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もしぴちゃんに怖い話をしたら

☆ぴちゃんとまえくん196話目☆


ぴ『はいどーもー! ぴちゃんです』

ま『まえくんです』

ぴ『まえくん! ぴちゃんに怖い話して!』

ま『怪談話のひとつでもして、この過去最高レベルに暑い夏を涼しくしようってわけですな』

ぴ『聞いたことある話だと、オチ知ってて白ける可能性あるし、適当に創作して聞かせてや』

ま『えぇ〜、またハードル高いこと言うねぇ』

ぴ『即興で怖い話が出来る男はモテるらしい』

ま『備えあれば憂いなし』


ま『これは、僕が大学生の時の友人の身に起こった話です』

ぴ『はいはい、実体験じゃなくて伝聞タイプね』

ま『彼は、駅近のマンションで一人暮らしをしていたんだけど、両親からの仕送りを全て換金し、パチンコに溶かす生活をしていました』

ぴ『主人公パチンカスで草』

ま『遊戯にハマったあげく、生活に困った彼は「今住んでいる家よりも家賃の低いところに引っ越そう。そうすれば、仕送りの分が浮くから、パチンコに行けるぞ」と考えました』

ぴ『あーもう、パチンコ行くのは止められないから、軍資金の調達に目が行っちゃったのね』

ま『彼は、大学から少し離れたところにある霊園の隣に、何十年前に建てられたかも分からないオンボロなアパートがあることを知りました。彼の思惑通り、そこの家賃は今住んでいる部屋の半値だったので、不動産屋に連絡し、内見をすることにしました』

ぴ『まぁー、場所がら心理的に住みづらいって人もいますからね。築年数も経ってるし、安かったんでしょう』

ま『アパートは二階建てで、空室は霊園に最も近い、ニ階の一番奥の部屋でした。その部屋は、周囲に高い建物がないのにも関わらず、日当たりも風通しも悪かったそうです。ベランダからはたくさんのお墓が見えます』

ぴ『ほう』

ま『さらに浴室を見ると、バスタブがひどく汚れていました。彼は「こんな汚いところで風呂に入れるか」と不動産屋に言ったところ、「お客様が入居される際には、新しい浴槽と交換されていますからご安心ください」と返されます』

ぴ『まぁ、事前に言っとかないとね、退去時に自分が汚したって難癖つけられても困るし』

ま『スムーズに手続きや引越しが済み2ヶ月後。霊園横のオンボロアパートに住むことになりました』

ぴ『いよいよ初日や』

ま『大学から帰宅して夕方5時。アパートの階段で1人の男性とすれ違います。
「どうもこんばんは、新しい部屋のかたですか?」
「はい、今日から住みますので、うるさくしないよう心がけます」
「あぁ、私は二号室に住んでるものですから、お気になさらず」
「そうなんですね、よろしくお願いします」
「まぁ学生さんなら、夜勤の私と会う機会も少ないでしょうな。休日も両親の介護で家にいませんし」』

ぴ『ご近所さんへの挨拶大事ね』

ま『彼は隣の三号室に住んでる人にも挨拶しといた方がいいかと思い、そのまま三号室のチャイムを押します。
「どなたですか?」
「すいません、隣に引っ越してきまして、うるさくしないようには気をつけますので」
「あぁ、そうなんですね、いえ大丈夫ですよ、私は、毎日夜に出かけるからいないんで」』

ぴ『その人は安く住んで、夜の街に遊びに行ってるんかもしれんな』

ま『彼は自分の下の部屋、一階四号室にも挨拶に行きます。
「上に引っ越してきたものです。うるさくしないようにしますのでよろしくお願いします」
「あー、気にしないでいいよ、俺そーゆーの全然気になんないし。まぁ前の人たちは結構うるさかったんだけど。まっ、俺も夜は女のとこ行くからさ」』

ぴ『チャラそう。毎日違う女の家上がりこんでそうや』

ま『彼も「まだ夕方か。バイト代余ってるし、俺もパチンコでワンチャンハイエナするかな」と出かけました』

ぴ『すごい、発想がナチュラルにカス』

ま『彼がアパートに戻ってきたのはちょうど日付が変わった頃。夏だというのに、虫の声も聞こえないほど静かで、無風。街灯もほとんどなく、アパートは誰の部屋も電気がついていません』

ぴ『まぁ、みんな夜は外出するって言ってたもんな』

ま『彼も帰宅して、部屋の電気をつけ、干してあった洗濯物を取り込むためベランダに出ます。朝干したのにもかかわらず、洗濯物はまだじっとりと濡れていました。「しょうがないか、まだ干しておこう」と、夜風を浴びながら窓を閉めます』

ぴ『夏の洗濯物は取り込む前にセミが引っ付いていないか細心の注意を払うぴちゃんです』

ま『寝る前にシャワーを浴びようと浴室へと行ったところ、あることに気が付きます。新しいバスタブのはずなのに、もうすでにドス黒く汚れているのです』

ぴ『なんや、新品に交換するって言っといてしてないんか、ぼったくりやんけ』

ま『彼は恐る恐る、汚れを指で触ると、まだ温かさの残った土でした。まるで、さっきまで地中にあったかのように。おしまい』

ぴ『え! 終わり!? オチは!?』

ま『オチ解説させるの!? そんな恥ずかしいこと出来んよ! 頑張って考えてや、こっちも即興で創ったんやから』

ぴ『えー! じゃあオチ弱っ! なぁ〜んや、期待して聞いて損した。ぴちゃんグロいのは嫌やけど、もっともっと怖い話がよかったなぁー』

ま『そんなん急に言われてもやしやなぁー。てか、やったら怖い話なんて、今の目の前の状況を口に出して言うてみ』

ぴ『30代無職男性、日曜の昼間にひとり家で人形と会話している』

ま&ぴ『・・・』

ま&ぴ『怖っえぇー!!』

#3分間の暇つぶし #ぴちゃんとおはなし  

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