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リスクはいつも「悪いヤツ?」

我々にとって、リスクは「悪いもの」というイメージがあることでしょう。例えば、「リスクをとって新規事業に打って出る」といえば、ある程度の損失を覚悟の上で、新規事業に新たな可能性を見出すことと捉えられます。しかし、リスクというのは常に「悪い」というイメージのものではありません。

これまで、リスクというのは「計算かつコントロールができる」可能性であるとしてきました。この定義では、「リスクは悪」とは一言も述べていません。つまり、我々にとって有利に働くリスクも存在するのです。我々に不利に働くリスクを「ダウンサイドリスク」というのに対し、有利に働くリスクを「アップサイドリスク」といいます。

やや難しい内容になりますが、リスクは計算可能であるということは、リスクに対して何らかの確率分布を設定できるということです。確率分布とは、あることがらが発生する割合を数値に置き換えたものと思ってください。有名なのは正規分布の釣り鐘グラフです。どのような確率分布でも、平均より良い値をもたらす確率は存在します。正規分布の釣鐘グラフでも、右の端の方に小さいながらX軸から上にある部分が確認できます。これがアップサイドリスクといわれるものです。

アップサイドリスクの例は、日常生活でもよく見られます。あまり良い期待をせずに買ったカメラが意外と高性能だったとか、値段の割にお得だったといったものです。リスクマネジメントの関心は、いかにしてダウンサイドリスクを極限するかにありますが、アップサイドリスクの可能性も常に意識しておく必要があります。さもないと、せっかくの収益機会をみすみす失ってしまうことになります。

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