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黒のダウン白い帽子とロングブーツ車椅子乗る母女ボスのよう(阿部しずり/NHK介護百人一首2019)

コートをクリーニングに持っていく季節。どたばた。どたばた。そのようなとき養命酒を飲むようにちびちび冬読もうと思っていたのにどたばたで手に取れなかった宮本輝「流転の海」第九部 最終巻「野の春」(新潮文庫)の真ん中より後のほうのところで松坂熊吾の妻、房江が「私のことを女ボスと呼んでるって、ほんま?」って聞いて社員食堂の人が「ふたりをこき使いながら、椅子に坐って煙草を吸うてる姿は、まさしくボスですよ」と答えたところで房江はん良かったなあとしみじみ思った。
房江はんの親戚かなんかのように思った。

房江はんの前半はまあまあ辛いことが多かったが房江はんは年がいってだんだん調子が出てきた。そして、この歌を思い出した。

黒のダウン白い帽子とロングブーツ車椅子乗る母女ボスのよう 
    阿部しずり/NHK介護百人一首2019


「女ボス」がおもしろい一首。
個人的には淡路恵子のような「女ボス」を想像。
ロングブーツの6音とブーツの筒型も「女ボス」感を強めている。




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