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美術館に飾られないアート

芸術、美術の歴史は長く、遥か昔、の紀元前から人々は様々な意味を込め芸術作品を創り残してきました。それに比べ美術品を納め展示または保管するための施設がもうけられたのはいたって最近のことなのです。最近といってももちろん10年、20年の話ではありません。詳しくは私も勉強したわけではないのでわかりませんが、1790年代にフランス革命が起こった時期に、当時のフランスををはじめヨーロッパの人々は自国の芸術作品が流出したり、紛失するのをさけるために作品を保護し、保管するようになったみたいです。そしてその時に建てられたのが現在のルーヴル美術館だったのです。

芸術作品を価値のあるものとして捉えたからこそ彼らはそれらを厳重に管理し現在まで保存してきました。ですからもちろんそういった美術品は高価であり私たちが簡単に触れたりすることはできません。では美術館に飾られない作品は価値のない芸術でしょうか? 美術館でしか見れないものだけがアートといえるのでしょうか? 

ストリートアートの文化

様々な技術が発展した現代では、人々の行動や、考えも多様化し、また異なった文化同士の融合もみられます。そんな現代に発生したのがストリートアートなのです。本来このストリートアートは元をたどれば、タギングと呼ばれるグラフィティの一種から始まっています。このグラフィティは社会的立場の低かった人々が自分のアイデンティティを確立するために始めた行為でした。もちろん単純にかっこいいという理由で始めたひともいたでしょう。

しかし美術館で飾られるものとは違い、無許可で公共の場所に描かれていることから違法とされていました。(現在でもほとんどの国では違法です)街の景観を損ねる、公共の場所がけがされるということからこういったものは厳しく取り締まられていくようになります。それにもかかわらず、はじめは文字だけだったものが大きさ、色、形、テーマなどが加わっていくことで、次第に多種多様なものに変化していきました。ある人はカートゥーン風のキャラクターを描き、ある人は模様を描き、またある人はリアルな人物画を描くようになりました。

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しかしそんな違法のストリートアートも60’s~90’sのストリートカルチャー盛り上がりに伴って、少しづつ世界に認められていきました。今では誰もが知っているであろう、キースへリングOBEYのシェパードフェアリーKaws、彼らも元々はストリートにゲリラ的に作品を残していくストリートアーティストでした。ストリートアートのカリスマともいえる彼らはアートを単なる落書きに留めず、世界に向けた社会的なメッセージの媒体として活用したのです。それに賛同した人々によって彼らのアートには価値が生まれ、単なる落書きではなくなったのです。

最近、日本でも少しづつストリートアートが認知されてきていますよね。例えばロンドンを中心に活躍しているBANKSYについても最近ではアート好き以外の人の口からきくことも多くなりました。彼もゲリラ的に建物の壁にステンシルで描いたメッセージ性の強いアートを残し、またたくまに有名になりました。おそらくストリートアートとしての価値は彼の作品が世界で最も高いでしょう。

彼らのように世界から認められるアーティストは続々と誕生していますし、ストリートに絵を描くことを職にすることは世界的に増えています。ですがそれと同時に認められていないアートも存在することは現実です。このような活動に対して寛容な国もありますがそうでない国もあります。新しいアートの形として認知されている一方、邪道であり許される行為でないと考える人ももちろんいます。こればかりは完璧な解決策はまだありませんが、このアート活動を合法で、続けてもらうための活動も行われています。例えばリーガルウォールと呼ばれる、落書き自由な壁を設置したり、POWWOWと呼ばれるアートのイベントが世界中で催されています。

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もちろん日本でもそういった活動は少しずつ行われるようになりましたが現状、他の国と比べるとまだまだグラフィティやストリートアートに対する理解は高くないように感じます。もちろんアートを描く側も公共物にたいして配慮が必要ですよね。

今でこそストリートアートを描くアーティストが世間から認められ、芸術的価値があるとされてきています。時にはストリートから生まれたものが美術館で飾られることも珍しくなくなってきました。 しかしストリートアートの起源はやはりストリートにあり、ストリートにあるからこそ愛される、本当の面白さがでるものだとされています。街中には美術館で見られるアートにも劣らないクオリティの高い作品もあります。街でそんなアートを見かけたときは一度立ち止まって観察してみてください!何か面白い発見があるかもしれませんよ!


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