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しろがねの葉

千早茜さんの新刊、しろがねの葉を読んだ。

実力派、こだわり派の千早さんならではの繊細な描写です。

口数少ない男のこころのありよう

男勝りな女の生き方と愛し方。

どちらも必死に愛して生きている。
その不器用さと健気な姿が胸をうつ。

人が生きる意味、それはきっと愛しいひとのためにだろう。

大切なことを気付かせてくれる深く思慮深い優れた作品だと思います。

賢明な千早さんらしい、細やかな考察と丁寧な描写に心を掴まれる。

銀が染み出した輝く羊歯の葉が、暗闇に鮮やかに浮き上がる。

闇は濃く限りなく深く、光は眩く、くらくらする程に眩しい。

闇と光をこんなふうに鮮明にかき分けた作家がいただろうか。 

茜さんの作品は、いつも鮮やかに色濃く色彩
に彩られている。

今回も赤や銀や青緑が鮮明に鏤められている。

それも、いつものように匂いを伴い。

立体的に多角的に風景を魅せてくれる独自の感性での書き方だ。

ひとのこころのひだと澱までもが、くっきりと書き出されている。

変わらないもの。

かえられないもの。

変わってゆくもの。

悲しいこと。
苦しいこと。
嬉しいこと。
茜さんの筆は巧みに書き綴ってゆく。

優れた技法で、躊躇なく、世界を彫り上げてゆくのだ。

とても素敵な作家さんであり、とても素敵な作品です。

永遠のてえまである愛を、こんな風に卓越した書き方をする茜さんが大好きだ。😆

読み応えありました。

が、すっと心に、脳裏に染み込みました。😌 

白銀が染み込んだ、蛇のねござのしだの葉のように。

しっかりとわたしの心はしろがねの輝きに魅せられて参っております。😆 

愛する女を守るために男たちが命を賭けて掘った銀は鈍く光り、永遠に人を狂わせ、とろりと妖しく輝き続けるのでしょう。

愛と欲と死。


じゅね。

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