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『暮らしの中にある宇宙』のあとがき

あとがき?

 先日、コミティア137で『暮らしの中にある宇宙』という文庫本を頒布しました。これって売れるんかな~って思ってたら、想像以上に多くの方にお迎えしていただいたようで感動しています。同時に自分の恥がみなさんのお手元にあるということで、どうにかなかったことにできねえかなと日々画策しています。ということで今回は少しでも恥を軽減すべく、あとがきというなの言い訳を(あるいは恥の上塗りを)していこうと思います。一応、既読者に向けてになりますので、ネタバレにはご注意ください。

未読の方へ・紹介記事はこちら
https://note.com/taco_human/n/nf9630997287c

パンクス・ネバー・ダイ

 七割くらい実話です。ただ、この話の主人公ほど僕はひねくれてないと思います……多分。いや嘘です。めちゃめちゃ屈折した気持ちを抱いていました。でもえらいのでもう少しノリ良くしてました。
 文学の役割の一つに、ある側面からのみ見た人格を強調することで、自意識への気付きや擦り合わせを与える、というのがあると思うんですが、それを意識して書きました。いやそんなにカッコいいこと考えてなかったかもしれないです。賢ぶる馬鹿が一番厄介なので黙ります。要するに僕の中のひねくれた部分だけを抽出して書いたよ!ってことです。
 個人的に上手く書けたかもなところは終盤の演奏シーンでした。日常の中でたまに思考がぐるぐるとなって、時間がぎゅうっと圧縮される瞬間があるじゃないですか。ああいう瞬間ってなんか好きなんですよね。
 人に読ませる文章なんだと意識したとはいえ、比較的暗くて内省的な文章になっちゃったなあと思ってたんですが、全体で見たとき意外とバランス悪くなかった気がします。順番でいうと、一つ前がもちうめさんの文章なんですが、これがめちゃめちゃ僕の文章と対になっていて笑っちゃいました。すごくきらきらで眩しくて可愛らしい文章なので好きです。そんなこと言ってたらdyism!さんの文章とパンクで被りました。パンクで被るなよ。

イエスタデイ・ワンス・モア

 嘘の話を書こうと思って始めた話です。それからみんなの原稿が上がってきたので、その要素を拾い上げて一つ文章が書けたら面白いかなって思ったのです。文庫本の終盤にそういう話が来たら楽しいと思って。(これは「世界塔よ永遠に」の話をしています)僕のアルバムを聴いてくださった方はなんとなく分かってるとは思いますが、こういうのすごく好きなんです。なんというか、答え合わせ的に楽しんで頂けると嬉しいです。
 嘘の話っていいですよね。あからさまな嘘というより、まことしやかな嘘。ある世界では常識と見なされるような嘘。そんな感じの話を書こうとしてました。みんなの要素を入れるという点でもそうですが、全くのノープランで書き始めた文章で、本当に一日を過ごすような気持ちで書いていました。そういう意味では一番まとまりのない文章になったと思います。
 主人公が持ってる、連想ゲーム的に勝手に歌い出すという性質は少なからず僕が持ってるものです。僕と会話したことある人は分かるかもしれませんが、まあまあうるさいです。それはともかくとして、この話において、その性質は重要な要素になってないと思います。もちろん何かしらの意味を見出すことはできると思うんですが、少なくとも僕にとっては何かのメタファーとして書いたつもりはないです。(表現物である以上、そこに無意識的あるいは結果論的に意味を持つことはあるのですが)
 「イエスタデイ・ワンス・モア」をモチーフにしようと思ったのは本当にラストを考える段階になってからだったんですが、割と符合したんじゃないかなって思ってます。原曲の方もいいんですが、「ゆらゆら帝国」のカバーもすごくいいのでよかったら聴いてみてください。この文章の全体的なテンションとしてはそっちの方が近いですし。

ヒア・カムズ・ザ・サン 

 八割くらい本当の話です。この企画を説明するときの例として示す必要もあり、この本の中でも一番最初に書かれた文章です。そのせいもあって文章としては一番稚拙で恥ずかしいです……。僕の記憶としては数少ない真っ当で爽やかな思い出なので、できる限り忠実に描写したかったんだと思います。実際がどうとかは置いておきます。本当は「イエスタデイ・ワンス・モア」を本のラストにするつもりで書いていたんですが、読後感を考えてこのお話が最後になりました。ちょうど夜が明ける感じで終わったので良かったです。
 果てしなく爽やかな文章になると思って書いてたんですが、結局陰キャみたいな文章になってしまいました。う~ん、あんまり書くことないです。

あとがき!

 何はさておき、初めて文庫本を作ったのですが、とても楽しかったというのが感想です。馬鹿みたいな感想だな?ごっつい人見知りなので、声かけるところから緊張しまくりでした。みんな快諾してくれて嬉しかったです。その後も連絡や編集や校正やら、とても大変で「編集さんってすげ~」という気持ちになりました。苦労したのは間違いないんですが、それ以上に楽しくて貴重な経験ができました。なのでみんなもやろうね。
 皆様から寄稿して頂いた文章も、どれもその人なりが見える本当に面白い文章ばかりでした。編集作業をしながら何度も何度も読み返しているんですが、素敵な文章ばかりだったのですごく楽しかったです。そもそも、他人の書いた文章を読みたいな~から始めた企画だったので、それがこうして形になって読めるのって不思議な気分です。できあがったものが、めちゃめちゃ文庫本なので笑っちゃいました。同時にすごく嬉しかったです。多分、自分にとって、ときどき読み返すような大切な本になるだろうなって思います。手にとって頂いた皆様にとってもそうであると幸せです。あの、もし感想とかあったら教えてください……。
 この本に興味を持っていただいた方々、実際に手にとっていただいた方々、ならびに寄稿していただいた皆様にあらためまして深い感謝を述べさせていただきます。

あひるひつじ

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