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「ズッ友」なんていない

20代半ばくらいのときに「ズッ友」という言葉が流行った。
そんな言葉知らない、というロマンスグレーの紳士やヤングなお友達のために説明すると「ずっと友達」という意味の言葉なんだけど、
たぶん真面目に使っていたドストライク世代の人は、本当に今ここにある友情が世界の全てで、楽しいことも悲しいことも分かち合ってきた友達がこれからも永遠に友達でいることを確信していた。

でも、そんなものが存在しないことを知ったよね?

結婚式は人間関係の整理に役立つ、という話もある。
式に誰を招待する?
みんな呼びたい、けど費用が…、お車代が…、招待人数の釣り合いが……
そんな理由で、「絶対呼びたい人」「まぁ呼びたい人」「できれば呼びたい人」「最悪あきらめる人」「呼ばない人」を、そんなつもりはなくてもランク付けしていく。
(あと、個人的には結婚を報告したときのリアクションが気に入らなかった人もここで招待するかどうかを2トーンくらい落としてランク付けする。そうよ私はさそり座の女。ただ悲しいかな、友達全員呼んでちょうどいいくらいの人数だったけどね)

別にこれで友達をやめるわけじゃない(そうなることもあったかもしれないけど)。
結婚式に呼ばれようが呼ばれまいが根にはもたないし、出産報告を直接受けようが友達伝いに知ろうが「まじか! おめでとう!!」と素直に思う。
でも、確実にこの「卒業」や「結婚」「出産」を経ることで「ズッ友」は消えていく。

人間関係は常に変化していくものだし、同じであることはありえない。

ズッ友なんていないのだ。

3年生で振り分けられたクラスが最悪にバカでギャルばっかりだったおかげでダークマターよりも黒い中学時代を過ごしたので、中学時代の友達とオフで会うことはほとんどない。
最後に会ったのは私がまだ自力でメイクをすることを覚えていなかった成人式の夜の同窓会だ。それ以来、誰とも会っていない。
(奇跡的に、そこでは会わなかったけどSNSで再会して、今たまに会うようになった幼稚園からの友達がいる。彼女の存在は私にとってとても貴重だ。だから、同窓会に期待するのはよそうと思う)
Facebookで「友達」ではあるけど、これが「知人」「同級生」というだけのリストでもなんの違和感もない。少なくとも日常のなかでお互いを思い出すことはゼロに等しいし、子どもを産もうが仕事を変えようが「ふーん」としか思わない。
これは友達じゃないと思う。確かに友達だった人はいる。でも今は友達じゃない。

高校の同級生とは、特に仲のよかった9人のうち8人と現在もつながっている。
1人は早いうちに東京へ嫁いでしまったこともあって疎遠になり、10人グループは9人グループになった。LINEができるよりも前だったから、LINEグループのメンバーも9人。
実は私はこの1人と一番仲がよかったし、一緒に撮ったプリクラに「高校のツレは一生のツレ」とかマイルドヤンキー丸出し湘南乃風も真っ赤になるようなことを書いていた。
でももう5年は連絡をとっていないし、彼女が東京で3.11に遭ったことを感じても「そうかぁ、大変だなぁ」と思っただけだった。連絡もしなかった。
でも、今、彼女が目の前に現れたとしたら、「久しぶり! 元気にしてた?」と声をかけたいとは思う。それくらいの距離感だ。

社会人になってからは2つの職場で気の合う友人を見つけ、奇遇なことにどちらにも「ゲス女」というグループ名がついた。
大人になってからできた友達だし、比較的時代も新しいから、彼女たちとは今でも時々連絡をとるし、在職時よりも濃い付き合いになった友達もいる。

でも、そんな全ての友達と、これからずっと友達でいられるかどうかはわからない。
友達の定義にもよるけど、私としては「会いたいと思うかどうか」が友達のラインではないかと思っている。

話したいか、話を聞きたいか。たとえ遠くにいても、会いたいか。

地元を離れて思うのはそんなことで、たまに帰省するときには「遊んで~」とTwitterで呼びかけてみたりもする。
Twitterを使うのは、ストレスなく会えるであろう友人がいるのはそこだけだからということに尽きる。

中高生のころには、まさに私も「こいつらと一生楽しくやってたいな」と思ったし、そうなると信じていた。中学の担任も、卒業式の日に教壇から「中学時代にできた友人は一生の友人になるぞ!」と唾を飛ばしていた(全員いなくなったわバーカ、と言いたい)。

だけど、ズッ友なんていない。
なんの努力もなしに、友情を繋ぎ続けることなんてできない。

一番長く付き合っている高校時代の友人だってどんどん新しい人間関係を作っているし、私だって上京してから少しずつ、本当に少しずつだけど交流を広げている。
キャパシティは同じだ。そこに占める「あの子」の割合は、節目節目に変化していく。

けれど、それでも「会いたい」と思える人を。
近くても、遠くても、そう思える人を大事にしたいと思った。


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