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のんびり地学基礎 #27 変成岩②「広域変成岩」
高温にさらされたり
高圧を受けることにより
もとの石から変質してしまった
岩石を変成岩といいます。
今回は変成岩の中の
広域変成岩について学びます。
広域変成岩のできる場所
接触変成岩は
マグマが触れた範囲だけ
局所的に変成されるのに対して、
広域変成岩は、
下の図のように幅広で、
帯状に長く、広い範囲に
分布するのが特徴です。
![](https://assets.st-note.com/img/1689773966364-aKUEWKJ6Ye.jpg?width=800)
どのようにして広範囲に
しかも帯状に変成岩が
できるのでしょうか?
それは、
プレートの収束境界が
関係しています。
①、海洋プレートの沈み込み付近
海溝では、
冷たい海のプレートが、
大陸プレートの下に潜りこみ、
高温のマントル内へ
沈み込んでいきます。
地下に潜りこんでいくと
圧力は高くなるのに
海洋プレートの温度は
マントルほどには
熱くなりません。
このように、
海溝付近に沿って、
温度が低いわりに
圧力が高くなる
帯状のエリアができます。
そこが
低温高圧型の広域変成帯となり
低温高圧型の広域変成岩が
つくられます。
②、沈み込み帯の大陸側の地下
また、大陸側では
プレートの沈み込みにともない
地下で火成活動が起こり
大量に作られたマグマは
浮力で上昇してゆきます。
すると、
圧力が低いわりに
全体的に温度が高い
エリアができます。
そこは
火山の根っこに沿って
帯状に広がる
高温低圧型の広域変成帯になり
高温低圧型の広域変成岩が
つくられます。
③、衝突帯
大陸と大陸がぶつかる衝突帯では、
押し合って山脈を作ります。
すると、そこは
温度も圧力もどちらも高い
エリアになります。
高温高圧タイプは
中圧型と呼ばれているので
そこは
中圧型の広域変成帯となり
中圧型の広域変成岩が
つくられています。
![](https://assets.st-note.com/img/1689815752590-6b9em9XzMF.jpg?width=800)
このように、
収束境界の特定の領域で
温度と圧力が変わり、
広範囲に岩石が
変成していくことを
広域変成作用といい、
変成した岩石を
広域変成岩といいます。
広域変成岩の種類
変成の仕方の違いで、
できる変成岩もさまざまです。
①、High P/T
温度に対して
圧力が高い比率の時を
High P/T、または
低温高圧型といいます。
High P/Tでできる変成岩は
結晶片岩(シスト)と呼ばれるものです。
低温でゆっくりと成長する
変成鉱物が、
偏った圧力を受けて
一定方向に並ぶので
ある面に添ってペラペラとはがれる
片理という構造を持ちます。
海溝に近い付近で
海溝に沿って作られます。
![](https://assets.st-note.com/img/1689740297071-HDKYPjwo5b.jpg?width=800)
低温高圧型の広域変成帯は、
日本では
三波川変成帯や
神居古潭変成帯などです。
②、Low P/T
温度に対して
圧力が低い比率の時を
Low P/T、または
高温低圧型といいます。
圧力=深さ、なので
そんなに深くないのに
熱い場所があった、
ということです。
マグマが
上昇してくるゾーンです。
日本列島のような
沈み込み帯では、
海溝のラインに平行して
マグマの列が生まれます。
そのマグマが上昇し、
噴火するので
マグマができた垂直上に
火山の列も形成されていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1689820097523-imX5871CgQ.jpg)
上の図は
火山前線を印したもので、
海溝のラインに平行して
火山ができていることが
分かります。
火山や火山島がぽつぽつと
火山前線上に並んでいます。
これらを火山弧といいます。
Low P/Tでできる変成岩は、
片麻岩(ナイス)です。
無色鉱物の長石や石英の白と
黒雲母などの有色鉱物の黒とで
縞模様をなしています。
海溝から内陸に入った位置で
火山の根っこ付近で作られます。
![](https://assets.st-note.com/img/1689738771549-OEwWPQKxaM.jpg?width=800)
Low P/Tでは必ず、
花こう岩と片麻岩が
セットで出てきます。
片麻岩は火山の列の根っこ
のあたりで作られています。
下からは熱い花こう岩が
どんどん盛り上がってくるので
その付近は全体的に温められて、
片麻岩に変成するのです。
片麻岩と花こう岩が
分かれて出るばかりでなく、
両者が溶け合ってぐちゃぐちゃに
混ざりあっている場合もあります。
ミグマタイト(混成岩)といい、
高温低圧型の特徴です。
高温低圧型の
日本の代表的な広域変成帯は
領家変成帯や、日高変成帯
があります。
③、中圧型、中圧帯
沈み込み帯だけでなく、
衝突帯にも
広域変成岩があります。
中圧型、と言われるものです。
温度と圧力の比率が
同じくらいということです。
中圧型の変成岩の
特徴的な鉱物として、
十字石などがあります。
中圧型の変成岩が出る
ということは、
かつてはそこで、
大陸同士の衝突が
起こったんだな、
ということが分かります。
日本では、肥後変成帯、
阿武隈変成帯が
中圧型と言われていますが、
それはかつて
南中国が北中国にぶつかった
痕跡ではないか?
その後、中国の東端が
切り離されて日本になった
証拠ではないか?
といわれています。
ちなみに
インドとユーラシア大陸は
今もなおぶつかり続けています。
![](https://assets.st-note.com/img/1689749239447-EMhV0nk8UQ.jpg?width=800)
次回は岩石の最終回、
「ロックサイクル」です!
謝辞~星屑の子供たちへ~
変成岩があるということは、つまりそこは沈み込み帯があり、マグマができる場所で、火山があるということです。火山は島を作ります。それらが衝突を繰り返し、やがて大きな大陸を作ります(造山運動)。沈み込み帯の上にある日本は、今まさに大陸製造中なのです!日本周辺も、アルプス山脈、ロッキー山脈、ヒマラヤ山脈と同じく、造山帯の1つなのです。
噴火や地震があるのは当然だということを、忘れてはなりません。
Geo Radio「のんびり地学基礎#27「変成岩②」
![](https://assets.st-note.com/img/1689748780142-tk2OAN60LV.jpg?width=800)
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