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とある推しとの別れと新たな推しとの出会い

※まずはじめに、この文章は30年余り日本のアニメ(の一部)を見てきた只の一ファンが自分の気持ちを整理しまとめるために書いた文章であり、当該声優さん方に何かを伝えたいわけではないことを申し添えておきます。

ツイッターの方でブツブツと、ここ2年程それこそつぶやいてきたことなのですが、“声優さん”の存在を知るか知らないかの頃から30年近くファンだった緒方恵美さんが、自分の中で最終的に「推し」ではなくなったのでした。(正確には「推し」という言葉ができるずっと以前からファンだったのですが、その話は今回おいておいて)
「推し」との別れはそれこそ、そのひとが亡くなる時か引退する時だと思っていたので、こんな形で(自分の中で)終焉が訪れたことに驚きました。そして新たな推しは現れないだろうと思っていましたが、やはり新たな推しが現れた(というかそれこそ20年くらい好きではあった声優さんなのですが)のもあり、ここらで一度まとめておこうと思いました。

緒方さんとの出会いは例に漏れず「幽遊白書」の蔵馬。それこそ緒方さんがおっしゃったまんまの当時、一般人にとってアニメというのは、テレビでリアルタイムでしか出会うことのできなかった時代に、小学校低学年だった自分が、たまたまつけたテレビの、たまたま回したチャンネルで、出会ってしまったのでした。
はじめて生で拝見したのは、それからおよそ10年後。高校生の時にライブにはじめて行って、それからずっとライブや舞台を追っかけてきました。もちろんアニメやゲームの出演作も。

今回新たに推しになった保志総一朗さんとの出会いは、ちょうどその頃。ガンダムSEEDがそのお名前をはじめて意識した作品だったと思います。あの頃は…すみません、声はすごく綺麗で華があって、こういうひとは他にいないなと思ったけれど、お芝居がすごいとは思っていませんでした。保志さんの出演作は意識したわけではないですが、GetBackersや最遊記など、好きな作品に出ていらしたので見ていました…あ、GetBackersは緒方さんから入ったのでした。SAMURAI DEEPER KYOでも共演されてましたね。

緒方さんが推しでなくなった発端となった出来事、それはとある朗読劇でした。
日替わりで色々な声優さんが出ていらして、緒方さんの出演された千秋楽を含む3日間、観に行きました。たまたま、同じ役を保志さんが演じられていた。
その時に、私が見た中では保志さんがいちばんその役を理解して芝居の中で実現されていた、と私は感じてしまったのでした。

訳あって身分を隠している没落貴族の青年が、話の流れで平民の娘を王族に仕立てようとします。その時に、ダンスの指南をするのですが、それまで生き生きと“その人”として振る舞っていた青年が、その瞬間、個人でない「貴族」という“もの”になる。娘は困惑し「あなた誰?」と言います。その瞬間のお芝居が、保志さんがダントツに良かったと感じました。
(そしてもはやどうでも良くなったし理由は書きたくないのですが、千秋楽はぐだぐだでした。残念でした。)

もちろんこの二つの(緒方さんが推しでなくなったことと保志さんが推しになったことの)出来事は直接は関係せず別々の事象なのですが、今思うとあの時から道筋は決まってしまったのかもしれないと思うのです。

この出来事はきっかけにすぎず、その後緒方さんが推しでなくなるまでには決定打になる出来事まで色々なことがあったのですが、その中の一つに、ツイッター上で何かの投票?で(覚えてませんすみません)、緒方さんの近年の作品で好きなキャラ?(これまた覚えてませんすみません)を募られていたことがありました。そこで、ご本人が「近年」とおっしゃっているにも関わらず、最初期の「蔵馬」「セーラーウラヌス」を挙げる方がいらしたようで、ご本人がツッコんでおられたのですが、そこで私が感じたことは、「ファンもご本人も双方、お互いの気持ちを理解していないのだろうな」ということでした。(これは自分のツイッターでも書きました)
デビュー作であれだけの大きな、という言葉で表せるのかわからないほどの作品、キャラクターに出会ってしまった幸運と不運とがあったに違いありません。冨樫作品は(私は冨樫先生を神だと思っている民ですが)、そこに登場するキャラクターは、特別です。本当に、現実に存在するんじゃないかと思うような、漫画・アニメのキャラクターっぽくない、人間くささみたいなものが、台詞に、仕草に、すごくあるんです。
そして、セーラーウラヌス。とにかく純粋に格好良かった。私としてはそこにCDブック版るろうに剣心の「緋村剣心」も加えたいですが、まっすぐな格好良さ、優しさ、光と影…そういうものがありました。
どの層のファンがそう言ったのか私には知る由もありませんが、言葉通り「原点に返って欲しい」ということなのでは、と思ってしまいました。もちろん最初期にそういうパフォーマンスをしてしまったから、できてしまったから(もちろん技術的には拙いところもあったのでしょうが)こその困難が彼女にはあったのではないか、と素人ながらに推測しますが、本当のところはわかりません。(あ、もし私が追えてないだけでどこかでご本人が真意をおっしゃっていたとしたら、聞いていませんでした、すみません。)

まぁ、その件に限らず色々考えたし言いもしたけど、今思うと私たちファンが甘やかしたんだろうな、と思います。だって声がダントツに格好良いんだもの。
今ではキャラクターとして先に出会った蔵馬以外の、緒方さんの演じられたキャラクターは、以前のように好きな気持ちはなくなってしまったけれど、30年間素敵な思い出をくださって、ありがとうございましたという気持ちにようやくなりつつあります。さようなら、大好きでした。