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遮るな 何処までも続くこの道を

街が一気に春めいている。勤め先は桜で有名な街だ、去年の春、当時の彼と出勤前に桜を見に行ったのを思い出す。ゴミがたくさん落ちていて、9時前だというのにちらほら観光客が集まり始めていて、うまく写真が撮れないな、なんて思いながら川沿いを散歩した。1年前だなんて信じられないくらい、遠くに感じる。季節は同じでも、もうあのときの私はどこにもいない、それを思うとちょっと寂しい。

黒とかモノトーンが多かった街並みの服装が、だんだんベージュとかピンクとか明るめの色に移り変わってきていている。朝は肌寒いなと思って着てきた厚手のコートは、昨日帰る頃には荷物になったので会社に置いて帰った。少し肌寒くても、天気がいいから気持ちがいい。

まだ呼び慣れない名前、過去に呼んだ人の名前がふわっと浮かんでは消える。何度も呼んだ名前だからなのか、それはなんというか不思議な感覚で、鈍い痛みのような、でも自分からは遠い感覚。会っても多分笑えるな、ってくらいで、きっと私から連絡することはもうないのだけれど。

極論は、出会って好きだなって思う友人や恋人、そして家族も、乱暴な言い方をすると勝手に幸せになってほしい。健康で長生きして、やりたいことをやって、それだけでいいって思ってしまう。私が何かをすることで幸せにしようだなんて、おこがましい。自信がないからなのだろうか、でも、他人を変えることはできないと思っていて、もし何かが変わったのなら、それは紛れもなくその人自身で変わったのだと思う。

そういう風に考えてしまうのは、暗い部分なのだろうか、まだ見せていない部分を知ったら引かれちゃうだろうか。明るいよねって言われて、太陽みたいな子はいるよ、きっとそんなに明るいわけでもないよと言い返しそうになることもあるけれど、自然に一緒にいる人に引っ張られて明るくなったのかもしれないなって思う。転職して本当によかったと胸を張って言える。仕事もひっくるめて自分の時間。大変だね、と言われても楽しんでいるからそこまで大変だとは思っていない。逆に制限される方が苦しくなるかもしれない。

たまに、知恵熱が出てるみたいに頭が痛くて、はかっても熱はなくて、それでも思うように身体が動かなくてもどかしいときがある。iPhoneの画面を見たくなくて、なんの情報も入れたくなくて、そういう日に限って会社にイヤホンを忘れて電車内の喧騒に負けそうになる。でも、ちゃんと朝がくれば植物みたいに太陽を浴びて回復して、ある意味単純でよかったなって思う。

藤原さくらの歌う”春の歌”が似合う季節だ、明日はゆっくり眠ろう。

#毎日 #なんでもないこと #祝日前の水曜日

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