見出し画像

柿の葉寿司と伝統の味

今日は『柿の葉寿司』を作ったときに感じたことを共有したいと思います。

私は柿の名産地の出身で、この地方では『柿の葉寿司』という押し寿司が特別な料理です。その名前の通り、柿の葉に包まれた寿司飯にサバや中巻(かまぼこ)、干しエビが組み合わさります。柿の葉には殺菌効果があるため、流通が困難だった昔、魚は塩サバしか手に入らず、それを酢で絞め、柿の葉で包むことで保存と殺菌が行われていました。お盆や秋祭りなどの行事の時に食べられるこのごちそうは、地元の人々にとって特別な意味を持っています。

今日は、秋祭りの日でした。母と「柿の葉寿司が食べたいなあ」と話し合い、二人で作ることにしました。しかし、実家には柿の木がなく、伯母のお家で柿の葉をいただきました。さらに、母は兄弟が6人いて、その中でも末っ子で、義父母のいない父と結婚したため、昔ながらの料理を母が主になって作る機会はほとんどありませんでした。私自身も、柿の葉寿司を作るのは人生で2回目。この歳になるまで手伝ったこともなかったのです。

伯母から少しアドバイスをもらいながら、何とか柿の葉寿司を作りましたが、その際に伯母が口にした一言が印象的でした。「おじいさんも柿の葉寿司が食べたいって言ってるんやけど、私一人ではなかなかつくれないわ。」伯母は87歳。長年の畑仕事で腰を痛め、手の動きも鈍くなっていました。伝統的な料理を作る知識は持っているものの、体力が足りない現実に直面していました。私が「今度おばちゃんが作るとき教えてよ。おばちゃんの味を盗ませて」と提案すると、彼女は少し照れくさい表情で「いいよ」と言ってくれました。

昔は自宅で作ることが一般的だった料理が、今では購入するしかできないものが増えてきています。例えば、私の家では味噌も手作りしていましたが、最近では買うことが多くなっています。この変化は少し寂しいことです。しかし、買うことと作ることの違いを考えました。祖母や母と一緒に伝統料理を作る際、暮らしの知恵や家族の絆を学び、自分自身を豊かにする機会でもあります。丁寧な暮らしは心を豊かにするのではないでしょうか?

私は、子供たちに何を残してあげられるかを考えます。伝統料理や家族の物語だけでなく、良い価値観、道徳的な原則、知識、愛情も共に伝えたいと思っています。そして、子供たちに自己表現や探究心を育てる機会を提供し、彼らが自分自身を発見し、成長できるようサポートしたいと考えています。次の世代に何を残してあげられるかについても考えることが大切です。次の世代にたくさんの愛情をみんなであげましょう。

この一日は私にとって考えさせられるものでした。次の世代に何を伝え、どのように支えるかを思い巡らせる重要な機会となりました。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?