瞑想その1:ヴィパッサナー

まず最初にご紹介する瞑想法は、「ヴィパッサナー」と言います。

この瞑想法は大変古いものであり、その名前には「ありのままに見る」と言う意味があります。最も基本的で根本的な瞑想であると言われており、かつてはお釈迦様もこの瞑想の一種を用いて悟りを開いたとの逸話があります。

いくつかの種類がありますので、順を追って説明しましょう。


◇最も基本的なヴィパッサナー

まずは最も基本的な「行為・思考・感情に気付く」ヴィパッサナーです。

手を動かす時、足を動かす時、体を動かす時に、行為を行いながらもそれに気付いている事。

次に、思考や感情に気付いている事。

最後に気分に気付いている事。

一度に全てをやろうとするのはとても難しいので、肉体→思考→感情→気分の順で、徐々に気付きの範囲を広げていく様に、時間を掛けて行うのが良いでしょう。

どんな瞑想にも言える事ですが、無理をせず、ゆっくりと自分の成長度合いに合わせて行って下さい。

瞑想の本質は「自動的に(なんとなく)行わない事」に尽きます。

この瞑想における体へのアプローチとしては、慣れるまでは非常にゆっくりと体を動かし、その動きを感じ取りながら注意深く観察するのがコツです。


◇呼吸のヴィパッサナー

次に説明するのは「呼吸に気付く」ヴィパッサナーです。

数種類ありますので、順番に説明しましょう。


■腹に気付く

まずは自然に呼吸をします。

出来れば呼吸は鼻から行う事。

吐く時は口からでも構いませんが、吸う時は鼻から吸った方が良いでしょう。

後は腹式呼吸でさえあれば、他は意識して行う必要はありません、あくまで自然に呼吸しましょう。

意識をするのは腹の動きです。

息を吸い、吐く時の腹の動きに注意を向けて気付くのです。

これだけです。

最初の技法よりもシンプルなので、簡単に出来るでしょう。


■鼻に気付く

次は鼻に気付きます。

呼吸はあくまで自然に、但し見守る対象は腹ではなく鼻になります。

息を吐く時、息を吸う時の、鼻腔に感じる風の感触を感じる。

これだけです。


※ここまでの上記3種類の瞑想は、1つでも2つでも3つでも、自身に出来る分だけ好きな様に組み合わせて用いて構わないとされています。

但し、無理にはやらないようにして下さい。

楽であるかどうか、自分に合っているかどうかが一番大切な判断基準です。


■呼吸の隙間に気付く

次の方法も、呼吸は自然に行います。

息を吸い、吐く時。

息を吐き、吸う時。

その合間に呼吸がほんの一瞬止まる瞬間があります。

それに気付いて見守る瞑想です。

お釈迦様が悟りを開いた時に用いた瞑想法と言われています。



◇「歩行」のヴィパッサナー

歩行と共に行うヴィパッサナーです。

歩く時の体の動き、特に地面と接する足の裏の感触を注意深く見守り、気付く瞑想です。

散歩を趣味や日課にしている人などは、もののついでに毎日行える瞑想であると言えるでしょう。


以上でヴィパッサナーの紹介を終わります。

どの瞑想でもそうですが、例えば鼻に注意を向けている時、その注意が何かの切っ掛けでどこか他のところに向いた場合は、無理矢理鼻の方に注意を向け直すのではなく、興味を失うまでそのまま注意を他のものに向けている事を自分に許しましょう。

それからまた、再び鼻の方に注意を向ければ良いのです。

これは結構大切な事なので、忘れない様にしましょう。

瞑想の基本であり、正しいか否か、自分に合っているかどうかの判断基準となるのは「楽であること」「瞑想の深まりと共に幸福感が増していく事」「意識が明瞭になって行く事」です。

これらを忘れない様に実践していって下さい。


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