ちゃんとひとりになる時間があったから
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別れ話を切り出さなければいけないと決意した最後の夜は、秋の雨が降っていて、彼の家に向かうはずが出先から間違った電車に乗って、無駄な時間を過ごした。悔しくて泣きたかった。
眠りかけている彼と話しながら、なぜか自然な流れでそのままそういう話になった。言葉にできて彼は安堵しているようにみえて、私はずっと泣いていた。ほら、泣き止んでって何度も言われた。
いまも、2年間一緒に暮らした最寄駅を通り過ぎると、なんでもないことがよぎる。毛足の長い猫、納豆の安いスーパー、夏は蝉が集まってくるアパート、夏祭りの盆踊りのリズム。
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はるか昔の記憶に思えるほど、私はずいぶん遠くに来てしまった気がしているが、まだ半年前の話だ。まだ半年。ようやく半年、ではないのが、私の気持ちが前を向いている証拠だろう。
半年で人は変わると思う。変わろうと思えば、いつからでも、この瞬間からでも変わると信じたい。だって、私がそうだったから。
人の倍落ち込んで、人の倍悩んで、その分人の倍の速さで回復する。友人から、はやいよと窘められることもあるけど、直感を信じて走っていたらある日見え方が変わっている。
"思い出の中くっついてたシールが剥がれたよ"
そう歌うaikoを、本当にそうなのかなって思って聴いてた日を、今は懐かしく思える。ちゃんとひとりになれる時間があったから、こうして笑っているんだろうな。
#毎日 #なんでもないこと
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