見出し画像

人類史上初のクーデター


旧約聖書に書かれた、失楽園の物語をご存知でしょうか?

人類歴史上、最古の記録と言えば旧約聖書ですが、その旧約聖書の創世記第三章には、人がエデンの園から追放される経緯について書かれています。

へびにそそのかされた女が、神に禁じられていた木から実を取って食べ、夫にもそれを食べさせました。すると、ふたりの目が開け、自分たちが裸であることがわかったので、いちじくの葉をつづりあわせて、腰に巻きます。裸であることが恥ずかしいと感じるようになったことが、神を失望させ、エデンを追われることとなります。

さっぱり分からない話ですが、その中の “へび” の存在が気になります……

ヒ ントは新約聖書のなかにあります。ヨハネの黙示録十二章7節〜9節にはこう書かれています。『さて、天では戦いが起った。ミカエルとその御使たちとが、龍と戦ったのである。龍もその使たちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らのおる所がなくなった。この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された』

また、旧約聖書、イザヤ書十四章12節にはこんな記述があります。『黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった』

人間が神をはっきり認識できないの理由が、その時、神から引き離されたからだとすれば、それは悪魔の仕業ににちがいありません。明けの明星を意味する “ルシファー” という名の天使がいます。代表的な天使は三人います。その三天使とは、ミカエル、ガブリエル、そして、ルシファー。もともと、彼は天使界の頂点に立つ天使のリーダーだったというのです。

聖書解釈としては異端過ぎるという批判があってはいけないので、ここからは物語としてお聞きください。

天使のリーダーだったルシファーは、神に最も近い立場にあったわけです。ところが、天使は、神が我が子として創造したアダムとイブを育て仕える立場にありました。驚いたことに、天使よりも人間の方が、高い位置ににあったわけです。そのことに強い不満を抱いたルシファーは、同調する天使たちを呼び集め、反乱を決行するのです。神から子供を拉致し、神の創造した世界の支配者となったのです。つまりこれは、ルシファーがエデンで起こしたクーデターだったわけです。

創世記第三章23節には、こうあります。『そこで主なる神は彼をエデンの園から追い出して、人が造られたその土を耕させられた。神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、燃える炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた』 

しかし、愛なる神がそのようなことしていいのでしょうか? 
本当は、逆だったのかも知れません。

── エデンから追い出されたのは、実は、神の方だった! ルシファーは悪魔サタンとなり、エデンを地獄に変えました。その地獄が、我々のいるこの世界に他ならない……

これが聖書の裏に隠された物語です。

はたして、神はサタンから、エデンを取り戻せたのでしょうか? 

それは、簡単ではなかったに違いありません。もしも、エデンが神のもとに戻っていたら、この世界は天国になっているはずなのですから……


ピーテル・ブリューゲル『叛逆天使の墜落』



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?