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「自由になるために、徹底的にルールを作る」               目指すのは平和と安心を実現する「争いを生まない組織」


大阪府摂津市にある株式会社パプアニューギニア海産さんは、パプアニューギニア産の天然エビの輸入・加工・販売を行う、そして「好きな日に働く工場」です。
現在20名いるパートさんは、好きな日に出勤でき、月の勤務日数も決められていない「フリースケジュール」で働いています。

特徴的なのは「この日働きます・休みます」という連絡を【禁止している】こと、そして毎月アンケートをとり【嫌いな仕事をやってはいけない】というルールがあること。私は代表取締役であり工場長の武藤 北斗さんの勉強会に参加させていただいており、また「腐るお金」eumoの加盟店同士というご縁をいただいています。(仁科さん、大野さん、ありがとうございます) ㅤ

武藤さんは2代目社長。以前は宮城県の石巻に工場があり、どんどん人を増やし、工場を稼働させ、売上を伸ばすことを目指していた。働き方も、シフトをきっちりくんで、有給休暇も早めに申請しないといけない、監視カメラを付けて、サボらないようプレッシャーを与えながら管理していたといいます。 ㅤ

そんな中、2011年の東日本大震災で工場が被災し、すべて流されてしまいます。大阪で再出発をし、誰もが働きやすい、人間らしく生きられる職場をつくりたいと模索していた結果、「いつでも休める」フリースケジュールになったとおっしゃいます。


武藤さんの凄みは、note、Podcast 、YouTube 、Facebook、Xと毎日のように発信をしながらも、まったく”薄まらない”ところ。それは概念ではなく彼のリアルで真実の思いであり行動だからだと思います。それは「隠さない」からできる。 ㅤ

私たちは愛されるために、受け入れるための本当の自分の感情や言葉を隠します。
場所や場面により、ふさわしい言動を選ぶので、その整合性を保つために、360度、24時間、いつも自分をモニタリングしています。それはいつもマシンにスイッチがはいっているような状態で、想像以上にリソースが使われてます。いつもくたくたになっているような状態で、だから私たちは心から何かを叶えたいと思った時に、リソースが足りないことが多く、思い切り力を使えない。

これが私の考える「隠すコスト」です。

私たちは実は、日々、想像以上にこのことにコストを払っています。
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武藤さんはそのコストを限りなく0にしている方なんだと思います。正直で、何も隠さない。
それは何か条件がそろってるから、水産工場だからできるということではなくて、彼がそうしようと覚悟をきめたからなんだと、お会いしてますます確信しました。
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彼の言葉はいつも驚くほど赤裸々ですが、最もわかりやすいのは、工場の朝礼の様子をYouTubeにあげていること。経営者なら隠したいであろう、職場における様々な混乱、衝突がとても感じ悪くw、ありのまま垂れ流されています。
ここに私はいちばん、泣けるほど感動します。
動画を見ているとわかりますが、すごいスピード感をもって、スタッフさんの声から毎日変化すること、間違うことを恐れず、つねに最善を探してアップデートさせていっています。
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私は九州大学の松前あかね先生による「リーガルデザイン研究会」で、ルールは人を罰するためではなく、幸せにするためにつくるのだ、というマインドセットをいただきました。
フリースケジュールと聞くと「なんでもありなゆるい組織」をイメージされるかもしれませんが、真逆で、工場にはめちゃくちゃ細かいルールがあります。でもそれは武藤さんが作ったものではなく、働く人たちの意見からつくられた最適化の仕組みで、「ルールがあるからこそ自由と平等と平和がつくられる」という実践を、私は生まれてはじめて見た気がして、震えました。

武藤さんの隠さない勇気と、傷だらけの経験を惜しみ無く分かち合ってくださる寛容さ、太っ腹なこころに、感謝しかありません。

昼スナにも来てくださるとお約束いただきました。その際はぜひ、おはなし会をしてくださいね。

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