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合気道の投げは"中途半端"

合気道の演武をご覧いただくと、
「すごく綺麗、投げられているのに美しい」
と言われることがよくあります。試合がない合気道は、演武で一般の方にご覧いただくことが多いです。

合気道は身体に負担が少ないとはいえ、武道には違いありません。
痛めることの多い部位としては膝、肩、手首、腰あたりでしょうか。特に膝を痛めると座り技の基礎となる膝行ができなかったりと、稽古できる範囲が制限されます。


合気道の稽古にも慣れた頃、先輩にガンガン投げられ膝を痛めてしまいました。座り技の稽古を見学していると、

「そうかそうか。ケガしたらつまらんわな。……ケガしたらつまらんぞ。私もたくさんケガさせてきた。でも、今はそんな時代やない。」

また、一教の指導の際、

「一教の受けはな、手のひらで畳を叩いてから膝をついて欲しい。そのまま膝をガンとついたらな、膝痛めるんよな。」そう言いながら実際に受けをとり、見本を見せてくれます。

一教の受けについては、新入部員が入るたびに話していたことを思い出します。


このお話には続きがあって、部員の中でも数人の前でしか話さなかったことですが、

「あああ合気道の投げはな、ええ意味ぞ、ええ意味で中途半端なんよな」

最初その話の意味が分からなかったのですが、こう続けてくれました。

「一教は手をついて、膝から落ちるんやないんよな。本当は頭から落とす。合気道の技は受けが取れんのが本当よな。

「小手返しもそう、本当に投げ飛ばしたかったら小手なんかより身体掴むやろ。柔道しよったんなら分かるわな、背中から落とさな一本は取れん。小手を返すのはな、頭から落とすためなんよな。ホントはぞ。」

意味がわかった時、少し背筋が寒くなった気がしました。

「開祖の時代は道場の隅でみんな寝とった言いよった。頭から落ちて気絶しとんよな。」

「でも、今はそんな時代やない。それ聞いたら合気道広まらんわな。今はな、今の合気道は半分技かけて、半分は相手のために置いとく。」

相手が受けをとることができる余地を残しておく、あなたたちの合気道はそうあって欲しい。


関節技が痛い、折れるからケガしないよう受けが飛ぶ、等、合気道の受けについてはいろいろな解釈がなされるところです。
私は「半分技をかけ、半分は相手のために置いとく」、これでいいと思っています。


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