語彙力と表現力

「語彙力が足りない」

「推しの魅力に語彙力が追いつかない」

オタクの常套句ですね。これについて提言でもお気持ちでもなく、ごく個人的な独り言です。 

以前勤めていた学習塾で、どのくらい言葉を知っているか=語彙力を測るテストを、生徒向けに扱っていました。ざっくり「語彙力」と言っても、細かく問題が分かれており

①全体でどれくらいの言葉を知っていると推定されるか

②何年生相当の語彙量か

③どのような分野の語彙が多いのか(和語、漢語、新語、敬語、ことわざetc.)

といった分析がされていました。詳しいことはもう関わっていないので忘れましたが大体そんな感じ(本当は語彙数だけじゃなく読むスピードとかを測る問題もありましたが関係ないので割愛します)

で、漫画アニメ小説映画舞台なんでもいいのですが、恐らく創作物に触れる機会の多いオタクは、読んで意味がわかる言葉の数はそこそこ多い方なのではないか、と思っています。主観です。上記で言えば①の語彙数自体は多いのではないかという話ですね。

でもいざ自分で感想や物語を書いてみると難しい。そして他人の書いた文章を見ると「なぜ私はこう書けないんだ。なんという語彙の差!?」と思うことしばしば。否、毎日です。私の話です。

ただしここでよくよく考えると、読んで意味がわかるということは、他人の文章で私の知らない語句が使われているわけでもないのです。つまり、知っている言葉ではなく、それを効果的に使えるかどうかで差を感じているといえます。実のところ「語彙力が欲しい」「語彙力が足りない」と言っている時に私が本当に欲しいのは「表現力」なのだろうと思うことは多々あります。

平易な言葉を効果的に使えるようになりたいと日々思っています。インプットとアウトプットの繰り返ししかないのでしょうが。

一方で、③の分野ごとの語彙数という概念で言えば、私はたしかに「語彙力が足りない、欲しい」と切に願います。ここで言う語彙は、知識と言い換えることも出来る場合があるでしょう。

例を挙げます。私は服飾に関する語彙が間違いなく少ないです。服の形や素材や色の語彙≒知識が壊滅的です。沢山並んだ口紅を両側から見て全部赤としか思えない人とひとつひとつなんとかレッドとかなんちゃらピンクと見分ける人の画像が昔話題になりましたが、私の語彙は完全に全部赤のタイプです。せいぜいが「濃い」「薄い」「派手」「地味」「大人っぽい」「若々しい」くらいでしょうか。余談ですが青い瞳の表現は海か空が良いところです。精一杯どんな海か付け加えて補っています。

さて私の妹は我が妹とは思えないくらい興味も知識もあり服飾関連の語彙量は桁違いです。某朗読劇のパンフレットを一緒に見ていた時のことです。衣装に対する私の感想は、お恥ずかしい限りですが「カッコいい」「情報量が多い」「華やか」ぐらいしか言えません。「マジ王子」とかも言ったかもしれません。同じものを見て妹は「コルセットが皮でカッコ可愛い」「AとBの衣装が同じ素材なの最高」「ゲートル似合いすぎ」など、構文はオタクですが語彙の量が違います。ちなみに私はこれを書くためにわざわざ衣装解説ページを読まなければこの語句がぱっと出てきません。

上記はあくまで一例ですが、語彙≒知識のある人は見ている世界が違うし切り取る箇所も違うものだと、こういうことがあるたびに実感します。フォロワーの推し語りや感想、物語その他文章はため息が出るほど気持ちの良い言葉遣いで羨ましいくらいです。これに関しては増やしたい分野の書籍、それもできればイラストや写真付のものを読めばいいのか?などと考えつつ、つい好きな分野の本ばかり読んでしまいます。あと服に関してはたぶん私は服屋でもう少しちゃんと店員さんと喋った方がいいのかもしれませんね……「仕事で着れるシュッとしたシャツが欲しいです」とか言ってる場合じゃない。

脱線しまくっていますが、言葉を自分のものにしていきたいなぁという物凄く緩い振り返りでした。ご清覧ありがとうございました。



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