いつか、空を飛ぶ日

こんなことを考えたことはないでしょうか？

鳥や、羽根を持った虫たちは、自由自在に空を飛べるのに、どうして人は飛ぶことができないのかと……

神様！　たよりなく、ふわふわ空中に浮いているような、あの蝶々でさえ飛ぶのに、わたし達人間を、どうして飛べるようにしてくれなかったのですか？

そうたずねたら、神はなんと答えるでしょう？

「おまえたちも、時が来れば、飛べるようになる」

きっと、そう答えることでしょう。

蝶の一生は、点・平面・立体的空間、の三段階にわたって、次元を高めながら進行します。卵は点です。孵化して幼虫になり、平面である植物の葉の上を這い回って暮らします。やがて、サナギになり、まるで死んだかのように動かなくなります。そしてそこを割って出て、第二の誕生を果たした蝶は、自由に空を舞って生きるのです。

人間も、水中・地上・空、の三段階にわたって、生きるようになっています。胎児は水中です。母胎に満たされた羊水の中で十ヶ月暮らします。その後、そこを蹴って飛び出し、この地上に産声を上げるのです。そして、それぞれの寿命を終えて地上に別れを告げ、空にたとえるべき霊的世界へと生活の舞台を変えるのです。死とは、老いた肉体を霊魂が抜け出し、次なる高次元的世界へ旅立つ第二の誕生の時と考えることができます。

人は、霊界という言葉を耳にすると、すぐに怪談やホラーといった興味本位のものに結び付けがちになります。それがよくないのです。人生の本質を見えなくしてしまうのです。

人生は、永遠なのです！　

蝶が羽ばたく時のように、人間に用意された次の世界、霊界はとんでもなく次元の高い世界なのです。

霊界では、人間は空を飛びます！　それどころか、瞬間移動さえする。時間と空間を超越した世界なので、条件さえ合えば、歴史上のどんな人物とも、会いたいと思っただけで会えるのです。言語の違いを超えたテレパシーのような手段で、コミュニケーションを行うため、だれとでも通じ合い、誤解も生じない。そして、当然、嘘をつくこともできません。

食事をしなくても、死なない。（もう、すでに死んでいる）　つまり、生活費を稼ぐために働く必要がないのです！

芸術家は芸術以外のものと関わらなくていいのです。
夢中になっていることがあるのに、ご飯を食べなさいと言われ、それを中断させられることもないのです！

なんと素晴らしい世界なのでしょう！
しかし、これがまた、とんでもない事態を引き起こすことにもなるのですが……

霊界を一言で言い表すなら、“ 心が実体化したような世界 ” とでも言うべきでしょうか。霊界では、方便やごまかしが利きません。権力や財力を用いて、人を動かすという手法がまったく通用しないのです。霊界においては、知識も簡単に共有することが可能なため、それを持って行ったとしても、なんの魅力も持たないのです。いったい、なにが有効なのか、よく考えてみるべきです。

また、霊界では、心が、いやだと感じたなら、無限の距離が生じます。したがって、とても深刻な問題があります。たとえば、家族がずっと、いっしょに、いられるかどうか限らないのです。地上では、どんなに憎み合う夫婦も、体があるおかげで、同じ屋根の下にいられます。ところが、霊界でいっしょにいるためには、真実の愛がなければならないのです。

そして霊界において、自殺者はどうなるのでしょうか？　自殺とは、自分を取り巻くすべての環境と、すべての人との関わりを、自分で絶ってしまう行為であるため、霊界で自分が立つべき足下の基盤をすべて失ってしまうことになるそうです。とにかく、けして、やってはならないことです。　空を飛ぶどころの話ではなくなってしまうことでしょう……

ともあれ、もしも、その日が来たら、ここでは、ほんとに飛べるんだと、大はしゃぎで行きたいものです！