとめられています。

画像4

出典:Celosphere 2021 - Success with Celonis: Measuring, Benchmarking & Maximizing Value & Adoption (10:47付近)

1. 組織内における上級リーダーの関与
Celonisによる分析・検証に基づいた業務プロセス改善の取り組みを円滑に進める上では、立場を異にする多くの人々の理解と協力を得ることが不可欠であることは論を俟たないものです。
こうした人々とのコミュニケーションの機会をトップダウン型で確保するために、組織内においてコミュニケーションの主導権を持つ上級リーダーとなる人物が取り組みに関与することは重要であるといえます。

2. 業務プロセスの実作業者によるコミットメント
業務プロセス改善の取り組みは、ともすれば担当部署である社内情報システムチームや業務改善チームなどによって取り組みそのものが専有化され、結果的に業務の実情との乖離を招きかねないという懸念をはらんでいます。
これを防ぐためには、改善対象となる業務プロセスの実作業者に「変化は受け入れられるものか」「現場のニーズは満たされているか」「問題解決に役立っているか」などの観点から意見や提案を募るなど、取り組みに対して主体的にコミットしてもらうことが必要となります。

3. 短期的な成果への注力
Celonisの導入は業務プロセス改善のためのアイデアを無数に生み出すことになるのでしょうが、その中でも特に効果的なものはひと握りに絞られるものです。
優先順位としては、まず低い労力で組織に高いインパクトをもたらすアイデアを実現し、いくつかの短期的な成果を得ることに注力いたしましょう。その成果を組織内の各方面に展開しつつマネジメント層と共有することで、業務プロセス改善の取り組みは組織内での説得力に基づいた勢いを得て、より中~長期的な取り組みに移行できるようになります。

まとめ ~「価値実現への道のり」は孤独ではない

先に「ソリューション自体と企業や組織に属する人々との相互作用」と述べましたように、こうした「3つのアクション」を担うのはCelonisのみではなく、企業や組織に属する人々でもあります。
そうした人々=Celonisユーザーを、ソリューション提供企業としてのCelonis社は全従業員が強力にバックアップする体制を敷いており、Celonisというソリューションの大きな強みのひとつとなっています。「価値実現への道のり」の歩みは決して孤独なものではないのです。

画像5

出典:Celosphere 2021 - Success with Celonis: Measuring, Benchmarking & Maximizing Value & Adoption (13:14付近)

以上、Bret氏によるセッション内容をご紹介させていただきました。聴講者である私の観点を通したものではありますが、ご理解の一助を担うことができましたら幸いです。

なお、『Celosphere 2021』の日本における現地開催版であり、またダイジェスト版的な位置づけともなる『Celosphere Japan 2021』が、本記事公開後の2021年5月27日に開催され、現在はオンデマンド配信にて視聴が可能となっております。
こちらのセッションはすべて日本語による講演となり、技術情報や最新事例についてより理解しやすく有意義なものとなるかと思いますので、ぜひチェックしていただきたいと思います。

弊社・Airitech株式会社もCelonis社のパートナー企業のひとつとして、Celonisの導入・活用支援サービスに精力的に携わっております。
プロセスマイニングおよびCelonisにご興味をお持ちで、ここまで拙文にお付き合いいただけましたみなさまとも、ぜひ「価値実現への道のり」の歩みをご一緒できる機会がございますことを、私たちは楽しみにしております。

Airitech(エアリテック)

Celonisおよびプロセスマイニングの他にも、弊社・Airitech株式会社は、トラブルシュート&システム性能サービスをはじめさまざまなサービスを展開しております。
最高のチームワークで、お客様の課題に最高の解決策をご提供いたします。詳しくは弊社Webサイトをご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?