見出し画像

リスクとは何か その2

前回は、リスクとは確率が計算できるもの、不確実性は計算できないものと説明しました。ここでは、リスクに関するもう一つの特徴をご説明します。

例えば、ある海外プロジェクトの実行を、ある社員に命じるとします。他の社員は「そいつにやらせるのはリスキーだよ」と囁いています。この「リスキー」という言葉には、「他にも何か手立てがあるだろう」というメッセージが含まれています。彼ではない他の社員に任せる、誰か監督者を付けるというようにです。つまり、リスクというのは、その確率をある程度コントロールできるという特徴があります。とはいえ、リスクをゼロにできないことはいうまでもありません。

上司の命令を受け、また周囲の予想に反し、彼はリーダーとして順調にそのプロジェクトを進めていきました。ある日、プロジェクトを実行している外国で予想外の政権交代が起き、新政権は新たな法律を成立させました。その法律の規制により、その国で彼の海外プロジェクトは継続できなくなりました。事前に政権交代がわかっていれば、プロジェクトの推進を見直しできたかもしれませんが、これは誰の目にも予想外の事態でした。また、一国の政権交代は彼の手で止めることはできません。すなわち、政権交代はリスクではなく不確実性だったのです。このように、不確実性は、我々ではコントロール不可能な外部要因であるといえます。

以上をまとめると、リスクはその発生確率をある程度制御できるのに対し、不確実性は制御不可能であるという特徴があります。この違いを理解することが、その後の打ち手に影響することになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?