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価値観を揺るがす アートの力


赤富士が電線だらけ... 啓発イラストが「カッコよくて逆効果」と話題に【無電柱化民間プロジェクト】 という記事を見て、

「~上を向いて歩こう~無電柱化民間プロジェクト」 に行ってみました。


このサイトのホームは、葛飾北斎の「富嶽三十六景」シリーズの一つ「凱風快晴」を使った、上の3枚の画像が、ページいっぱいに順番に入れ替わって表示されます。

趣意書には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの訪日外国人2000万人の政府目標に向けて、「無電柱化民間プロジェクト実行委員会」を設立するものであると、書かれています。

もちろん、大いにけっこうなことなので、反対する気など毛頭ないのですが、このサイトがきかっけで、ぼくは、また別のことを考えてしまいました。

この日本は、青い屋根と白い壁の美しい家屋で統一されたギリシャのサントリーニ島のような観光地とは、まったく違った姿をした国です。東京はとくに、バラバラで不統一、カオス的で混沌とし、ごった煮の寄せ鍋状態です。もちろん、京都に象徴されるような仏教芸術の開花した荘厳な精神と伝統を持った国として、日本をアピールすることもできます。でも、それは、すべてではありません。

外国人観光客が、好んで築地の市場を見学するのはなぜでしょう? 彼らの目には、さまざまのものがコンパクトに特上盛り合わせになっている東京は、エキサイティングで魅力的に見えているに違いありません。そう考えると築地の卸売市場の移転は残念なことかもしれません。

わたしたちが、お客様を自宅に招待するとき──気持よく過ごしていただけるように、隅々まで丁寧に掃除をするのは、当然必要なことです。

しかし、見栄のために、箪笥まで誂え直す必要はないかもしれません。

この赤富士の眺望をふさぐ電柱アートは、そんなことを、ぼくに考えさせたのです。



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