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上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder 『Sonicwonderland』のPV字幕翻訳を勝手にやってみました

9月6日にリリースされる上原ひろみさんの新プロジェクト“Hiromi’s Sonicwonder”の新作『Sonicwonderland』について、本人とメンバーが登場する10分弱のプロモーションムービーが公開されています。

このプロジェクトに対するそれぞれの想いが簡潔にまとめられて、音楽観や世界観が垣間見える内容だと思いました。

ただ、英語なので日本語圏で伝わらない部分があったりするともったいないなぁ、と。

ということで、勝手に翻訳してみました。


──なにがきっかけでソニックワンダーのための音楽を作ろうと思ったのですか?

上原ひろみ:“ワンダー”という言葉にはたくさんの意味がありますよね。このプロジェクトで私が抱いている音楽観にぴったりだと思ったんです。

──いつからこのアルバムのためを曲を書き始めたのですか?

上原ひろみ:コンセプト自体はは数年前から浮かんでいて、適切なミュージシャンを探していました。

アルバムに収録した曲は2019年ごろから書き始めたもので、パンデミックの時期に行った "One Minute Portrait“ というプロジェクトのトラック2曲が収録されています。

──演奏のためのバンドはどうしようと?

上原ひろみ:まあ、ベース・プレーヤーはほとんど問題ありませんでした。アドリアン(・フェロー)とは2016年に初めてプレーしました。彼とは本当に強い相性の良さを感じたし、名人芸とも言うべきすばらしいテクニックで知られているミュージシャンですから。

そのうえで彼は、真に“ベースをプレーをできる”人だと思ったんです。つまり、音楽、メロディーを支えるベース(土台)であり、ソリストを本当に輝かせることができる。彼のハーモニーのコンセプトは本当に感動的なんです。

彼と一緒に演奏したとき、いちばん驚いたのはそのことで、彼に触発されてこのプロジェクトのために曲を書くようになりました。

そこから、ドラマーを探し始めたんです。とても暖かくオーガニックなサウンドを持ちながら、クールでエネルギーに溢れた人がいないかと思って。そしてジーン(・コイ)を見つけたんです。

彼はとても楽しく、ユーモアたっぷりで音楽を演奏するんです。私が彼と一緒に演奏するたびに思うのは、そのドラムが本当にみんなを笑顔にしてくれるし、音楽の喜びと幸福感で私たちを満たしてくれる、ということです。

もうひとりは……、トランペット奏者でしたね。

このプロジェクトには、とても暖かく、同時に少しダークなサウンドで、美しい音色をもち、必要なときにはパンチの効いたサウンドが欲しかったから、それに適したプレイヤーを探していました。この条件はなかなか難しいものでしたが、アダム(・オファリル)を見つけることができました。

本当に、彼のサウンドを聴くと、空を飛んでいるような気分になるんです。感動的なサウンドで、たった一音で泣かせてくれるから……。

──彼らと一緒に演奏するようになってどうでしたか?

上原ひろみ:このバンドのメンバーは、私の想像をはるかに超えていました。最初のライヴ、初めて一緒に演奏したことを伝えたときの観客の反応を今でも覚えています。生きている! 彼らがいつも全力で演奏してしてくれていることに、本当に感謝しています。

毎晩、新しいことを探しているし、“自動操縦装置”を使わず、冒険を楽しんでいるような気分なんです。

──レコーディング・セッションに至るまでのプロセスを教えてください。

上原ひろみ:最初のリハーサルの前にデモ用の楽譜を送ったので、みんな演奏する準備ができていたし、レコーディング・セッションの前に12回の公演を行っていんですが、最後のほうでは楽譜なしで演奏していた状態だったので、レコーディングのときもとてもスムーズに進みました。

アダム・オファリル:ひろみの音楽で本当に好きなのは、とても直接的で明快なところだ。私たちの音楽には“不必要に複雑なもの”がないので、思ってもみなかったディテールを自発的に追加する余地が生まれるんだ。その余地に向けて、メンバーはそれぞれ自分の役割を担っていくことになるわけなんだ。

ジーン・コイ:どうやってこの新しい曲たちにアプローチしたかというと、まず最初は、とにかく“聴く”ことに徹した。深く聴く......。音楽を消化するつもりで聴いていたよ。

リスクを冒すことを厭わないから、彼女は自分に素直な音楽を海堕することができて、誰もがそれを共有できる状況に導くことができるんだろうね。それはまさに本当の、本当に楽しい“旅”なんだよ。

アドリアン・フェロー:こんな状態で1日の終わりを迎えることができて、私はとても興奮しているよ、そう見えないかもしれないけれど。

ひろみの曲って、実はとても緻密にできあがっているんだけれど、とてもオープンでもある。それは、私のようなミュージシャンにとって典型的な“好みのタイプ”ということなんだけどね。

つまり、彼女が僕らに曲の断片を提示すると、僕らがそれに対して提案を行うということなんだけど、彼女の曲は的確だから、ハーモニーもメロディもリズムも、そのすべてがこの曲にそろってるから、ほとんどの場合で曲が大きく変わってしまうということはないんだ。

だから、僕らがすべきことは簡単で、ただプレイし、ただ解釈するだけでいいんだよ。それだけで曲になるからね。

──オリー・ロックバーガーとのコラボレーションについてもお話しいただけますか?

上原ひろみ:私は彼とバークレーに通っていて、ずっと彼の音楽の大ファンでした。そして2021年、私が〈レミニセンス(回想)〉という作品を書いたとき、頭のなかで彼が歌っているのが聞こえたんです。

それで彼に電話して、「いま書いた曲があるんだけど、あなたの声が聞こえてきたから、歌詞を一緒に書いてみない?」って。それで一緒に歌詞を書いたんです。そのときは突発的なことだったし、リリースする予定はなかったんだけど、アルバム制作の過程でこの曲がこのバンドのサウンドにぴったりだと思ったから、このアルバムに収録することにしたんです。

オリー・ロックバーガー:ひろみと私は……、20年以上前にバークレーで出逢った……。うーん、もうそんな昔のことになるんだね、本当に信じられないな。歳を重ねれば重ねるほど、時間が経てば経つほど、その特別さが増していくんだけどね。

ひろみと出逢ったころは、私の人生のなかでもとりわけ特別な時期だった。そのことを思い出させてくれたことも含めて、本当にこのコラボレーションは、私にとって改めて貴重な出逢いになったよ。

──このアルバムの音楽的な点を言葉にしていただけますか?

アダム・オファリル:リスナーは、それぞれの音楽的な経験に応じて、いろいろな受け止め方ができる音楽になっていると思う。私はそれを、“サウンドとスタイルの“調和的混合”と呼びたいね。

アドリアン・フェロー:これはもう、“傑作”のひとことだよ、以上……(笑)。

ジーン・コイ:私から言えるのは、ひろみのニューアルバムに収録されている9曲の新曲をとにかく聴いてほしいということだ。“ソニックワンダー”とはなにか、ぜひ体験してはしい。

上原ひろみ:このソニックワンダーは、私たちにとって、間違いなく“新たな冒険”、ということなんです!



上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder 『Sonicwonderland』

上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder 『Sonicwonderland』
2023.9.6 ON SALE Telarc/Universal Music
Hiromi's Sonicwonder
上原ひろみ
:piano & keyboards
アドリアン・フェロー:bass
ジーン・コイ:drums
アダム・オファリル:trumpet, w/pedals
オリー・ロックバーガー:vocals on 6
2023年5月25日~28日、カリフォルニア州ニカシオ、スカイウォーカー・サウンド・ステージにて録音
Recorded, Mixed & Mastered by ロバート・フリードリッヒ
Hiromi Plays Yamaha CFX Concert Grand Piano
Provided by Yamaha Artist Services New York ピアノ調律:星野信太朗 (Yamaha Artist Services New York) Clavia Nord Lead A1 / Nord Electro 5D
Produced by 上原ひろみ

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