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親愛なる桜木紫乃さんの記事を~。

素敵な記事ですので転載させていただきます。(^-^ゞ

----- Original Message -----
写真のようなストリッパーの踊り子さんがつくるTシャツを着て、ファンのおじちゃんたちがストリップ小屋に応援に行くんですよ。小屋に行くときには、私も着ています。踊り子さんからは、学ぶことが多いんです。

 踊り子さんが裸をきれいに見せるには、日々訓練していないと難しい。それは文章を書いている私にも言えることです。中途半端に脱げば良いんだ、書けば良いんだ、という心がけでは、見る人や読む人に恥ずかしい思いをさせてしまいますから。恥をかくなら、恥ずかしくない恥を、というところがあります。ちゃんとした「芸」にしてお渡ししないと、お互いが傷つくという点で、ストリップと小説は同じだと思うんです。
 私も、「性描写だけ読めば良いや」と言われる書き手にはなりたくない。性描写もあるけれども、そこに至るまでの人間のでこぼこを書いてなんぼ。そのためには小説を書く腕を上げなければいけない。(ストリップ)小屋に行くたびに、腕を上げたいと思います。裸の人たちに励まされながら、私も脱いでいます。
 昨年3月を最後に、小屋には行っていません。でも、今月に刊行される「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」の原稿を書いている間は寂しくありませんでした。書いている間は見えていますから。作品に出てくる「フラワーひとみ」というストリッパーの舞台も、想像しながら本当に見ているんですよ。こういうとき、小説家になって良かったなあと思います。(聞き手・興野優平)
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 さくらぎ・しの 1965年生まれ。「ホテルローヤル」で直木賞、「家族じまい」で中央公論文芸賞。ストリッパーを題材にした作品に「裸の華」など。写真は原田直樹氏撮影。

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