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草むしりと言う名の戦争

今年もこの時期が来た。
砂利と土とコンクリートの庭に蔓延る草花。
そしてそこに住む虫、虫、虫、虫。

奴らはまるでここに自分達の村を作ると言わんばかりの勢いで生え、拡大し、侵食する。
草むしり。これは我々人間と草花との戦争である。

森を切り崩して出来たこの土地は元々奴らの場所だったかもしれない。だが、ウン千万の借金をして土地と家を購入し、地鎮祭を行ったからには私たち家族のものだ。容赦はしない。
丁度やる気がみなぎっていた私は主人と娘を買い物に行かせて1人で草を毟った。

用意するものはゴミ袋と手袋と輪ゴムとスマホとBluetoothイヤホン。
手袋の口を輪ゴムで閉じて虫の侵入を防ぎながら、片手にゴミ袋を握り、2ch修羅場まとめを聴きなぎらむしる。

葉の量が多くちぎれやすい為根まで抜けない草。
茎も葉も強く根が頑丈でしぶとい草。
小さく大量に発生している為手の付けようがない草。
根元にダンゴムシが住む草etc…
雑草多くて草ァ

ダンゴムシやダンゴムシもどき、蜘蛛に蟻に枯れたカタツムリに幼虫のミイラ。草花に住む虫は様々だった。
虫を発見する度に精神ライフルか削られていく。
こういう時はいつも寄り目をして視界をボヤけさせて見たくないものを見ないようにする。間違って視野に入る事も無い。ある程度草むしりも出来る革命的裏技。

しかし誤って見てしまった時、その場から瞬時にその虫を排除したくなる。そんな時はデコピンをする。
これをした瞬間に目の前にいたダンゴムシは15cm先へ消える。
そしたらあとは寄り目をするだけ。

中にはデコピンが出来ない虫もいる。それはカメムシ。
また、毟った瞬間激臭を放つ草(タイトル写真)もありとても厄介である。
が、口呼吸で完全に激臭をシャットアウト出来る。嗅覚に対する攻撃は全て防げる強力な防御技。

そして今年の草むしりが終わった。
ゴミ袋の口を縛り手袋を水洗いして、ソファに横になって綺麗になった庭を眺めていると娘と主人が窓から顔を出した。
「何柄だと思う?」と言いながら見せてきたそれは、ピカチュウ柄の青い男児用上靴だった。

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