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のんびり地学基礎 #35 地球史②「古生代」

先カンブリア時代の後から
現在までを顕生代といいます。
「目で見える生物が出てきた時代」
という意味です。
先カンブリア時代が
地球の歴史の9割でしたので
顕生代は残りの1割の
約5億4100万年間になります。

顕生代は古い方から
古生代・中生代・新生代の
3つに分けられています。
今回はその中の
古生代を見ていきます。
(約5億4100万~ 約2億5190万年前)

古生代の前半は温暖でした。
海の中の生命が多様化し、
いよいよ生命が陸上に上がる
という布石の時代と言えます。

古生代をさらに詳しく分けた
「紀」ごとに
詳しく見てみましょう。

①、カンブリア紀
(約5億4100万~約4億8830万年前)

原生代の海の中では、
大型の無脊椎動物が
繁栄していましたが、
カンブリア紀になると、
硬い殻を持った生物が現れます。
例えば、節足動物の三葉虫や
脊椎動物である魚類
(今の魚とは違い外側に骨格がある)
もみられました。

カンブリア紀前期、
中国・澄江チェンジャン動物群
中期のバージェス動物群では
海の中の多様な生物の進化が
みてとれます。
この、突然のように
海の生物が増え
多様な進化をなしたことを
カンブリアン爆発といいます。

チュンジャン・バージェス動物群

②、オルドビス紀
(約4億8830万~約4億4370万年前)

この頃、プランクトンの
放散虫が現れました。
放散虫は堆積岩のチャートに
なる生物です。
チャートは鍵層となるので、
詳しい年代が測定できる化石が
出るようになります。

古いタイプのサンゴ
フデイシと呼ばれる生物が
現れました。

オルドビス紀、海の中

この時、同時に
生命が陸に上がろうとしていました。
水辺に何かの胞子(原始的な苔)の
化石が見つかりました。
また、
5㎜ほどのゴカイのような
節足動物が這った跡が
水辺に残っています。
陸上進出の始まりです。

③、シルル紀
(約4億4370万~約4億1600万年前)

シルル紀になると
この頃の地層から
クックソニアという植物の化石が
見つかりました。
植物の上陸完了です。


④、デボン紀
(約4億1600万~約3億5920万年前)

デボン紀に入ると
クックソニアの他にも
さまざまな植物が上陸しました。
中でも、シダ植物は大型化して
生息地を拡大してゆき、
シダの森を作りました。

上陸した植物により
光合成が大量に行われ、
酸素濃度が現在と
同じほどになりました。

これで、
陸上での酸素呼吸が
可能になりました。

さらに、ここまでにできた
オゾン層のおかげで、
地上に届く紫外線が減り、
生物の陸上進出の助けに
なったと考えられています。

脊椎動物の上陸はこの頃で
イクチオステガという
魚類から分かれた両生類でした。
水辺付近で陸にあがったり
戻ったりしていました。

↓ イクチオステガ

海の中では、
現在の魚のような
内骨格を持つ種も
現れました。

クリマティウス(顎を有する最初の脊椎動物)


⑤、石炭紀
(3億5920万~2億9900万年前)


森林の発達は、
動物の生息域を広げる
ことにつながります。

この頃までに
急速に陸上動物の
多様化が起こりました。
昆虫、両生類、爬虫類が
現れ、陸上の生態系は
大きく変わりました。

シダ植物のロボクリンボク
フウインボクなどの森林が
世界各地に広がりました。

シダの巨大な森林は
その後生き埋めになります。
それらは沼地で堆積し
石炭のもとになりました。

私たちが利用してきた石炭は
この頃の二酸化炭素を取り込んで
作られたものです。

シダの森、想像図

石炭紀中ごろまでに
地球の主な大陸同士が衝突し、
パンゲアと呼ばれる超大陸と
パンサラサ海という
巨大な超海洋ができました。
テチス海は浅く広大な内海で、
多くの海洋生物が繁栄しました。

超大陸パンゲア

温室効果ガスである
二酸化炭素の減少によって
石炭紀後半には
寒冷化していきました。

⑥、ペルム紀
(約2億9900万~約2億5100万年前)


ペルム紀には南半球に巨大な
ゴンドワナ氷河ができました。

一方浅い海では
サンゴ、ウミユリ、フリズナ、
腕足動物などの石灰質の殻を持った
海底に固着する動物が増えて
大きなをつくりました。

陸上では裸子植物
(ソテツ、いちょう類)

現れました。
種子をつくるようになった
最初の植物です。
それらの植物を食べる動物が増え、
爬虫類も大型化していきます。

しかし、この後
顕生代で最大の
大量絶滅が起こりました。

原因は、
パンゲアでの
大規模な激しい火山活動と、
パンサラサ海での
酸素欠乏事件と考えられています。
さらにこの時同時に
地球のS極N極の向きが入れ替わる
地磁気の逆転まで起こりました。

陸、海ともに環境が激変し
古生代を通して
進化し栄えた多様な動植物は、
環境の変化に対応できずに
ペルム紀末に一斉に絶滅しました。

しかし、
大量絶滅の後には必ず
新しい生物の出現が
待っています。

最悪の大量絶滅は
現代型生物への進化
へとつながります。


次回、
「地球史③」
中生代です。


謝辞~星屑の子供たちへ~

恐竜の絶滅はよく知っていましたが、地球上でこんなに何度も絶滅があったとは、、、。絶滅の回をやるたびにドキドキが止まりません。
いずれまた大量絶滅が起こるのでしょう。でも人間が原因の絶滅は阻止したいと思うのです。

Geo Radio「のんびり地学基礎#35「地球史②」


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