見出し画像

【築40年の空き家】 (3)農地が絡むとややこしい


1 農地の上に家が建っている!?

『【築40円年の空き家】(2)空き家バンクの活用』で、空き家バンクを通じて登記簿を入手してみると「宅地」で課税されている土地が、登記簿では地目が「田」になっていることが判明し、このままでは空き家バンクに登録することができないので、土地家屋調査士に相談するようにアドバイスを受けたというお話をしました。

(1) 登記簿の地目が「田」なら農地なのか?

登記簿の地目が「田」であれば「農地」かというと必ずしもそうとは限りません。というのは、「農地」かどうかは、登記簿の地目とは関係なく、現況で判断されます。

では、「農地」であることはどうやって証明できるのか?

答えは、「農業基本台帳」に登録されているかどうかということになります。
農業基本台帳は、市区町村にある農業委員会が整備することになっています。
そのおおもとになる法律が農地法です。

農地法の目的の一つとして、限られた資源である農地を農地以外のものにすることを規制しようとするものです。

したがって、農地を農地以外のものにすることは簡単にはできないのです。

(2) 農地を農地以外のものにすることは簡単にはできない

登記簿の地目が「田」になっているのに、その上に家が建っているというのは実際にはよくあることのようです。

「農地かどうかは、登記簿の地目とは無関係」であることなどからすると理解できないこともありません。

農地法は農地法、不動産登記法は不動産登記法でそれぞれ規定していることなので・・・といったところでしょうか?

結果として、土地家屋調査士に相談はしなかったのですが、農地法は農地を守ろうとしているので、「農地を宅地に変える」、つまり「農地の面積が減る」という行為はすごくハードルが高いということがよくわかります。

2 不動産屋さんが教えてくれたこと

(1) 何も進展しないまま1年が・・・

空き家バンクに相談してから1年が過ぎようとした頃、あまりにも何も前に進まないので、不動産屋さんに一度相談してみることにしました。

この時も工務店にはじめて相談した時に作ったA4の1枚ものの資料が役に立ったことは言うまでもありません。

しかし、空き家をどうしたいのかと相談者の私が何も決まっていないので、これといった進展はありませんがでしたが、「農地の上に建物が建っているので、これを整理しないと空き家バンクには登録できないと言われた。」という話をすると「非農地証明を申請すればよい」というアドバイスをしてくれました。さらには申請は自分でもでき、その非農地証明があれば、登記変更も自分でできるような話を聞かせてもらえました。

(2) 非農地証明

非農地証明は、市町村の農業委員会に申請します。一言で言うと「この土地は農地ではありません。」ということを農業委員会が証明してくれるわけです。

しかし、ただ単に申請書を出せば良いというものではなくて、原則として20年以上農地ではなかったということを証明しなければなりません。

私の場合は、固定資産税が30年以上宅地で課税されてきたということが、固定資産税課税明細書を見ることでわかります。さらにそのことを自治会長さんに証明してもらう書類などもあわせて農業委員会に提出します。

もちろん現況が農地ではないことを証明するために写真も提出します。

非農地証明書が取得できれば、あとは法務局に行き、登記申請書に証明書を添えて提出すれば地目変更は完了です。

3 まとめ

結果として土地家屋調査士さんにはお願いしなかったので実際にはわかりませんが、もしお願いしていたとすると土地1筆につき50万円ぐらいかかるそうです。

非農地証明や登記変更申請も行政書士さんや司法書士さんに依頼することができますが、その場合であっても数万円はかかります。

自分でも十分できる手続ですが、時間や手間を考えると依頼するのがきっと無難でしょう。