この静かな瞬間よ 止まって
ああ大丈夫だ、と思える時間が、そういう夜があるだけで、随分と回復する。
祖母の家で、昔飼っていた犬は常に祖母を追いかけていた。姿が見えないときも、離れているときも、耳を立てて祖母の声を拾いながら安心したようにうたた寝する。祖父母が新聞を広げると、自分をかまってもらえなくなることがわかるのか、新聞の上に陣取る。祖母が近くにいるときは、少しだけくっついて座る。その距離感は、なんだか見ていても心地良かった。
膝の上に座るわけじゃないけど、体のどこかが触れている、ほんの少しだけ。
物理的にそうじゃなくても、少しくっついているくらいの関係が今は心地いいのかもしれない。縛られたくないし縛りたくなんてない、自由にさせてもらえないと全部を放り出したくなっちゃう、でも見ていてもらえないのは寂しい。我儘、自分勝手。そうやって笑われるかもしれない。でもそういう距離感がほしくなる。
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玉ねぎと卵のみそ汁。炊きたてのごはん。
愛情って、過ごす時間のなかに確かに存在していると感じられるときがある。時々怖くなるほど。
そういう欠片を、日常の切れ端を大切にして毎日を乗り越えているな、と改めて思った。高級ディナーよりも、自分のために作ってもらえるご飯が、私は嬉しい。
#毎日 #なんでもないこと
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