冬の日照り、焼かれていく僕

もう12月だ。季節的には冬、そう冬のはずなのだ。

なのに僕の地域は未だに20℃を下回らない。
俗にいうところの南国に僕は暮らしている。

発達した文明の利器の力を借り、遠く離れた友人と言葉をかわす。

やれ氷点下だのやれ雪が積もっただの、見たことも触れたこともない景色の話ばかりが僕の耳に飛び込んでくる。


みんなの中で、僕だけが冬という存在の「厳しさ」を知らない。
そう思わされる。

これに限った話ではない。

向こうにはあって、ここにはないものの話を聞くたびに

「僕はこの世界の、ほんの小さな部分しか見えてなくて、みんなからは置いていかれているのではないか」

「みんなよりも、満たしておくべきものが欠けている、弱い存在なのではないか」

そんな刺すような自問自答が僕の中を止め処なく、終着点もなく駆け巡る。

この欠けを満たすには何が必要なんだ?
この欠けは一体何なんだ?

何をすれば、僕は皆に追いつけるんだ?

そもそもそれを考えている時点で視野が狭くなった小さい人間に成り果てていないか?

どうすればいいんだ?
僕は、どうすれば…

じりじりと焼かれているようなこの感覚は、冬に似つかわしくない日照りか、それとも…


言の葉の集い Advent Calendar 2022 - Adventar 応募作品



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