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アイゴヒストリー3 碁石の復活

前回までのあらすじ
アイゴの碁石が先に底を尽きかけているので、碁石金型から作らないといけない。

日本福祉囲碁協会に利用者として登録した私は、週一で会員の方と碁が打てるようになりました。
地元の公民館で待ち合わせをし、毎週、週替りで4名の方々に教えてもらっていた時は、本当に幸せな時間と言って良いほど、囲碁に没頭していました。
ある時、会員のお一人に碁石が少なくなっているので、どうにかならないかと話したところ、一つの提案を日本福祉囲碁協会に出してくれました。
その会員の方の名前をMさんとします。

Mさんの提案とは、日本福祉囲碁協会からどこかの企業が出している補助金に申請し、その補助金を使って碁石の金型を作ってみないかと言うものでした。
当時の私には、補助金って何ですか?と言うくらい無知な状態でしたし、Mさんに全てお任せすることしかできませんでした。

この辺りは記憶が大分曖昧なのですが、あれよあれよの間に話が進み、Mさんと一緒に埼玉県西川口市の金型製作会社に訪問することになりました。
金型製作に定評のある有限会社アステックの杉田社長とお話し、碁石の大量生産に取り掛かることができました。

持参した旧型の碁石を杉田社長に確認してもらい、新型碁石のアイディアを私から直接お伝えしました。
旧型碁石は、現在の碁石と違い、裏面に十字の刻みがあり、中心部も丸い穴は空いていませんでした。
そのため、一つの碁石の重さでは大したことはありませんが、それが361個にもなるとかなりの重さになってしまいます。
私達は碁会所や施設までアイゴを持参する必要があったため、重量があると高齢者や体力が無い方は大変な訳です。

そこで、新しい碁石は、少しでも軽さを出すため中央部に丸い穴を空け、線に嵌め安いよう、刻みを十字から8方向まで増やすことをアイディアとして出しました。
このアイディアは、私がアイゴに出会って色々な方々から聞いたものを集約したものですが、後から聴くところによると、実は、米田さんのアイゴ構想図の一つにも8方向の刻みが描かれていたそうです。
米田さんスゴイ!

かくして2008年(だったと思う)にアイゴの碁石金型は復活しました。
Mさんありがとう! 杉田社長とアステックありがとう!

碁石が大量生産できるようになったことで、残っていたアイゴの碁盤も日の目を観ることになりました。
この頃、私も森野節男先生からアイゴを何面か譲り受け、囲碁普及に取り組みだした頃でもあります。
そのために私自身も日本福祉囲碁協会に入会し、ボランティア棋士として、同朋の視覚障害者に普及を始めました。
具体的には、2010年から社会福祉法人点字図書館で囲碁のカルチャー講座を始めました。
おかげさまで、このカルチャー講座は、他の会員たちの力も借りて2020年まで約10年間続けることができました。
この10年間は、視覚障害者に囲碁を指導する経験を沢山積ませてもらうことができ、今の私の囲碁指導の原点でもあります。

日本福祉囲碁協会では、視覚障害者にアイゴを無償で貸し出す事業も始まりました。
調べてみたら12年前のページが出てきてびっくり。
柿島さんも12年前はこうでした(笑)

日本福祉囲碁協会が視覚障害者用碁盤の貸し出し始める|囲碁のニュース|公益財団法人日本棋院
https://archive.nihonkiin.or.jp/news/2012/05/post_409.html

そして、いよいよこれからアイゴの碁盤金型復活へと向かいます。

続く

参考リンク
アステック・埼玉県川口市
https://www.astec-mold.com/

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