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ただ、当たり前に人間として最後まで生きられる場所「はっぴーの家ろっけん」


神戸市長田区の六間道商店街には、阪神淡路大震災の被害を逃れた昔ながらのアーケードが残っています。

そんな6階建てのビルにあるのが、多世代型の介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」です。

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高齢者を対象とした施設ではありますが、介護スタッフのほかに、子ども連れの母親や外国人、子どもなど、さまざまな人が思い思いにすごす集うごちゃまぜの空間。

以前から勉強会でお世話になっており、今回はお友達の西澤篤央さんと1Fリビングスペースに遊びに行きました。

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「“遠くの親戚より近くの他人”が寄り添う場所。もともと自分が2人の子を育てていくのに必要だからつくった」と代表の首藤義敬さん(写真1枚目中央)はいいます。

23歳の時に、遊休不動産の活用事業や地元である神戸市長田区を中心とした空き家再生事業をはじめられました。​それをきっかけに両親や祖父母、妹らと総勢14人で暮らすようになり、子育てと高齢者の世話というダブルケアの大変さを味わうとともに、大家族ならではのありがたさも実感したことが、「はっぴーの家ろっけん」を立ち上げる大きなヒントになった。


立ち上げ段階には企画段階から保育園児、学生、主婦、クリエイター、外国人など、多様なバックグラウンドをもつ地域住民で事業計画とコンセプト策定を行ったそうです。

看板もなく広告も打たず口コミだけで広がり、全国から視察や各種メディアの取材が絶えません。

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よく首藤さんが話してくれるのが、小学生の娘さんが一緒にいる高齢者さんを自然にお世話するようになり、次第に赤ちゃんの保育スキルもどんどんあがっていったということ。「言葉ではわからないけど、お世話は同じだから」と言っていた娘さんも、すっかり大きくなられました。

もう1つ好きなのは、お酒を飲みすぎて家族とのつながりがなくなってしまった男性が入居し、ここでだんだんと人とのつながりを取り戻していかれたこと。最後のわがままといってストリッパーを呼んでパーティをしたあと亡くなり、この場所で盛大なお葬式をした、そしてはじめて会う人もお葬式にたくさんいらしたというお話。


ただ、当たり前に人間として最後まで生きられる場所だなと感じます。

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普通見学とかボランティアとかって、決まり事があったり、役にたたななくちゃ、邪魔しちゃいけないなど気持ちが沸き上がりますが、最初にそれを尋ねると、「してはいけないこと…ないですね~」と笑って迎えられます。


1Fリビングは、中にはどっちが利用者さんなのか、スタッフさんなのか、ご近所さんなのかわからない方が何人もいらっしゃって、私たちも居心地よく、半日過ごさせていただきました。

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何もしなくても居ていい、つながりを感じて、本当にうれしくてほっとして、西澤さんとおしゃべりしながら私はずっと泣いていたのです。

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