見出し画像

私のセンスはどこかに旅に出たまま、帰って来ない。

30歳の終わりに、カメラを買った。
31歳、カメラはホコリをかぶっていた。
32歳、久しぶりに手に取ったカメラで、写真を撮った。楽しかった。
33歳、たまに「撮って欲しい」と言われるようになった。
でも最近悩んできた。上手くなっているのか。この先どうするのか。

カメラのお金はカメラで稼げないものかと思い、
あるオンラインサロンで、写真を見てもらった。
細かい内容は省くとして、簡単に言うと
「1人で撮らない方がいいよ」
と言われた。
自分のセンスだけで撮ると、そのセンスがイケてなかったら終わりだから。

自分のセンスを否定されたわけではなく、仕事の場合は相手の期待に応えられる力が必要でそれは往々にして違うセンスを取り込む必要がある、ということだと理解した。

したんだが…。
目の前に壁が見えた。
どうしたものか。

だって、撮りたくないものは撮りたくないじゃん。
撮りたいものが撮りたいじゃん。
と駄々をこねる私もいる。

でもふと我にかえれば、割と素直に人に頼っていることがあった。
美容室だ。

***

学生の時は、よくファッション誌を見ていた。
(『CHOKi CHOKi(チョキチョキ)』っていうのが中高生のバイブルだった)
次はこの髪型がいいな、なんてやっていた。
早めに受験が終わったこともあり、高校生でメッシュにしたこともあった。
TPOも気にせず、好きなように。
男子はすべからくモテたくて髪型を選んでた。
髪型ランキングのうたい文句も大体そうだった。
*個人の主観です

過去に戻れるなら言ってやりたい。
それ、女子にウケないよって。
男子が思う格好いいと女子が好きな男子の髪型って違うんだよって。

みんな、いつか気が付く。
彼女に褒められる髪型がランキングと必ずしも一致しないことを。
自分のポテンシャルと髪型の相性を。

そして、私は「これにしてくだい」っていうオーダーをしなくなった。

***

雰囲気変えたい。
さっぱりしたい。
メンテナンスを簡単にしたい。
一回伸ばしてみたい。
なんなら、
してみたい髪型あります?ボウズ以外で。
と、オーダーしたこともある。

ざっくり相談して、美容師さんの脳みそを借りる。
じゃぁ、こんな感じにします?と返してくれる。
大体そのまま受け入れる。

カット中も、どうします?もうちょいいきます?と聞かれたら、いっちゃいましょうと返す。

今まで不満に思ったことはそんなにない。
毎回違って楽しくて、ご機嫌になれる。
ここまで委ねられるのは、自分の目で見れないのもあるんだろうけど。
なんとなく、美容師さんとの間でセンスが生まれている気がして楽しい。

完成形はなくて、時代や年齢、その時の気分でグニャグニャと有機的に変わっていくものだから。

***

画像1

12月の終わりに、美容室に行った。

「今日カラーどうします?」
「そろそろ黒髪に戻していきたいんで暗めがいいかなって」
「ふんふん」
「濃いめのアッシュとか」
「オレンジとかピンクどうですか」
「アッ」
「たけもとさん暖色系似合いますよ」
「アッ」
「ピンクオレンジにしましょ」
「アッ」
「絶対可愛いです」
「そうしましょう。」

今では、こんな調子だ。

***

話を写真に戻す。
なんとなく、好き嫌いがある。
お金を稼ぐことを考えた時に、どうしていくか。
答えはまだない。
ただ、少なくとも誰かと出会い、その間に生まれたものを写したい。

私のセンスは今も、旅に出てる。
でも今度は、こちらから探しに行こうと思う。

すべて推し(お酒)に貢ぎます。ぷはぁ。