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アイドルのための編集力

初めまして。
私はライブアイドル4組を運営する会社で、マネジメントを中心に、イベント制作、人事、経理、総務などをやっている。そんなアイドル運営にとっての”編集力”とは。

もう2日経ってしまったけど、刺激的だったので残しておきたいイベントのお話。ライターをしている方、編集を目指している方がほとんどのイベントに、アイドル運営の私は何の迷いもなく参加した。どこからどう見ても場違い。学生ならともかく、関係ない職種にも程があるだろって感じながら。
最初から最後までトップ・オブ・場違い。場違い・オブ・ザ・場違い。
名刺交換の時間に、こいつじゃ仕事に繋がらねーわってがっかりした人いるんだろうな。

そもそもなんでこのイベントに参加しようと思ったのか。もちろん冷やかしなんかでもなく、場違いだった!って騒ぎたいわけでもなくて。

色々な経緯があって、私はアイドルグループの楽曲の作詞をすることになった。これが大きなきっかけで、今の私のエネルギー源のようなものになっている。
作詞家じゃない!そもそも音楽詳しくない!ライターでもない!小説は読む専門!知識0、経験0という鬼低いポテンシャルの私。なにから勉強したらいいのかもわからず、自分が好きだなと思う文章を書く人を片っ端から摂取していた。いつかchatGPTが作詞もできるようになる時代がくるなんて周りと話していた中で、今回の『決して“AIに代替されない人”に聞く「編集力の拡張」』というイベントタイトルを見てすぐにチケットを購入した。

まず私が、なんでアイドル運営をしているのか、なんで作詞をすることになったのかについて。もともと音楽が好き、ライブが好きで、そこから今の会社の社長と知り合い一緒に仕事をしている。趣味は読書。音楽に関わる仕事をしてから気付いたのは、もしかしたら音楽よりも文章が好きかもしれないということ。就活では出版社を受けたくらいに天秤にかかっていた(引っかかりもせずに落ちた)。音楽に関わる仕事をして、文章は趣味にしようと身を任せた流れである。
私の文章好きを知っている社長からは、文章に関わる仕事全般を任されるようになった。アイドルファンの方に出す案内やお手紙など。これは文章を書けるという嬉しい気持ちと、半端な文章力で人様の目に触れるものを扱っていいのかという気持ちがずっと戦っていた。
”お手紙”というのは、アーティストグッズを購入してくれた方に同封している400文字程度のメッセージを印刷したポストカードサイズのもの。お客さんからしたら、ちょっとした裏話が書いてあるようないわゆるスタッフブログに近いコンテンツなんだと思う。それがWEB上ではなく、まあまあ上質な紙に印刷していることで集める人が出てきて、「お手紙全て保管してます!」なんて人も増えた。毎月書いているお手紙を並べた写真がアップされてるのを見つけて、すごく嬉しい気持ちと、私なんかの文章で大丈夫かな?という違和感。ただただ業務として行ってるうちに3年も経ってしまった。

また、これは書かれる側として、担当アイドルちゃんのライブレポを書いていただいたりインタビューをしていただく機会が度々あるわけで。めちゃくちゃにありがたいんだけど、その原稿が上がってきて文字校していると、アーティスト名コピペしてないよね?この言い回し間違ってない?ってことが多い。正直、名前間違えられるだけで読む気は半減してしまう。。。

主にこの2つの違和感を長らく感じていた。
自分が文章を書いてることに確信がないまま業務としてやっていることと、ライターを名乗っている人の文章力に納得できないことが多いということ。けどそんなのお前は文章のなんやねんって言われたらそれまでだから、口にすることもなかった。

が、そんなときに社長から言われた言葉「作詞してみたら?」

たった400字の文章にも納得してないのに、言葉を音に乗せるってハードル爆上がりしませんか?と思いつつ、やってみたいという気持ちが勝った。私は音楽にも詳しくないし、曲なんてもちろん作れない。自分がクリエイティブに関わると思ってもいなくて。社長の思いつきのような提案から本当に作詞をすることになり、実際に今年2曲担当させてもらった。もちろん最初から1人でできるわけではないので、歌詞を作ってみて、作曲家に相談して、ボカロを入れてもらい、修正の指示をもらい、それを何度も繰り返して曲になった。作曲チームがたくさん力を貸してくれて私の歌詞を作品にしてくれた。

毎日忙しくて自分に任された仕事をひたすらにこなす日々だった中で、やっと、やりたい、できるようになりたいと思うことに出会った。作詞をするんだ、という意識をしてから音楽の聞き方も変わったし、ちょっとした言葉や言い回しに惹かれることも増えた。

その中の1つがカツセさんのツイッター(現:X)
これがイベントに参加する”勢い”のもとになるもの。
カツセさんの書く140文字の中で、背景が浮かんでくるようなショートストーリーや、言語化できないモヤモヤをサラッとこぼしてる感じ。ここから曲が作れるんじゃないかと思えるほど、儚さと人間臭さのバランスが好きだった。ライターという世界。素敵な言葉を作る人たちがたくさんいて、その価値をわかってる人がたくさんいるんだと。それが知りたくて、そこに触れたくて、仲間にはなれないだろうけど少しだけ踏み入れてみたくて、今回のイベントの参加に迷いなんてなかった。

場違いな私にとっても、カツセさんとサカイさんのお話はおもしろかった。
お金の話なんかは、芸能でも「あ、ギャラないんですか、、」とか「金にはならないけど受けた方がいい仕事!」ってことはよくあるので共感したりして。

さて、やっと本題。
イベントのテーマである、編集力の拡張。
私にとっては、編集力=アイドルのブランディングになる、ということに結論付いた。

お客さんに送るお手紙、例えば共感性が高い内容になればグッズの付加価値になり、お客さんは”自分が推してるアイドルの事務所は良い!”って大声で言ってくれる。グッズ以上の価値を感じてもらうことでお金を出すことへのハードルが下がり、単価も上がる。これは少なからずすでに実感していることで、商品が届いた時の満足度の向上や、アイドル単体ではなく事務所全体が愛されることに繋がっていて、もちろん他の要因も多いけどお客さんとのトラブルが本当に少なく、全体的に良い関係を築けていると思う。

作詞について。いい歌詞を書くことができれば、曲が愛され、クオリティの高い曲を持つアイドルとして一目置かれる。メンバーの近くにいるからこそ、そのメンバーに合う言い回しや思想に合う言葉をチョイスできる。言葉とリンクすることでメンバーが歌に感情を入れやすくなり、結果としてライブのクオリティが上がる。
これは、うまくできれば相乗効果があるという理解はしているものの、今はうまくできるほどの技術がないので、まだまだ修行の身。ちなみに、メンバーにもお客さんにも私が作詞していることは全く言っていない。解散するまで言わないと決めている。

そして、目標はでっかく。
たった1組のアイドルでも、地位が向上することで日本のアイドルシーンを変えられると思っている。これはメンバーの思想でもあるのだけれど、日本のアイドル=”ヘタクソでも一生懸命な姿を応援したくなる”というファン心理があると思っていて、言ってしまえば若い女性を下に見てるからこそ芽生える感情だと思う。平成の後半から時代は変わり、自立していてかっこいいと感じる女性に女性が憧れている。世界には自立したかっこいいアイドルがたくさんいる。男尊女卑がこびりついている人がK-popをあまり好まない傾向にあるのは、日本の文化によるものなんじゃないだろうか。

私はライターのお仕事をできないし回せもしないけど、場違いでも勉強したいと思える原動力になるようなアイドルの仕事をしています。
(ご連絡いただければアイドルの資料お送りしますw)




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