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藤井風という稀有なる"楽器"を聴き続けて4年目。未だにやって来る、突然の瞬間。

車の中で「さよならベイベ」が流れた。

HEHNが発売されてからこの3年以上、聴かない日は無いというほど聴いてきた。聴き続けてきた。

それなのに未だに突然やってくる、胸ぐらを鷲掴みにされ訳のわからない切なさで心が一杯になって溢れる、この瞬間。

世界中に歌のうまい人はそれこそたくさんいるし、心を打つ歌も数え切れないほどある。

それでも私達がこんなにも聴き続け、心を打たれ、胸を震わせるのは、藤井風という天から遣わされた楽器の、その体内を通して、その呼吸でその喉を震わせて、その唇から、その声に乗って彼の魂が歌うからかな。

レコーディングスタジオのブースの中、たった一人で歌っている。
音たちが彼の喉を震わせて、彼の呼吸と共に唇から流れ出る。
そんな横顔が浮かんできて、また切なくなる。

そしてカーステレオは「帰ろう」を流す。

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