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のんびり地学基礎 #34 地球史①「プレカンブリアン」

今回から長~い地球の歴史を
全4回にぎゅっと詰め込みまして
疾風怒濤で振り返ります!
抜け落ちがあるかと思いますが
ご容赦くださいませm(__)m

第1回は、
地球の歴史の90%を占める
先カンブリア時代
(プレカンブリアン)
です。

地球誕生から
陸地で生命が繁栄する直前までの、
約40億年間です。


地球は約46億年前に生まれました。

①、冥王代 ~地球の誕生~
(約46億~40億年前)


約46億年前、
原始太陽系を周る微惑星同士が
何度も衝突と合体を繰り返して、
原始地球が誕生しました。

激しい衝突のエネルギーによって、
地球の表面は1500℃以上でした。
岩石は融けて、マグマが海のように
地球を覆っていたと考えられています。
マグマオーシャン

マグマオーシャンの中には
重い鉄やニッケルが含まれており、
だんだん重力で沈んでゆくと
中心に集まりになりました。

微惑星の衝突が落ち着くと
マグマオーシャンが徐々に冷えて
原始地殻ができました。

この頃の大気の主成分は
水蒸気と二酸化炭素でした。
地球が冷えるとともに
大気中の水蒸気も冷やされると
それが雲となり大雨となって
地表に振り注ぎました。
大雨は、1000年間
振り続けたと考えます。

そうして原始海洋が誕生しました。
約44億年前の出来事です。

大気中の二酸化炭素は
どんどん海に取り込まれ、
海水中のカルシウムや
マグネシウムイオンと結びつき
炭酸塩になって海底に堆積しました。

ちなみに
海はずっと存在していた
わけではありません。
途中、
微惑星が頻繁に衝突していたので
その熱で海は幾度も蒸発しました。
安定的に海が存在できたのは
約38億年前と考えられています。

②、太古代 ~生命の誕生~
(40億~25億年前)

最古の石から見えること

地球最古の岩石は
カナダ北部、アカスタ湖の
露頭でみられます。
アカスタ片麻岩という
約40億年前の変成岩です。

また、グリーンランド南部では
約38億年前の礫岩や、
玄武岩質の枕状溶岩が見られます。

変成岩が出ると言うことは、
プレート運動があり、
造山活動があったということ、
堆積岩である礫岩が出たということは
すでに山があり、川の流れで
浸食運搬されたということです。

また枕状溶岩とは、
海底火山で噴出した溶岩が
海の水で急冷されて
外側だけが
円筒形に固まりだします。
しかし、内部はまだ熱く
融けている状態なので、
外が固まっては中味が先へ飛び出し
外が固まっては中味が先へ飛び出して
海の中をぐんぐん
進んでできたものです。

枕状溶岩があるということは
海が存在している証拠になります。

これらの岩石を見ると
この頃には
プレートテクトニクスが
作用していたとみえます。

最古の生命の痕跡

太古代の初期の大気と海には
酸素がほとんどありませんでした。

オゾン層もなく、
生命にとって有害な紫外線が
地表に降り注いでいたため、
最初の生命は、
紫外線の影響が少ない
水中で生まれたと考えられています。

先ほどのグリーンランドの
38億年前の堆積岩の中には
炭素質の微粒子が含まれています。
生命が二酸化炭素から
有機物をつくる時の特徴が
この微粒子の中にありました。
38億年前には生命が
存在していたのです。

最古の生命の化石

生物の形を残している
最古の化石は、
西オーストラリアから発見されました。
35億年前の微生物の化石です。
ほどんど変成作用を受けていない
チャート(堆積岩の生物岩)の中に、
長さ数十㎛の繊維状の
微生物の化石がありました。

海嶺付近の
熱水噴出孔から出る
硫化水素やメタン、アンモニアなどを
エネルギーにする微生物が
最古の生命だと
考えられています。

光合成の始まり

それまでの生命は、
海の深い場所にいましたが
約27億年前の太古代末、
太陽の光が届く浅い海に
生命が移動してくると、
酸素発生型の光合成
行われるようになりました。

そこでは
藻の仲間のシアノバクテリアが
光合成をして酸素を大量に放出し、
シアノバクテリアはまた
ストロマトライトという
石灰質のドーム状の構造物を
世界各地でつくしました。

現生のストロマトライト

③、原生代 ~多細胞生物の出現~
(25億~約5億4100万年前)


それまでの地球は、
大気も海水もほぼ
無酸素の状態でしたが、
シアノバクテリアの
光合成によって
原生代の初期には、
大気中の酸素濃度が
爆発的に増えました。
それにより
大気圏でオゾン層
でき始めました。

海中でも酸化が進み、
鉄イオンと酸素が結合します。
そうしてできた酸化鉄が
大量に海底に蓄積して
縞状鉄鋼層を形成しました。
現在、
私たちが日常利用する鉄は
こうした大規模な鉄鉱床から
採掘されています。

オーストラリア カリジニ国立公園 ハンコック渓谷にみられる縞状鉄鋼層

2度の全球凍結と大進化

原生代初期(約23億~22億年前)と
後期(約7億5000万年~6億年前)の
計2回、地球は、
地表の全てが氷で覆われてしまう
スノーボールアース(全球凍結)
を経験しました。

全球凍結は、
生物の大量絶滅
引き起こしました。
しかしまた
この大量絶滅は、
生物の大進化のきっかけ
にもなりました。

1回目の凍結後には
核を持たない原核生物から
核を持った生物が現れました。
(真核生物)
核を持つことで、
進化のスピードが
格段に上がりました。
約15億年前には
多細胞の藻類が現れました。
多細胞生物の繁栄の
始まりです。

2回目の凍結後は、
全く新しいタイプの生物群が
登場しました。
タコやイカのような
大型の無脊椎動物です。
この生物群を
エディアカラ生物群
呼びます。

エディアカラ生物群

光合成の生物による
酸素の大量発生。

エネルギー効率の良い
酸素を利用して、
海の中では
さまざまな生物が
大繁栄していました。

酸素の増加に伴い
オゾン層が作られて、
いよいよ
海の中でしか
暮らせなかった生物が
陸に上がる時代が
もうすぐそこまで来ています。


次回は、
「地球史②」、
古生代(顕生代)
です。


謝辞~星屑の子供たちへ~

地球の歴史の90%の40億年をざっと振り返りました。
何億年単位で蓄積された鉄を、わずかしか存在していない現在の人間が利用しているなんて石油も他の資源もそうですが、少し複雑な気持ちです。
何をどうされても、それでも地球は回っています。地球の恩恵に感謝です。

Geo Radio「のんびり地学基礎#34「地球史①」


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