サイダーキャンディ

机の上のノートパソコンをたたんで、少し奥に押し、手前のスペースにおでこを乗せてる。
いったい何分経過しただろう。こうしてるのが一番落ち着くって、どういうことだろう。
うるさい、うるさい、世界はうるさいのです。それでも繋がっていないと、この椅子から落下して、僕は無限空間に放りだされる。手足をばたばた。サイダーキャンディは口の中。

鳥の鳴き声が聞こえる。きっと廊下の柵の上に止まってる。
僕は何度かその姿を見た。ぽてっと丸くてエメラルドグリーンの体。キイキイとしばらく鳴いた後、鳥は飛び立っていった。友だちになりたい。なれるわけないのに、なってみたい。ご飯を食べた後、ブラックジャックで勝負したい。

鳥が去った後、僕は遠い異国の列車の旅をしていた。すなわち少し眠っていた。
列車は氷漬けになって次々と割れていき、僕の乗る車両だけになった。僕は鳥から教わっていた飛び方で窓から逃げ出し、サイダーキャンディが口からこぼれ落ちた。割れる、割れる、割れ続けるのです。

ねえ、僕はそろそろ起きないと。たとえこの体勢が、人間にとって一番健康的だと、どこかの奇天烈な博士が論文で発表しようとも。
洗濯物を取り入れて、割れた布団ばさみをホームセンターに買いに行って、帰りにスーパーで特売品を買わないと。
僕は生活をしているんだ。それ以上大切なことなんてないんだ。

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