存在のすべてを。
あわらの大火の歴史ミステリーをリアルに書いた塩田武士さんの著作、朱色の化身、映画罪の声がよかったので、存在のすべてを。を読んでみようと思った。
子供の頃、誘拐され、数年後に戻ってきた天才写実画家の空白を調べてゆく記者の心情がメインに書かれている。
優れたジャアナリストならではの内容だと思った。
北海道の風景が詳細に登場する。
塩田さんは土地や景色、風土や歴史をリアルに細やかに書く。
みえかどんが文春に書評を書いた朱色の化身も リアルなあわらの歴史と風土に迫っていた。
写実画がたくさん、でてくるが、八代亜紀さんの写実画を思った。
私の日舞の師匠、あやめ姉さんも写実画をかいていた。
とてもうまかった。
まるで生きているような芸じゃをかいていた。
なにわの楽屋で。
着物をぬうときも、絵を書くときもあやめ姉さんは繊細でひたむきな仕事をしていた。
私の師匠である。
雑な私はいつも反省し頭を抱え、ねえ様を尊敬していた。
存在のすべてを。
は、意外な、だけど、望んでいたおわりかたをする。
存在のすべてを。を読み終えて、ああ、読めてよかったな。と、思えた。
塩田さんの書く力と写実画家が写実画を書き上げる力はおなじだと思った。
塩田さんの次作が楽しみだ。
じゅね。
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