「The Bear(一流シェフのファミリーレストラン)」ラストカットについて

ジェレミー・アレン・ホワイト演じるカーミーが顔を上げると、そこにはジョン・バーンサル扮する兄・マイケルがいて、「お前ならやれるだろ」と言わんばかりに破顔するラストカット。

自死したマイケルは2つのエピソードにしか登場しないが、「桐島、部活やめるってよ」の桐島のように物語の中心にいる。依存症を抱えていて、悪事も働いていたけど、兄からサンドイッチ店を引き継いだカーミーに従業員たちが強く反抗することからも、マイケルは多くの人に愛されていたとわかる。

「マイケルはきっとこういう人間だったんだろう」と観ている人に考えさせるストーリー展開で、視聴者間の認識に大きなズレはないと思う。そしてラストカットのほほえみは、その想像を裏切らない。というか笑顔だけなのに十分すぎる。

キャスティングディレクターはジニー・バカラックという人で、今作で製作総指揮に名を連ねるヒロ・ムライが監督を務めた「ステーション・イレブン」とかも担当してるらしい。ジョン・バーンサルが大好きになったのでジニーさんに感謝…。

最後のシーンではカーミーもわずかに笑っていて(えくぼを見るとわかりやすい)、愛に満ちたマイケルの顔を見た彼は、この怒涛の物語の中で1度も描かれていない表情を浮かべているはず。それを見せないのは視聴者を舐めてない感じがするし、カーミーというキャラクターを大切にしているのも伝わってくるし、「いい終わり方だったなあ」と観終わって数日経った今も思わされる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?