8月30日(日) 海辺にて

待ち焦がれた朝だ。眠りさえすれば一瞬で朝になる、と思いながらどうにか心を落ち着けて寝た、その未来が訪れた喜びを噛み締める。

昨夜ブエノアイレスの人によるMaison book girl『夢』のカバー動画に言及したところ本人からリプライが来ていた。英語で返す。

『仮面ライダーゼロワン』最終回を泣きながら見届けて家を出る。
グリーン車に乗って海の街へ。なんて素敵な日曜日。

上着を忘れて焦っていたがグリーン車は案外寒くなかった。
人もまばらな車内で音楽を聴きながら『ゼロワン』を振り返る(ネタバレ感想後述)。
車窓から見上げる雲がまさに夏の輝き方をしていた。

目的の駅に降りて友達を待つ。昨日オンラインで会ったぶりの再会だった。
あまりの暑さに慄きながらとりあえずランチへ。

しらす丼を食べて満足してから、前々から行きたがっていたアクセサリー屋をついに訪問。私はイヤリングを、彼女はピアスを買う。店員さんも優しかったし包装まで可愛すぎて大感動。またいつか来たい。

風で閉じてしまう壊れかけの折り畳み傘でどうにか日差しを凌ぎながら海を目指す。
段々潮風のべたつきが感じられてくる。この先に夢の場所が、あの道の先に、
見えた。
青が、キラキラ光る水が目を刺す。やばすぎる。やばすぎる。海。海。本物の海!!!

どこまでも広がる本物の海は「行きたいなあ」と思う脳内の海ともこの間行った湖とも全く別格の、言葉を超えた存在だった。
海はとにかく凄い。海は海であることが凄い。海を前に人は一旦人ではなくなる、あるいは人に還る。
それはあらゆる思い出の海とつながる海で、しかし今ここにしかない海だった。

それから夕方まで海辺にて写真を撮ったりアイスを食べたりして楽しく過ごした。同じモチーフのピアスとイヤリングが光を受ける、あまりにもプレシャスな夏。

鳥がふわふわと宙を舞ったり、海を見下ろすようにぼんやり休んだり、かと思えば海にふわふわと流されたりしているのを見て心の底から良いなあと思った。鳥には海を愉しむ気持ちがあるのだろうか。

友情出演:鳴瀬しろはさん

本当にプレシャスな時間は日記に書かれず夏に溶けていく。
再び私はグリーン車に戻ってきた。
夏の夢の終わり。end of Summer dream。

ここからは夏を閉じ込めるターン。今日の写真で最高の写真集を仕上げたい。

夜、『魔進戦隊キラメイジャー』21話を観た。日曜夜にキラメイジャーを観るのはかなり変な感じだった。
シリアスな展開を引っ張らずにサクサク進めていくのが良い。相変わらず全てにおいてパラダイムシフトを図る戦隊だ。


↓以下、『ゼロワン』ネタバレ感想


バッドエンドすら危惧された展開だったのにまさかのスーパー大団円で驚いた。これがアークに反する或人の結論。一年間見てきた或人の芯が貫き通されて良かった。

仮面ライダー全員、滅亡迅雷.netも含めた全員に良い未来が用意されていたのが本当に救いだった。雷の兄貴はもちろん、亡にも居場所が出来たのは嬉しくて泣いてしまった。それを提供したのが唯阿であるということにも。

なにより滅と迅が一緒になったのには涙が止まらない。二人で微笑むラストシーンを観られただけでもゼロワンを最後まで観て良かった。
滅たちは大きな被害を出しまくったテロリスト集団ではあるが彼らは人間ではなく人工知能で、ラーニングをすれば良い方向に変わっていけるしメタ的にも人間と違って贖罪描写なしで通せるよなあと最後に気付かされる。

ただ人間としてやらかしまくった天津垓は倉庫に左遷されただけじゃねえか!「大いなる夢を抱いた時 誰であろうと社長になる」という名言を最後の最後に残したのは良かった。
そして誰よりも天津に翻弄され誰よりもヒーローとして活躍していた準主人公の不破さんが街の仮面ライダー(?)になったのは謎だけれど一番仮面ライダーぽくてかっこいい。

だけどイズ、バックアップ不能だったイズだけが新しいイズになってしまった。他の皆がハッピーエンドだった分その切なさが際立つ。
番組序盤の「マギア化されてしまったヒューマギアを破壊して新たな個体を用意する」流れの切なさをここで最後にイズだけに持ってくるのかあと唸らされる。
君の名前はイズと名付ける或人、あれはゼロワン史上最高のシーンだった。或人のギャグで締めるのは予測していたけれどこのような形で来るとは思っていなかった。

人工知能を扱う物語としての着地点をどうするのかは番組開始前から気になっていたところだけれど、人間とAIそれぞれの「心」に宿る善と悪の話で終わるのは、まあ人間を模した人工知能を研究することは人間の脳を研究することに他ならないから妥当だなとは思う。
最後を或人と滅の物語にして「家族を喪った怒りこそが心を持つ証である」という締めに持っていったのはとても沁みて良かった。

アクションはやはり最後まで格好良かった。さすが杉原監督の最終回。リアライジングホッパーの変身は物凄く力の入った映像で震えた。最後に登場した劇場版ライダーも格好良かったしアズの衣装チェンジのセンスも素晴らしい。少しだけコードギアス復活のルルーシュを思い出す。

キャスト陣は皆初心者だった始まりから本当に凄いところまで行ったなあと思う。血塗れの或人と号哭する滅の対話、あれは本当に本当に響いた。ゼアのイメージ上のイズを見てうなずく或人、新しいイズを前にした或人の表情も凄く繊細で・・・。一年かけて磨かれた集大成を確かに受け取った。

コロナで6回くらい潰れたのにどうにか違和感なく完結させた制作陣も凄い。不運だなあとは思うが総集編も毎週面白かったし(なんなら総集編が一番面白かった)仮面ライダースタッフの底力を見た。

とはいえ・・・結局ドラマとしてはほとんど評価できない作品のまま終わってしまったなと思う。
2019年一杯まではワクワクさせられていたのに年明け以降どうしてこうなった。
一年間きちんとキャラを生かして積み上げていけばいくらでも名作になり得たのにAIのお仕事描写ばかりに気を取られてたやんか、俺らが観たかったのはAIのお仕事ドラマやなくて仮面ライダーやったのに。
まあ、劇場版も観に行くけどよ。何らかの良い結論を期待して。

そんな感じでそこまで寂しくはない幕引きとなった。去年もそんな感じではあったけれど。それでもあのキャラ達を観られなくなるのは結構寂しい。
来週からの『仮面ライダーセイバー』は全く期待せずに観始めたいけれど心のどこかで期待してしまう。なんにせよ『キラメイジャー』は面白いから楽しいニチアサは続くだろう。

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