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北朝鮮が崩壊しないのはなぜか?


数年前、ひかりTVのビデオ サービスで、韓国の時代ドラマ 善徳女王 (ソンドク女王)を熱心に観ていました。善徳女王とは、7世紀に実在した新羅の27代目の王で、朝鮮の歴史上初の女王です。当時の新羅には “ 骨品制 ” という、厳格な身分制度があり、王になるには、“ 聖骨 ” (ソンゴル)と呼ばれる、両親ともに王族でなければ得られない身分を必要とされていました。
 
このようなことからも分かるように、朝鮮人たちは血統というものを非常に重要視してきた民族です。もしも、このような伝統が、現在の北朝鮮にも、まだ息づいているのならと、ドラマを観ながら、ふと思ったのを思い出しました。

中国も北朝鮮も、その実態は──王朝だと言われています。しかしながら、この二つの王朝は、まったく違います。中国は公然と行われる権力闘争によって指導者が入れ替わってきましたが、北朝鮮はそうではないのです。革命の英雄であり、建国の父である 金日成 の血筋にいるものでなければ、指導者にはなれないでしょう。新羅流に言えば、聖骨がものをいうのではないでしょうか。

昨年、粛清された張成沢は、中国との経済利権を握っていた人物で、食糧、エネルギーの大半を中国に依存しているこの国では、揺るぎない力をもっていたはずですが、王の血筋には勝てなかったわけです。


我々は、この自由主義世界の常識的な考えから、北朝鮮はきっと内部崩壊するに違いないと、いつも言ってきましたが、はたして、そうでしょうか?

この国の時計は数百年前から止まっているのです。我々は、民主主義の時代を経験してきました。しかし、この国は違うのです。革命などと言いながらも、日本が立ち去った後にできた空白状態において、新しい王権をめぐる権力闘争で勝利した金日成が新たに即位したに過ぎず、政治体制は依然として、なんら変ってはいなかったのです。

もしも、日本がまだ江戸時代のままだったら── 国民は、上様が倒れて新しい政権が立つなどと、夢にも思わないことでしょう。そのように、この国の人民には、蜂起して将軍様を倒そうなどいう発想すら出てこないとしても、不思議はありません。世界には我々の常識では理解できない、たとえばイスラム圏のような宗教世界もあります。したがって、北朝鮮に我々の理屈を適用することは、諦めるべきかもしれません。



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