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タバコ自販機撤去の日

2021年、近所のタバコの自販機が撤去された。
1928年に文房具とタバコの店としてオープン以来、93年の歴史を閉じた。
最後の日に、お店の方が苦労を語ってくれた。

タバコ売ってると、近隣には恨む人もいて、「時代が変わったのよねえ」って。「渋谷区の喫煙所が撤去されてから、この自販機の横で喫煙する人が増えたの。この裏に住んでる方が嫌煙家で、夜に呼び出されて激昂して怖かったのよ。向かいの焼き鳥屋が慌てて止めに来てくれて助けてくれたの。この奥のマンションの住人は、受動喫煙って診断されたからお宅を訴えるって言ってきたの。その方はもう引っ越しちゃったけどね」

全盛期は都内でもトップクラスの売り上げを誇ったそう。オレが住み始めた頃には自販機1台だけのお店になってた。この自販機でタバコ買ってると、お店の方がサーッと出て来て「いつもありがとうございます」ってライターくれたりしたことがあったのを思い出す。

今ではタバコを売ることが町の迷惑だと考える人たちによって営業していけなくなってしまった。吸う人がマナーを守れば、100年続いた店を廃業することもなかったろうに。

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