コンプレッサーの環境最適化と維持管理について

コンプレッサーの環境最適化と維持管理


エアコンプレッサーは一般的に専用のコンプレッサールームで集中管理されます。しかし、コンプレッサーの維持管理には以下のような三つの主な課題が存在します。

  1. マシンの発熱により部屋の温度が高く、特に夏は40℃以上に達することがある。

  2. エアフィルターのクリーニングが不十分で、吸気抵抗が高い。

  3. ドライヤーやレシーバータンクを設置するためのスペースが限られており、配管が複雑で圧力損失が大きい。
    これらの要素はコンプレッサーの性能を低下させる可能性があり、適切な維持管理により約10〜20%のエネルギー効率の向上が期待できます。

  4. 吸引空気はフレッシュ、クール、ドライが理想的
    吸引空気の温度が20℃基準である場合、30℃では約3.0%、40℃では約6.0%の動力増加となります。特に、高温の夏季には対策が必要です。コンプレッサールームは通風性の良い北側に設置し、換気ファンによる換気で室温を下げ、空冷式では排熱を屋外に排出、水冷式では冷却水の温度を低く保つ等のエネルギー効率化対策が求められます。

  5. 吸引空気抵抗を軽減する
    空気吸引部のフィルターが目詰まりすると抵抗が増加し、動力が増大します(400mmAqの増加で約2.5%増加)。粉塵の流入防止と、フィルターやサイレンサー等の定期的なクリーニング・交換が重要となります。

  6. 配管圧力損失を減らす
    圧力損失は、配管内を流れる流体が管壁との摩擦、曲げ、拡大・縮小によって発生するエネルギー損失です。コンプレッサールーム内の配管系には曲がりやバルブ、ドライヤー等の抵抗が存在し、コンプレッサーの吐出圧力と部屋出口のエア圧力の差が部屋内の圧力損失となります。

機器の配置や配管レイアウトが不適切であると、1.0kg/cm²以上の圧力損失が発生する場合があります。そのため、圧力損失が高い場合は配管レイアウトの見直しが必要となります。圧力損失を減らすことで、コンプレッサーの吐出圧力を下げ、コンプレッサーの動力を低減し、エネルギー効率化につながります。

また、工場全体の対策を同時に実行し、吐出圧力を7.0kg/cm²から6.0kg/cm²に改善すれば、動力が約8.0%低減します。

エアータンクの役割


エアータンクは、圧縮空気を保存する装置として機能し、主にコンプレッサーの出力側に設けられています。その主な働きは以下の通りです:
コンプレッサーから排出される空気圧力の変動を緩和します。
一時的に大量の空気が使用される際に起こる急な圧力低下を抑制します。
緊急事態、例えば停電時にコンプレッサーが止まった際に一定時間圧縮空気を供給します。
周囲の外気により冷却され、ドレンが分離します。
エアータンクは圧力容器として機能するため、圧力計、安全弁、圧力スイッチの装着が必須であり、また法的な規制が適用されるため注意が必要です。

ドレンの生成理由


ドレンとは、圧縮空気中の水蒸気が凝縮して生じる水、または水とコンプレッサーの潤滑油等が混ざり合った乳白色の液体を指します。ドレンが生成される原理には圧縮と冷却の二つがあります。圧縮による場合では、一定の体積内の空気に含まれる水蒸気の量は、空気の圧力には影響されません。したがって、空気を圧縮すると、単位体積当たりの水蒸気量が増加します。冷却の場合、冷却が進行すると空気の温度が下がり、その結果飽和水蒸気量が減少します。その空気が含む水蒸気量が飽和水蒸気量を超えた場合、超過分が水滴として現れます。この現象は日常生活でも見ることができ、冷たい水を注いだコップの外面に水滴が現れる例が挙げられます。

湿度について


湿度は、空気中の水分(水蒸気)の含有量を表す指標であり、水分を含まない空気を乾燥空気、水分を含む空気を湿潤空気と称します。湿度は絶対湿度と相対湿度の二種類で表され、それぞれ以下のように定義されます:
絶対湿度=(湿潤空気中の水蒸気の量×100)÷湿潤空気中の乾燥空気の量
相対湿度=(湿潤空気中の水蒸気分圧×100)÷飽和水蒸気圧=(湿潤空気中の水蒸気量×100)÷飽和水蒸気量
一般的に、「湿度」と言った場合、相対湿度を指すことが多いです。

露点について


露点とは、一定の空気圧力下で、空気中の水蒸気が飽和状態に達し、凝縮して水滴に変わる始まる温度のことを指します。すなわち、温度を下げることで相対湿度が100%になる時の温度を露点(または露点温度)と言います。露点には大気圧露点と圧力露点の二種類があり、大気圧露点は大気圧下での水分凝縮温度、圧力露点は圧力下での水分凝縮温度を指します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?