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プロジェクト・ヘイル・メアリーを読んだ

という事で、Kindle paperwhiteでプロジェクト・ヘイル・メアリーを読みました。火星の人を書いたアンディ・ウィアーの新刊です。

火星の人は映画オデッセイの原作なんだけど、映画、良かったよね。
火星に1人取り残されてしまうという極限状態において、底抜けに明るいキャラと科学知識でなんとか生き延びようとする主人公をマット・デイモンが好演していました。
マット・デイモンがいいんだよね。あの、性欲があんまり無い感じのポジティブおもしろギャグ能力高め理系イケメン男子像って30代~50代くらいのおじちゃんの中二病心にグサッと刺さる気がするよね。
見てない人は数百円払って見る価値はあると思うので、アマプラかU-Nextかゲオででも借りて見てみてください。
おじちゃんになってから上手く刺さらなくなったでしょ。中々。これは刺してくれます。間違いない。

でね、火星の人は映画を見てから小説を読むのがオススメです。あのね、文体が基本的にライトノベルなんだよね。アンディ・ウィアー。SFの皮を被ったライトノベル。
良いSFには必ずある、緻密に書かれた壮大な描写、1p2pに渡るクドいほどに克明に描かれた描写に引き込まれ、目の前に今まで想像もしてなかったような情景が自然と浮かび上がるあの夢見心地、だとか、選び抜かれた言葉で脳みそを貫いてくるショッキングな情報、みたいなのは基本無いんです。
ここは火星です、って書かれてるから火星なんだな。みたいな感じがあります。火星の人には。
なろうの異世界に転生しましたって書いてあるから異世界なんだな、みたいなのと同じ感じ。
でもね、アンディ・ウィアーの小説にはライトノベル的な軽妙さがあり、おじちゃんの中二病心にグサッと刺さるとてつもなく魅力的な主人公が出て独り言を喋りまくるんです。
映画を見て、あのマット・デイモンを見て、それから小説を読むと脳裏であのマット・デイモンが映画に描かれてなかったピンチを迎えたりそれを解決したり映画よりも饒舌に語ったりする訳です。それが凄く楽しい。凄く凄く楽しい。火星の人はマット・デイモンありきで読むともの凄く楽しい小説なんです。

で、今回のプロジェクト・ヘイル・メアリー。これにもマット・デイモンが出てきます。この人このキャラクターしか書けないんだろうけどこのキャラクターを書いたらピカイチなんだろうなっていう、全く同じ人物が主人公です。いや、同じ人物じゃないんだけどマット・デイモンでしか浮かんでこないです。そして基本的には極限状態ポジティブ独り言男子物語で火星の人と一緒です。
主人公はたった一人で狭い宇宙船で目覚め、自分が太陽系ですら無い地球から遥か遠い恒星のそばにたった一人でいる事に気が付きます。
まあ今回は一人ぼっちじゃなくバディ物なんだけど、そこら辺は読めば判ると思います。

映画化決定って書いてあるけどもうこれ映画ありきで書いてません?みたいな所はあります。とある理由で地球は氷河期を迎えそうになっており、主人公はそれをどうにか救うためにたった一人で頑張るのですが、地球が氷河期を迎えつつある描写とか、最初は太陽だと思っていたが実は違う恒星であったとか、その惑星だとか、もうそういうのの描写はあっさりしたものです。ほぼ無いに等しい。読者を説得しようともしません。火星の人と一緒。
いや、火星の人よりなんか投げっぱなし感強くないかな。
ここは太陽系ではないすっげえ遠い恒星のそばです。って書かれてるからそうなんだろうな。っていう書き方です。
ただひたすらたった一人ぼっちの(一人ぼっちではないけど)ポジティブな独り言男子が危機に陥り、それを解決していきます。
スゴい映画的なんだよなあ。なんか。始まり方も、終わり方も。

でもやっぱりマット・デイモン(マット・デイモンじゃないけど)が魅力的なんだよね。この主人公はほんとすっごい魅力的。あれだよあれ、ダイ・ハードのブルース・ウィリスがぼやきながら次々解決してっちゃうあれにも似てる。性欲を全然表に出してこないし、あるんだかないんだか判らないやる気であのカッコよさ。みたいなあれです。

映画化するんなら映画見てから読んでもいいかなって気もするけど、中二病な気持ちに浸りたいというおじちゃんにオススメですね。スゴい浸れます。
リメンバー火星の人でしかないけど、火星の人を読んだ時と同じ体験はできます。
上下巻で今なら2000円で2,3日位で読めると思います。
値段以上には楽しめると思いますよ。

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