見出し画像

のんびり地学基礎 #27 変成岩②「広域変成岩」


高温にさらされたり
高圧を受けることにより
もとの石から変質してしまった
岩石を変成岩といいます。

今回は変成岩の中の
広域変成岩について学びます。

広域変成岩のできる場所

接触変成岩
マグマが触れた範囲だけ
局所的に変成されるのに対して、
広域変成岩
は、
下の図のように幅広で、
帯状に長く、広い範囲に
分布するのが特徴です。

主な日本の広域変成帯の分布

どのようにして広範囲に
しかも帯状に変成岩が
できるのでしょうか?

それは、
プレートの収束境界
関係しています。

①、海洋プレートの沈み込み付近

海溝では、
冷たい海のプレートが、
大陸プレートの下に潜りこみ、
高温のマントル内へ
沈み込んでいきます。
地下に潜りこんでいくと
圧力は高くなるのに
海洋プレートの温度は
マントルほどには
熱くなりません。
このように、
海溝付近に沿って、
温度が低いわりに
圧力が高くなる
帯状のエリアができます。
そこが
低温高圧型の広域変成帯となり
低温高圧型の広域変成岩
つくられます。

②、沈み込み帯の大陸側の地下

また、大陸側では
プレートの沈み込みにともない
地下で火成活動が起こり
大量に作られたマグマは
浮力で上昇してゆきます。

すると、
圧力が低いわりに
全体的に温度が高い
エリアができます。
そこは
火山の根っこに沿って
帯状に広がる
高温低圧型の広域変成帯になり
高温低圧型の広域変成岩
つくられます。

③、衝突帯

大陸と大陸がぶつかる衝突帯では、
押し合って山脈を作ります。
すると、そこは
温度も圧力もどちらも高い
エリアになります。
高温高圧タイプは
中圧型と呼ばれているので
そこは
中圧型の広域変成帯となり
中圧型の広域変成岩
つくられています。

収束境界では広域変成岩ができる

このように、
収束境界の特定の領域で
温度と圧力が変わり、
広範囲に岩石が
変成していくことを
広域変成作用といい、
変成した岩石を
広域変成岩といいます。

広域変成岩の種類

変成の仕方の違いで、
できる変成岩もさまざまです。

①、High P/Tハイピーティー

温度に対して
圧力が高い比率の時を
High P/Tハイピーティー、または
低温高圧型といいます。

High P/Tハイピーティーでできる変成岩は
結晶片岩けっしょうへんがん(シスト)と呼ばれるものです。
低温でゆっくりと成長する
変成鉱物が、
偏った圧力を受けて
一定方向に並ぶので
ある面に添ってペラペラとはがれる
片理という構造を持ちます。

海溝に近い付近で
海溝に沿って作られます。

埼玉長瀞 結晶片岩

低温高圧型の広域変成帯は、
日本では
三波川変成帯
神居古潭変成帯などです。

②、Low P/Tローピーティー

温度に対して
圧力が低い比率の時を
Low P/Tローピーティー、または
高温低圧型といいます。

圧力=深さ、なので
そんなに深くないのに
熱い場所があった、
ということです。

マグマが
上昇してくるゾーンです。

日本列島のような
沈み込み帯では、
海溝のラインに平行して
マグマの列が生まれます。

そのマグマが上昇し、
噴火するので
マグマができた垂直上に
火山の列も形成されていきます。

日本の火山前線

上の図は
火山前線を印したもので、
海溝のラインに平行して
火山ができていることが
分かります。

火山や火山島がぽつぽつと
火山前線上に並んでいます。
これらを火山弧といいます。


Low P/Tローピーティーでできる変成岩は、
片麻岩へんまがん(ナイス)です。
無色鉱物の長石や石英の白と
黒雲母などの有色鉱物の黒とで
縞模様をなしています。

海溝から内陸に入った位置で
火山の根っこ付近で作られます。

隠岐片麻岩

Low P/Tローピーティーでは必ず、
花こう岩と片麻岩が
セットで出てきます。

片麻岩は火山の列の根っこ
のあたりで作られています。
下からは熱い花こう岩が
どんどん盛り上がってくるので
その付近は全体的に温められて、
片麻岩に変成するのです。

片麻岩と花こう岩が
分かれて出るばかりでなく、
両者が溶け合ってぐちゃぐちゃに
混ざりあっている場合もあります。

ミグマタイト(混成岩)といい、
高温低圧型の特徴です。

高温低圧型の
日本の代表的な広域変成帯は
領家変成帯や、日高変成帯
があります。

③、中圧型、中圧帯

沈み込み帯だけでなく、
衝突帯にも
広域変成岩があります。
中圧型、と言われるものです。

温度と圧力の比率が
同じくらいということです。

中圧型の変成岩の
特徴的な鉱物として、
十字石などがあります。

中圧型の変成岩が出る
ということは、
かつてはそこで、
大陸同士の衝突が
起こったんだな、
ということが分かります。

日本では、肥後変成帯
阿武隈変成帯
中圧型と言われていますが、
それはかつて
南中国が北中国にぶつかった
痕跡ではないか?
その後、中国の東端が
切り離されて日本になった
証拠ではないか?
といわれています。

ちなみに
インドとユーラシア大陸は
今もなおぶつかり続けています。

ネパールから見たヒマラヤ山脈


次回は岩石の最終回、
「ロックサイクル」です!

謝辞~星屑の子供たちへ~

変成岩があるということは、つまりそこは沈み込み帯があり、マグマができる場所で、火山があるということです。火山は島を作ります。それらが衝突を繰り返し、やがて大きな大陸を作ります(造山運動)。沈み込み帯の上にある日本は、今まさに大陸製造中なのです!日本周辺も、アルプス山脈、ロッキー山脈、ヒマラヤ山脈と同じく、造山帯の1つなのです。
噴火や地震があるのは当然だということを、忘れてはなりません。

Geo Radio「のんびり地学基礎#27「変成岩②」

手作りミグマタイトチョコ(*^-^*)

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集